これからの時代をリードしていく注目の“ゲームチェンジャー”をVOGUE GIRLがピックアップ! 今回は、21歳にして11年のキャリアを持つ女優、山田杏奈が登場。TVドラマ『未来への10カウント』で意志の強い高校生役を演じ、鮮烈な印象を残した彼女は、今後もドラマ『新・信長公記』への出演や初舞台が控えている。今年、活躍の幅をさらに広げる彼女に、仕事やプライベート、見据える未来についてASK。地に足のついた考え方と力強い眼差しで明るい未来を引き寄せる、山田杏奈の魅力に迫った。
大切なことは自分が決める。山田杏奈が引き寄せる、力強い未来。【次世代を担うフレッシュエナジー】
選んだ方にしか物事は進まない。退路を断つことで広がった女優としてのキャリア。
―10歳でデビューし、21歳にして11年のキャリアがある山田さん。10年以上この仕事を続けられている一番の理由は何ですか?
なんだかんだ、芝居が好きだからだと思います。好きじゃなかったらたぶん、すぐ辞めていたかもしれないです。悩むことも多いですが、作品の度に違う方たちとひとつのものを作ることも面白いです。
―お仕事以外でも、ひとつのことを長く続けられるタイプですか。それともいろんなことに挑戦してみたいタイプ?
趣味みたいなものがあまりなくて、仕事ほど長く楽しいなと思いながら続けられていることはないかもしれないです。好きなことが、仕事になって広がっている気がします。
―好きなことを仕事にできているという実感があるんですね。女優の仕事で頑張っていこうと決めたのはいつ頃ですか。
高校3年生のときです。進学した高校は勉強を頑張る友人も多く、私も当たり前に大学へは行くものだと思っていました。けれど、卒業のための出席日数が足りないかもしれないとう状況。ちょうどそのタイミングで決まった映画『小さな恋のうた』は、1ヶ月間沖縄で撮影をするという作品でした。出れば、その年の卒業はできない。その役をやるかやらないかという2択で、私は学校を移って「やる」という決断をしました。そのときは、人生で大学に行くことはないだろう、必然的に仕事だけなると思って本当に悩みましたね。
―その悩みは誰かに相談しましたか。
「大学に行かないかもしれないんですが、どう思いますか」と、いろんな人に相談しました。家族はもちろん、現場のスタッフさんや先輩にも。仲がいいというわけではない、本当にちょっと会っただけの方にもとにかく聞いてもらいました(笑)。この業界だからということもあるかもしれないのですが「大学は何歳になっても行けるからね」と、言ってくれる方が何人かいて、その言葉が決断の後押しになりました。
もうひとつ、高校生の頃からずっとお世話になっているチーフマネージャーが「退路を断つことも大事だ」という話をしてくれたんです。選択肢を複数残しておくのではなく、自分をその場所に置く決断をすること、覚悟を持つということを……。そのときは大変だなと思ったんですけど、結局は選んだ方にしか物事は進んでいかないので、今となってはあのときに自分できちんと選択することができてよかったなと思っています。
憧れの先輩の姿から学んだ、仕事への向き合い方。
―TVドラマ『未来への10カウント』では、凛とした意思のあるボクシング部の高校生役が話題に。『HERO』などを手がけた福田靖さんの脚本で、『書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活』に続けて、山田さんは2度目のキャスティング。ヒットメーカーから、もう一度仕事をしたいと声が掛かったときはどんな気持ちでしたか。
キャスティングしていただいた経緯はわからないんですが、福田さんの脚本がすごく好きなので、純粋に嬉しかったです。『書けないッ!?』のとき、全然ダメだとは思われなかったから次も呼んでいただけたのかな、という嬉しさも少しあって(笑)。同じ高校生の役ではあったんですけど、話の内容も違う、テイストも違うドラマで、また福田さんの書いたセリフが言えることはモチベーションにもつながりました。『書けないッ!?』は、口で言ってセリフを起こす福田さんご自身の体験をベースにした作品。『HERO』を書いていたときもこの方法だったそうなんです。その『HERO』に出られていた木村拓哉さんとは、今回の『未来への10カウント』でご一緒できて、お仕事って人と人の縁でつながっていくものだなと思いました。
―『未来への10カウント』で共演した満島ひかりさんも、山田さんにとってずっと憧れの存在だそうですね。実際に共演してみて、いかがでしたか。
共演する前から、取材などで憧れの人や好きな人はいますかと聞かれたら、満島ひかりさんと答えていて、今回ご本人にも好きですと直接お伝えできました。初めてご一緒して、近くでお芝居を見ると改めて素敵だなと思ったのと同時に、お芝居に対して一切手を抜かない真摯な姿勢が、かっこいいなと思いました。多くの作品に出られて、たくさんのキャリアがある方なのに、ずっと変わらず、仕事にまっすぐに向き合う。仕事をしていると時には雑音が入ってくることもあるけど、自分の中でこういう芝居がしたいとか、私もそういうことを考え続けたいと思いました。
