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「5カ国のルーツは私だけの個性」。嵐莉菜、演じることで見つけた自分らしさ。【次世代を担うフレッシュエナジー】

これからの時代をリードしていく注目の“ゲームチェンジャー”をVOGUE GIRLがピックアップ! 今回は、18歳のモデル・女優の嵐莉菜が登場。初主演映画『マイスモールランド 』がベルリン国際映画祭で「アムネスティ国際映画賞スペシャル・メンション」に輝いた新星に、今考えていることや、見据える未来についてASK

―現在、公開中の映画『マイスモールランド』は、初めての演技のお仕事だったそうですね。
役をいただいて、台本を読んで、セリフを覚えてっていう本格的な演技は初めてでした。もともと興味はあったのですが、お芝居をお仕事にできるのはまだ先の話だと思っていたんです。でも、この映画を通して演技をすることは、こんなに楽しいんだと知って…。それと同時に、私自身演じることをすごく魅力的に感じていたんだと痛感したんです。現場では必死だったけれど、撮り終わってからもっとやってみたいと思うようになりました。

―嵐さんが初めてのことにチャレンジするときは、ワクワクと不安、どちらの気持ちの方が大きいですか?
始まるまですごくワクワクしているんですけど、直前になるとすごく緊張するタイプです(笑)。「こうなったらどうしよう」とネガティブな方に考えちゃったり、不安が大きくなっちゃったり…。

 ―では、クランクインの時はやはり不安を感じましたか?
不安でした! 私は演技自体初心者で、周りは先輩方やベテランの方ばかり。私が主演なのに足を引っ張ってしまうんじゃないかな、とプレッシャーも感じていました。でも、監督をはじめ共演の方、スタッフの方など、周りの方がすごく支えてくださって、無事にクランクアップまで走れたという感じです。

―今回主演した『マイスモールランド』は、難民として日本で暮らすクルド人家族のお話。主人公のサーリャは5歳で来日し、日本の高校に通う17歳の女の子です。難しい役どころでもあったと思いますが、チャレンジしてみようと思った理由はありますか?
彼女の置かれている状況や、抱えている問題に考えさせられ、またアイデンティティについて共感するところがあり「この役を演じたい!」と思いました。本格的な演技は初めてで、大きな挑戦だったのですが、思い切ってオーディションに臨みました。

―嵐さんがサーリャ役に選ばれた理由を考えてみたことはありますか。
どうして私を選んでくださったのかは、私も川和田監督にすごく聞きたいです(笑)。でも、オーディションのときに「自分はなに人だと思いますか」という質問があって…。私はそのときに「日本人だと思うけれど、そう言っていいかわからないんです」と正直に答えました。それが監督の印象に残ったというお話はうかがいました。

私は日本、ドイツ、ロシア、イラク、イランと5カ国のルーツを持っているのですが、日本生まれの日本育ち。「日本人です」と言いたいけれど、見た目で外国人と判断されてしまうこともあって、特に幼少期は「私は他の人と違うのかな」という葛藤があったんです。たぶんきっと多国籍なルーツを持っている方なら、一度は思ったことがあるんじゃないかな? 監督も海外にルーツのある方なので「自分を日本人と言っていいかわからない」という感情は、私も監督も、そしてサーリャも共通して抱えているものだと思いました。

―今回の作品では、嵐さんの実際のご家族がサーリャの家族の役を演じています。家族とお芝居をするのはいかがでしたか?
最初はすごく恥ずかしかったです! 普段、両親に自分がお仕事をしているところを見られることがないので、間近で演技をするのは緊張しました。それに、家族も私も演技初挑戦で、私たち本当にできるの?って(笑)。けれど映画を観た方が、私たちが本当の家族だと知らずに「家族でラーメンを食べるシーンがすごく良かった」って言ってくださって。撮影中は必死で全然気づかなかったんですが、本当の家族だからこそ出せた温かい雰囲気があったのかなと思い、すごく嬉しかったです。私だけじゃなく、私たち家族にとっても、大切な宝物のような作品になっています。

