-
『フラーハウス』
調和、コミュニケーション、協力……「フラーハウス」には緑を象徴するキーワードが全て詰め込まれていて、観た後は身近な人たちをもっと大切にしたくなる。作品が持つポジティブなパワーは前作「フルハウス」から受け継がれたもの。生意気盛りの女の子たちは大人になり、ヘルシーなユーモアとハートウォーミングなテイストは健在ながらも、キャストと同様に大人になった視聴者が楽しめるコメディドラマに仕上げた。1980~90年代にかけて放送された「フルハウス」は、世界中で愛されたシットコム。妻を事故で亡くした父親が、亡き妻の弟、親友の男ばかりで娘3人の子育てに奮闘する姿を描き、血縁関係を越えた絆は笑いあり涙ありの名作だ。それから約20年を経て帰ってきた「フラーハウス」は、タナー家の長女DJと次女ステファニー、そしてDJの親友キミーがメインキャスト。3人の息子の母であるDJは夫を亡くし、サンフランシスコの実家に身を寄せることに。姉を助けるためにステファニーと、シングルマザーとなったキミーの母娘が引っ越してきて、ひとつ屋根の下に新しいごちゃ混ぜ大家族が誕生する!
物語の軸となる子どもたちやキミーが巻き起こすドタバタトラブルは変わらず、3人の恋愛模様は続編ならではの見どころ。前作で三女を演じた、ザ・ロウのデザイナーであるオルセン姉妹は残念ながら出演していないが、他のキャスト陣はそろって出演し、懐かしい顔に再会できる。
Netflixシリーズ「フラーハウス」」独占配信中
-
Michael Yarish/Netflix
『デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~』
「フラーハウス」や「フレンズ」などアメリカがお得意とするシットコムを、アイルランドの高校生の日常にフォーカスして制作したところ人気も評価も獲得した「デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~」。シットコムについて改めて説明すると、登場人物や場面設定が限定されたシチュエーションコメディで、1話完結型で笑ったり泣けたりする気軽さが魅力だ。「デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~」の舞台は、1990年代の北アイルランド・デリー。当時の北アイルランドは地域紛争の最中で、本作のクリエイターであり脚本家のリサ・マッギーは自身の10代の頃をベースにし、北アイルランド問題も大きく関係する。しかしながら青春真っ只中の10代の子どもたちにとっては高校生活の方が大問題。カトリック系の学校に通う仲良し5人組を中心に、高校生活や家庭でのドタバタをユーモアたっぷりに描く。
エリン、クレア、オーラ、ミシェル、ジェームズは決して不良なわけではないが、やることなすことが裏目に出てトラブルになりがちな、愛すべき5人のティーンエイジャー。お店を手伝えばボヤ騒ぎになり、試験を逃れるために教会でお告げを受けたとデタラメを言い騒動を起こしたり。10代特有の馬鹿馬鹿しさが最高に面白いのだが、彼らの浅はかさは純粋さでもあり、見当違いな思い込みは情熱ともいえる。思春期を経験した人なら、どこか思い当たる部分があって温かい気持ちになるはず。UK特有の辛口なジョーク、リアリティあふれる90年代カルチャーも満喫することができ、見れば見るほどクセになるシットコムだ。
Netflixシリーズ「デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~」」独占配信中