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フラワークリエイター篠崎恵美さんに聞く、お花の個性を引き出す自由な感性。【中条あやみが学ぶ、プロたちの⼼意気VOL.3】

中条あやみがゲストエディターとなり、憧れのプロにインタビューする人気連載。第3回目は仕事で何度か一緒になり、そのセンスに惚れていったという、フラワークリエイターの篠崎恵美さんが登場! 「篠崎さんのお花って、ほかの人と違うからすぐわかるんです!」と断言する彼女が、フラワーアレンジメントの手ほどきを受けながら、篠崎さんがこの道を志したきっかけから、忘れられない失敗談まで、そのディープな半生を掘り下げます。


 

今回、話を伺ったのは……
フラワークリエイターの篠崎恵美さん。

撮影用の大型セットから店舗のディスプレイまで、花を用いて多彩なクリエイションを仕掛ける篠崎さん。花屋での6年間の下積み期間を経て、2009年に独立。フラワーアレンジメントを軸にキャリアをスタートさせた彼女は、2015年に週末だけオープンする花屋「edenworks bedroom」をオープン。その後もドライフラワーを専門に扱う「EW.Pharmacy」、紙の花のブランド「PAPER EDEN」を展開するなど、花を通してあらゆる表現方法を模索。また服飾を専門的に学んでいた背景をいかし、ブランドとの多数コラボレーションを行うなど、花とカルチャーとの橋渡し的な役割を担ってきた。「篠崎さんがつくるお花って、自由でのびのびしていて、見ただけですぐわかるですよね。現場で見かけるご本人もおしゃれだし、良い意味でお花屋さんぽくないなと、ずっと気になっていたんです(中条)」

中条さんが心を奪われた、篠崎さんの独創的なフラワーアレンジメント。その魅力は、しきたりや固定観念に捉われない自由なアプローチにある。自然美を尊ぶイングリッシュガーデンの考え方を踏襲、草花の個性をいかしたストーリー性あふれるアレンジは、花にあまり関心のなかった若い世代をも魅了し、業界に静かな革命を起こしている。「お花の世界には、“これとこれを合わせるのはNG”っていう決まりごとがあるけれど、あまり気にしないようにしていて。もちろん冠婚葬祭など最低限のマナーは守りますが、好きなものを好きなように生けるのが私のスタイル。師匠についた経験もないので、あえて正解、不正解は設けないようにしてるんです(篠崎)」


 

センスの秘密に迫るべく、
フラワーアレンジメントを体験!

伝統やしきたりに縛られることなく、自由にのびのびと。そのフィロソフィーに深く共感した中条さんに、普段のお花の楽しみ方を尋ねると、お花屋さんで同じ花をまとめ買いして、小さ小さな花瓶に分けて自宅のいろんなところに飾るのが定番だそう。今回は、そこから一歩踏み出すべく多彩なアレンジメントを篠崎さんに教わることに。

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①直感で花を選ぶ
好きな花をまず1本とったら、そこから花を摘むように気になる花をピックして、1つの生態系を作り上げる。イメージするならたくさんの野花が咲き乱れるイングリッシュガーデン。飾る場所や贈りたい相手を想定してイマジネーションを膨らませ、色や形を調整していく。「自分では選ばない花をミックスすることで、新しい気づきが生まれることも。性格が違うものを調和させるのって最初は怖いけれど、化学反応を楽しめるようになるとアレンジの幅も広がります(篠崎)」

②ベースを整える

生けたい花が決まったら花瓶を用意。茎が腐りにくいように水を1/3だけ入れて、ボリュームのある花を低めにカットし、花瓶の口を固めていく。「枝分かれしたお花は、ほかの花のストッパー的な役割を果たすので、ベースとして活用するのがおすすめ。マトリカリアやスイートサレンダーは最初に、アイリスやルピナスは最後にとっておき、ダイナミックなものとシャープなものが、バランスよく収まるよう調整していきます(篠崎)」

③茎の高さを調整する

インパクトのある花はカットして、角度や高さを調整するのも大事なプロセス。テーブルのふちに花瓶を持ってきて、花を正面に持ちながらベストな長さをシュミレーションしていく。「カットするときは、花瓶に近い部分に重量感のあるもの、花瓶から遠い部分にシャープなものをがくるようなイメージで。枝ものがうまく収まらない場合は、ハサミで解体してもOK。主役はつくらず、すべてが平等に共存する形を目指します(篠崎)」