―今回の映画には、キーとなる役として奥平大兼さんも出演されています。同世代の役者さんとの共演は刺激になりましたか?
そうですね。役者として先輩の奥平さんには、「段取り」というようなお芝居の世界の業界用語を教えてもらったり、アドバイスをもらったり、本当に助けていただきました。私がふと疑問に思って「撮影前に気持ちを落ち着かせるためにどんなことをするの?」と、聞いた時には「耳を塞いで音をシャットアウトして、目をつぶって無になる」と教えてくれました。今まで奥平さんが共演した役者さんたちにも、独自のルーティンやおまじないみたいなものがあるそうなんです。

―嵐さんも奥平さんのルーティンをやってみましたか?
一緒にやりました! でも、私にはいまいちで(笑)。11人自分に合うものがあるらしいので、人のものをマネしてもダメだなと反省しました(笑)。私は、ルーティンのようなものはまだ見つけられていないので、今後見つけられたらいいなと思っています。

―同世代の活動は、普段からチェックしていますか?
します! 「すごいな、私もこうなりたいな」と思う人の活動は刺激になりますね。例えば、最近友達になったモデルのJCは、私の1個上なんですが、オーラがあって同世代とは思えなくて…。彼女はショーモデルとしていろんなブランドともお仕事をしていて、本当にかっこいいんです。JCと話していると「私と同じくらいの年齢でこんなに世界を見てる子がいるんだ」と刺激になって、私も頑張りたいなと思えます。

―他にインスピレーションを受けるアーティストはいますか?
レディー・ガガ、ブラック・アイド・ピーズ、ニッキー・ミナージュは私の中のトップアーティスト。初めて好きになって、CD買って、永遠に大好きな憧れのアイコンです! モチベーションを高めたい時は、彼らの音楽を聞いてスイッチを入れます。最近だと、リル・ナズ・Xもすごく好きなんです。自分へのヘイトを作品の糧にしているところが本当にかっこいいなと思います。私も外見や国籍がコンプレックスだった時期があったので、逆にそれを武器にして活躍している人たちを見るとコンプレックスも私の個性だと思えて、自分のことが好きになれる気がするんですよね。

―今は嵐さんも自分自身のルーツをポジティブに受け入れていらっしゃるんですね。
そうですね。以前は、人前で5カ国にルーツがあることを説明することを億劫に感じていました。複雑だし、理解してもらうのに時間もかかるので…。映画の中で、サーリャが同級生に自分はクルド人と説明することを避けて、ドイツ人だと言うシーンがあるのですが、私も「ルーツはドイツ人」とだけ言っていた時期があったんです。けれど、このお仕事をするようになってから、5カ国のルーツは私の個性なんだと堂々と話せるようになりました。

―特に、どんな部分が自分だけの個性だと思いますか。
メイクによって顔が変わるところです。5カ国の血が混ざっているからこそ、メイクの仕方によって雰囲気や表情をガラッと変えられるんです。誰とも被らないものだと思っているので、モデルでもお芝居のお仕事でも、これからもっとこの個性を活かしていけたらいいなと思います。

―プライベートでもメイクは好きですか?
すごく好きです! 例えば70年代っぽいファッションの日は、バサバサまつげに青いシャドウ、そこにビビッドなピンクをちょっとだけ足します。服装や気分に合わせて、カラーやメイクの雰囲気を変えるのが大好きなんです。

―メイクで一番こだわるポイントは?
まつげです。上がっていることが絶対条件(笑)! それから、いろいろなメイクさんと仕事でお会いしたことで自分のこだわりになったのは、お仕事の時やたくさんの人に会う時はアイシャドウを薄くすること。私は彫りが深い顔立ちなので、ノーメイクでも目にシャドウをしているように見えるんですね。だから、ちょっと強めにシャドウを入れると怖い印象になっちゃう。メイクさんに「薄い方が盛れるよ」って教えてもらってから、薄いブラウンやラメだけのアイシャドウにもトライするようになりました。でも、気心の知れた親友と遊ぶ時やファッションを楽しみたい時は、あえてブラックのシャドウをぎゅっと入れて、パワフルなムードを出すこともあります!