―山田さんにとって、学びの多い現場だったんですね。高校のボクシング部が舞台のドラマで、年齢の近い役者さんも多かったと思うのですが、同世代の活躍は気になりますか。
共演した坂東くんのBOY FRIENDの記事、全部読みました! 坂東くんの個性がそのまま記事になっていて、とてもおもしろかったです。今回、共演した1人1人、みんなに素敵だな、勉強になるなと思ったところがたくさんありました。同世代の魅力ある人がいる中で、じゃあ私はどうしていくのがいいかな、と考えることが多かったかもしれません。普段から私は、あまりバチバチ、メラメラしないタイプ。同世代の女優さんが出ていて悔しいなと思うことはあるけど、その人にはその人の魅力があって、自分にできないときはできない。今の自分が巡り合わなかったのだからと、そこはある程度割り切って考えるようにしています。
―7月24日スタートのTVドラマ『新・信長公記』にもヒロインで出演する山田さん。今日のインタビューではまだキャスが発表されていないタイミングですが、高校が舞台の作品なので次回の共演も同世代の役者さんが多いですか。
実は同世代はあまりいなくて、上の方だと48歳。平均年齢30歳? いや、35歳ぐらいじゃないかな(笑)。個性豊かな俳優さんが高校生役で、私は年齢でいうと下の方。男性が多い現場なのですが、休憩のときは椅子を並べてみんなで話しているんです。緊張して、どうしようかと思っていると、先輩たちが会話に加えてくださって、温かい現場で刺激のある毎日を送っています。
自分の強みに固執せず「いいね」と思ってもらえる個性を増やしていきたい。
―山田さんの演技には眼差しで語る、強さがあります。自分の強みとして、眼差しについて話されていることもありますが、自分の魅力やチャームポイントに気づいたのはいつですか。
最初に「目力があるね」と言っていただいたのが、城とドラゴンというCM。15歳ぐらいのときのオーディションだったのですが、カメラだけがポンとあって、それを見ながら歌うというものでした。そのときの現場にいた方に目力があると言っていただいたのがいちばん最初かな。ここがいいねって言ってもらえるところがあるのは、純粋に嬉しいです。だた、「いいね」って思ってもらえる部分は、ひとつだけじゃなくてたくさんあるに越したことはないと思っています。実は、今度初めての舞台をやるんです。目で表現することは私もずっと大切にしてきたことですが、舞台だと映像のように目だけの絵を撮ってくれるわけではないので伝わらないことが出てきてしまう。自分の得意なことや強みに頼りすぎず、固執せずに、それ以外のところもしっかりやっていきたいです。
―ほかに、山田さんが思う自分のチャームポイントはどこですか?
耳の形がきれいと言われることがあるので、耳です(笑)。あとは声。声のお仕事も今後挑戦してみたいことのひとつです。この間ドキュメンタリーのナレーションを初めてやらせていただいたんですが、すごく楽しかったので、ゆくゆくは声で演技をするお仕事ができたらいいなと思います。
―山田さんの声は落ち着いていて、心の奥にすっと入っていくような穏やかさがありますね。
あ! それでいうと、国語の時間の朗読も大好きで、得意でした(笑)。
―作品ごとに多くの人と関わる仕事ですが、コミュニケーションや人との付き合いは得意ですか?
私、人見知りなんです。10代の頃は、知らない人や初めての人と話すことに対して、すごくナーバスだったんですが、20歳手前くらいのころから、自分から話したいという気持ちが芽生えるようになりました。10代は、いろんなもやもやした気持ちを抱えていて、ちょっと反抗期だったのかもしれません(笑)。今はそれが落ち着いてきて、人と話すことって楽しいなと思います。でも、話題を振るのはまだ苦手で、心の中ではどうしようと思っています(笑)。
―気分が落ち込んだときや悩みがあるときは、どういうふうに自分の気持ちを立て直しますか。
悩んだり落ち込んだりすることは少ないのですが、落ち込んで、もうどうしようとなったときは「大丈夫、何をしたって生きていける」という言葉を自分にかけるようにしています。極論、女優の仕事をやめることになったとしても、大丈夫。そうなったらバイトすればいいんだって。みんなそうなのかもしれないけど、私の場合は10代からこの仕事でしか生きてきてないので、仕事の悩みがダイレクトに「どう生きていこう」に繋がってしまうんですよね。そうなったときには「もうしょうがないな!」と思うようにしています。この仕事はとても大事にしているけれど、仕事が私の人生すべてではない。私の軸は、私自身が決めるんだからと、ほかの楽しい発見や出会いにも目を向けて、あまり惑わされないようにしています。
―女優という仕事の一番のやりがいは?
