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『ミッチェル家とマシンの反乱』
世界の危機に、この地上でたったひとり救えるかもしれない存在になったとしたら!? その人に必要なのは、ネイビーのオーラが持つような困難を乗り越えてみせるという強い意志。突然窮地に立たされたミッチェル家は最初からネイビーの強さを持っていたわけではないけれど、それは強くあろうと努力した人に宿ることを極上のエンターテイメントに仕上げて見せてくれる。
『ミッチェル家とマシンの反乱』は、アニメ界のアカデミー賞とも言うべきアニー賞で8部門に輝いたアニメーション映画。家族の再生をロボットの反乱に立ち向かう姿を通して描く。
映画オタクのティーンエイジャー、ケイティ・ミッチェルは古風で自然を愛する父親のリックと最近ギクシャクしがち。念願かなってカリフォルニアの映画学校への進学が決まり、実家を出ることに。一刻も早く新たな環境へ飛び込みたいケイティだったが、親子関係を修復したいリックの提案で、家族揃って学校まで車で送り届けるドライブ旅行に出発する。そんな最中、巨大企業PAL社のAI率いるロボット軍団が人類に反乱を起こして世界中が大パニックに陥ってしまう。ロボット軍団から逃げ延びることができたのはミッチェル家だけとなり、世界を救うためにちょっとユニークな家族が力を合わせて立ち上がる……! エリートでも学園の人気者でもない、普通の人々であるミッチェル家が人類最後の希望となるのが本作の痛快なところ。現実の世界でもある日突然スーパーパワーは手に入らない、けれどミッチェル家のように自分の得意を強さに変えることなら、明日からの努力次第でできるかもしれない。
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Wilson Webb/Netflix
『ホワイト・ノイズ』
ネイビーは、どんな出来事が起きても自分でやり抜く姿勢や強さを体現する色。裏の意味には、“逃げられない”というのもある。逃げられないシチュエーションとして象徴的な、終末世界を描いた作品はこれまでならエンターテイメントとして気楽に楽しめるものだった。それが現実世界でも未知の脅威に直面したポストコロナでは、繰り広げられる人間模様や極限下での感情の変化をリアルなものとして考えさせられるように。『ホワイト・ノイズ』は、パンデミックを扱ったシュールな不条理コメディで、ドン・デリーロの同名小説を、『マリッジ・ストーリー』のノア・バームバック監督が映画化。1985年に発表された小説が原作であるのに、現在の状況を描いているようにしか見えず、ある意味で世の中を俯瞰的に見られるきっかけになるかもしれない。
本作の舞台はアメリカのとある町。化学物質の流出事故が発生し、住民は避難しなければならない非常事態となる。身近に突きつけられた死の緊迫感が、アダム・ドライバー演じる大学教授を務めるジャックと、グレタ・ガーウィグ演じるジャックの妻・バベットの夫婦関係、家族の生活を蝕んでいくことに……。フェイクニュースに踊らされ起きる混乱、いつの間にかこれまで通りの生活に戻る人々の姿など、あらゆるシーンが現実の暮らしとリンクする。仮想コロナの世界がシニカルに表現されることにより、かえって“何とかなる”という発想の切り替えを促してくれるのではないだろうか。
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