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©小山愛子・小学館/ STORY inc.
『舞妓さんちのまかないさん』
是枝裕和初のNetflix作品となる「舞妓さんちのまかないさん」。小山愛子による人気コミックを原作にドラマ化した本作は、祇園の舞妓さんになることを夢見て、故郷の青森を離れ京都へやってきたキヨ(森七菜)とすみれ(出口夏希)の日常を描いた物語だ。舞妓さんたちが共同で生活する屋形に住み込み、鼓や舞などの稽古に励んでいた2人。すみれはメキメキと力をつけていくものの、キヨはなかなか上達の兆しを見せずお師匠さんも匙を投げてしまう始末。わずか3ヵ月で舞妓への道を諦めることになってしまう……。タイミング同じくして、屋形の皆に毎日のご飯を用意してくれるまかないさんがぎっくり腰に。連日の店屋物に飽き飽きしている舞妓たちに、とろとろの親子丼を振る舞ったキヨ。その日から、屋根裏暮らしのまかないさんとして新たなスタートを切る……。
稽古にお座敷に、外で気を張る彼女たちは、キヨの朝ご飯で1日の活力を入れ、「ただいま」の後はキヨのほっとする味で疲れを癒す。のちに「100年に一人の逸材」と称されるほど、舞妓として成長していくすみれ。彼女が眠れない晩には甘酒を作り、風邪を引いたときは削りたての鰹節と昆布を調達してうどんを作る。頑張る人たちに安心を与え、応援するキヨのご飯は、食べているときっと心まで抱きしめられているような感覚になるのだろう。ちょっとお疲れ気味のベージュのときは、キヨの人柄となんとも美味しそうな素朴な料理たちが、心の深くまで染み渡る。
Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」独占配信中
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Ⓒ「きのう何食べた?」製作委員会
『きのう何食べた?』
よしながふみ原作の人気マンガをテレビ東京系列でドラマ化した「きのう何食べた?」。弁護士の史朗(西島秀俊)は、務め先を毎日18時にいそいそとあとにし、スーパーへ直行。最安値を求めはしごして家路に着く。几帳面で現実的、倹約が得意で体型維持のため節制を日々心がける彼は、手際よく、そして楽しそうに、購入した食材を次々にさばいていく。料理ができ上がるころにちょうど帰ってくるのが、ともに暮らす恋人の賢二(内野聖陽)。美容師の彼は、史朗とは違い家計に無頓着。場当たり的なところもあるけれど誰に対しても気さくでオープンな性格の持ち主だ。
そんなでこぼこな2人の日常を描く本作。お互いへのさりげないけれど優しい気遣いにあふれた彼らだけど、カミングアウトへの価値観のズレから大きなケンカに発展したり、女性との浮気疑惑や史朗の学生時代の元カノに嫉妬したりすることもある。そんなとき、直接的な「ごめん」が言えなくても、翌朝の美味しい朝食で仲直り。仕事やら何やら失敗続きでもう何もしたくないって日だって、ちょっと奮発した水炊きを食べれば再び元気を取り戻せる。美味しい食事は、時に言葉以上のコミュニケーションの役割を果たし、時に心に刺さったとげを優しく抜いてくれるのだ。
心がお疲れ気味のベージュなときこそ、好きなメニューをテーブルに並べたり、腕によりをかけてご馳走を作ってみて。美味しくて温かいご飯に、じわじわと心がほぐされていく。そして食べ終わるころには、2人のように「さっきより顔がすっきりしてる」ってなっているはず!
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