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『ホーム・アゲイン』
「これぞラブコメ!」な作品にリース・ウィザースプーンが帰ってきた。ハリウッド随一の才媛である彼女はプロデューサーとしても手腕を奮う社会派やヒューマンドラマ作品で業界に新風を吹かせてきたけれど、「キューティ・ブロンド」シリーズの彼女を知っている人なら淋しさを感じることも少なくないはず。女王が帰還作に選んだのは、ハートウォーミングなNetflix映画『ホームアゲイン』。
リース演じるアリスは夫から別居の申し出を突きつけられ、LAにある有名映画監督だった今は亡き父親の家へ子どもたちを連れて引っ越すことに。葛藤や傷心から気持ちを切り替え新しい人生のスタートをはじめようとしたタイミングに、偶然出会った自主映画制作をする若者、ハリー、ジョージ、テディの3人組を成り行きで下宿させることに。子守りや家のことをしてくれる彼らに忙しく働くアリスは助けられ、子どもたちも懐いて、足りないところを補い合う関係は、皆がウィンウィン。イケメンたちとアラフォー女性がひとつ屋根の下という設定はちょっと現実離れかもしれないけど、このファンタジーこそラブコメたる所以! 設定はぶっ飛んでいようが、地に足ついたキャラクターとして描かれているアリスの姿には共感できるところも多い。ありきたりではないラブコメは、家族のあり方や、人との距離感など今の時代にマッチしていて、観た後は優しい風に吹かれたような気持ちに。
Netflix映画『ホーム・アゲイン』独占配信中
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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
京アニの愛称で親しまれ、多くのアニメを手がける京都アニメーションは、その優れた品質で国内外から高い評価を得てきた。こちらの「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は京アニの文庫レーベルから刊行された小説が原作。圧巻の映像美で描かれ、“泣けるアニメ”と評判になりアニメファン以外をも虜にする魅力を持つ作品だ。
孤児であったヴァイオレット・エヴァーガーデンは軍人として育てられ、戦いこそは超一流だったが感情を育む機会を持てず人形のよう。大戦も終わり、ヴァイオレットが始めた仕事が、依頼主のために手紙を書くという代筆業だった。ヴァイオレットがこの仕事を始めたのは、上官が最後に告げた言葉「あいしてる」の意味を知るため。依頼主の気持ちを言葉に代えて綴ることで、ヴァイオレットは段々と愛とは何かを知り、彼女自身も変化していく。リアルな私たちの暮らしでは便利な連絡ツールがあふれているが、どれだけ素直な気持ちを伝えられているだろうか。観終わった後には心が浄化されたような余韻と共に、思ったことを相手にちゃんと伝える大切さに気付かされるはず。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」配信中