―自分に自信が持てるのはどんな時ですか?
お仕事の時です。現場に立つと力がみなぎるんです。私は仕事をしているときが、たぶん一番元気だと思います(笑)。でも、その一方でずっと不安でもあるんです。特に初めましての方が多い現場は、緊張してしまって自分で自分を勇気づけられないことも。だから仕事の前に友達に連絡して「大丈夫だよ。莉菜は最高に可愛い!」って、言ってもらっています(笑)。それから、マネージャーさんや、メイクさん、スタイリストさんなど、周りの方に「大丈夫だよ、いけるよ」とポジティブな言葉を言ってもらえることは、本当にありがたいです。私のポジティブの源は周りの人なんですよね。

―いつか共演してみたい憧れの俳優はいますか。
同じ事務所の先輩でもある、中条あやみさんです。モデルとしても、役者としても、素敵なお仕事をたくさんされていて…。なのに、お会いするとすごく気さくというか、親しみやすく接してくださるんです。大ファンなので、うまく喋れないこともあるんですけど(笑)。人柄もお仕事も、すべてにおいて私もこんな人になりたいと思う憧れの人です。中条さんのように、多くの人に愛されるような存在になれたらと思っています。

―ほかにも、お仕事をご一緒してみたいクリエイターの方はいますか?
脚本家であり監督の福田雄一さんです。福田監督の作品はほぼ見ていて、新作が出るたびにチエックしています。漫画の実写化もやっていらっしゃって、私も非現実的なストーリーを演じてみたいなと思っているので、いつか福田監督の作品に出るのが夢です。

―今後チャレンジしてみたい役は?
アニメがすごく好きなので、漫画やアニメの実写化作品に参加してみたいです。一番好きなアニメは『転生したらスライムだった件』。キャラクターのデザインや、ストーリーが本当にタイプなんです! グッズもずっと集めていて、フィギュアもこの前ゲットしました。もし実写化したら、主人公のリムル役を絶対に、絶対に演じたい! 作品への愛は誰にも負けません(笑)!

53日に18歳のお誕生日を迎えられたばかりの嵐さん。自分にお誕生日のギフトを贈るとしたら何をプレゼントしたいですか?
なんだろう! 悩むけれど、ピアスがいいかな。高校生なので、まだハイブランドのものを買ったことはないのですが、素敵なブランドのものをお守りのように身につけられたら素敵ですよね。 

―この春狙っているファッションアイテムはありますか。
今日、衣装で履いていたようなローライズのスカートです。パンツは持っているのですが、スカートは持っていなくて…。「ミュウ ミュウ」は、ミニスカートもかわいいですよね。コレクションのミニ丈のシャツとニットを合わせたコーディネートも素敵だなと思っていました。高校生の私ではまだまだ憧れのブランドではあるのですが、インターナショナルなブランドのファッション感覚もこれからどんどん取り入れて、もっともっと世界を知っていきたいです。

  • 嵐莉菜

    2004年生まれ、埼玉県出身。「ミスiD2020グランプリ受賞。2020年より、ViVi専属モデルとして活躍中。日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアの5カ国にルーツを持つ。初演技にして初主演となった映画『マイスモールランド』が、第72回ベルリン国際映画祭で「アムネスティ国際映画賞スペシャル・メンション(特別表彰)」を授与された。Instagram @lina_arashi

  • 『マイスモールランド』

    『マイスモールランド』

    是枝裕和監督が所属する映像制作者集団「分福」の川和田恵真監督による、商業映画デビュー作。クルド人の父と妹、弟とともに幼い頃から日本で育った17歳のサーリャ。埼玉でごく普通の高校生活を送っていたが、ある日、一家の難民申請が不認定となり日常が一変。過酷な環境下で、自らのアイデンティティに苦悩しながらも成長する少女の姿を描く。

    『マイスモールランド』
    2022年5月6日(金)より公開中
    https://mysmallland.jp
    配給:バンダイナムコアーツ

MODEL:LINA ARASHI PHOTOS:WAKABA NODA @ TRON STYLING : MICHIE SUZUKI HAIR & MAKE UP : YUKO AIKA @ W INTERVIEW & TEXT:YOKO ABE EDITOR:SAYA YONEKURA

<嵐莉菜着用>ジャケット¥275,000、シャツ¥126,500、スカート¥165,000、中にはいたショーツ¥35,200、ベルト¥64,900、ヘアクリップ¥55,000(すべて予定価格)/すべてMIU MIU(ミュウミュウ クライアントサービス tel.0120-45-1993) ソックス/スタイリスト私物
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