多分なんですが、私にしかできない仕事だから。みんな替えがきかない存在ですが、私がやるから魅力ある役になったと思ってもらいたいということはいつも考えています。役を与えていただけるのは、いろんな人の中から私を選んでもらった、求めてもらえているということ。そういったことも、自己肯定感や仕事への責任感に繋がっているのかなと思います。
クランクアップの日は、ご褒美のジャンクフードでリセット!
―プライベートのことも教えてください! 山田さんにとってのご褒美フードは何ですか?
ステーキと焼肉です! 焼肉はタンとハラミが好きで、ステーキはレア派。あとはカップ焼きそば!
―カップ焼きそば!?
ジャンキーなものが好きなんです(笑)。クランクアップして帰ってきた日は本当に好きなものを食べるというのが習慣になっていて、この間の『未来への10カウント』のクランクアップのときもコンビニに寄って、ポテチとカップ麺、それから1人で飲もうと思ってお酒を買って帰って食べました(笑)。「あー、終わった」って、開放感に浸りながらジャンキーなものを食べるのが、ひとつのリセットになっているかもしれないです。
―好きな香りはありますか。
ウッディ系の匂いが好きです。サンダルウッドの香りとか……。香水は、気分によって変えているのですが、さっぱりした香りが好きでメンズのものを使うこともあります。
―最近、読んだ本や観た映画で印象に残っているものは?
ちょうど昨日、映画『トップガン マーヴェリック』を観ました。今は仕事で作品が続いているせいか、邦画よりはスカッとするアクションや「こうなるよね!」みたいな結末の見える洋画を観ることが多いです。
―本格的なアクションの役がきたらチャレンジしてみたいですか?
『未来への10カウント』のボクシングシーンは、ボクシング指導の松浦さんやアクションチームに教えていただいたんですけど、私は本当にスポーツやアクションの素質はないんだろうなと実感しました(笑)。謙遜じゃなく……(笑)。でも、ボクシングをやったおかげで、体を動かすことに対する抵抗が少なくなったので選択の幅は広がった感じがあります!
流されない、自分の核となる価値観や判断基準を持てる大人に。
―山田さんにとって、素敵な大人とはどんな人ですか。
難しいですが、周りの環境が変わっても、ひとつ自分の芯となる何かを持っている人だと思います。私はまだ、どうしても気持ちが揺らいでしまうときがあるのですが、ここだけは揺らがない自分の核となるものを持ちながら、判断や決断ができる人になれたらいいなと思います。
―活躍の幅がどんどん広がっている今、同世代や下の世代にとって、自分がどういう存在になれたらいいなと思いますか。
まだ誰かから憧れてもらう側には全然なってないんですけど、先日、年下の役者さんに「お芝居が好きです」と言ってもらえたことがあって……。そのときは「そんなそんな、私なんて……」と返してしまったんですが、そこは自信と裏付けを持って「ありがとうございます」と言えるように、1個1個の作品にしっかりと関わっていきたいです。自分の中でぶれない判断基準を持って、自分はこういう人なんだということを、仕事を通して発信できたらいいですね。
―次の世代を担う1人として、意識していることはありますか。
今、この世界の先輩たちの中にも、いろいろと変えようと動いている方がいます。私はまだ、行動を起こすまでのことはできていないのですが、そういうアクションにはちゃんと関わっていきたいと思っています。この世界で生きて、これからも仕事を続けていくためもそう思います。
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PLOFILE
山田杏奈/女優。2001年生まれ、埼玉県出身。2011年「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリを受賞し、デビュー。2018年、映画『ミスミソウ』で初主演を務め、2019年の『小さな恋のうた』では第41回ヨコハマ映画祭で最優秀新人賞を受賞。最近では、2022年4月期TVドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日)で、意思の強いボクシング部の高校生を演じ、好評を博した。2022年7月24日(日)よりスタートするKing & Prince、永瀬廉主演のTVドラマ『新・信長公記』(日本テレビ系)では、ヒロインを演じる。
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