④形に動きをつける

マトリカリアやスイートサレンダーなど、ベースとなる花の位置が決まったら、中央奥にすらりとしたアイリスをセット。そこから少し左右に飛び出すように、オダマキやスカビオサ、ルピナスをアクセントとして差し込んでいく。「左右が非対称にならないように、上からも俯瞰しながら、バランスをとっていきます。隙間が気になる箇所は、さらに小花で埋めていっても美しくなります(篠崎)」

完成品はコチラ>

「花瓶のなかに1つの世界をつくるように」というアドバイスを受け、なんと中条さんがイメージしたのは、1人の女性を取り巻く悲哀のラブストーリー! 主人公の強い女をアイリス、その脇に寄り添う優男をルピナス、2人の愛を祝福して身を引く怪人役をオダマキに見立てて、独創性あふれるユニークな世界観を構築。「花瓶の口を固めるリトルウッドやマトリカリアは、物語を盛り上げるバックダンサーですね(笑)。ストーリーを考えながら自由にやらせてもらえてすごく楽しかったし、アレンジもきれいに仕上がって大満足でした!(中条)」


 

「自分らしさ」に向き合った結果、
導かれるように、お花の世界へ。

中条あやみ(以下N):篠崎さんと初めてお会いしたのは、確か私が10代の頃でしたよね!

篠崎恵美(以下S):そうですね、そこから何度か、雑誌や広告の撮影で一緒になって。

N:篠崎さんが関わっている現場ってすぐわかるんですよ。お花がおしゃれで生き生きとしているから。今日はそのセンスの秘密を紐解きたくて。

S:えー嬉しい! ありがとうございます。

N:以前から、お仕事姿が格好いいなと憧れていたんですが、最初からお花の道に進もうと思っていたんですか?

S:いえ、それが違って。もともと自分を表現したくて、高校卒業後は文化服装学院でファッションデザインを学んだんです。

N:当初は洋服を作ったり、ブランドを立ち上げたいと考えていたってことですか?

S:高校のときの先輩が、自分で洋服を作ってショーをやっていて。それに感化されて服飾の道に進んだのですが、色々調べていくうちに、ファッション業界には憧れてしまうデザイナーが多くて「これって真似になっちゃうんじゃないかな」と疑念が湧いてきて。私には“自分らしさ”みたいなものが見つけられなかったんです。そのうち自分がデザインした服を恥ずかしいと思うようになり、発表するのも億劫になっちゃって……。

N:確かに。オリジナリティを突き詰めるすぎちゃうと、プレッシャーに感じてしまいますよね。

S:アパレル関係の仕事に就いてもずっとモヤモヤは消えなくて。そんなとき、あるお花屋さんにふらっと立ち寄ったんです。そこは生まれ育った実家を思い出すような、懐かしい感覚に包まれて。「スタッフ募集」の張り紙を見つけるやいなや「ここで働きたいんです」と、面接を申し込んじゃったんです。

N:え、すごい直感と行動力! 花屋さんのこと何もわからないまま、いきなり飛び込んだんですか?

S:はい。「ずっとここにいたい」という気持ちだけで(笑)。そのお店は、生花やドライフラワー、庭の植物などが混在しているお店で。なんとなく実家の景色に似ていたんです。母もそんな環境で、好きなようにお花を育てていたので。それで6年ほどそのお花屋さんで働いて、独立しました。

お客様が喜んでくれることが、すべて。
プライドはあっても、作品に執着はしない。

中条あやみ(以下N):篠崎さんは、フラワーアレンジメントだけでなく、ペーパー作品を手がけたり、ショップもいくつか展開されていますが、その原動力はどこから?

篠崎恵美(以下S):下積み中、傷んだお花を捨てるのが、とにかく辛くて。なので独立後は、アレンジに必要な分だけを仕入れ、廃棄をなるべく減らす努力をしました。紙で作った「PAPER EDEN」も、同様の発想でずっと楽しめる枯れないお花として提供しています。あとはもう「お客様の期待に応えたい」という一心。求められているものをしっかりヒアリングして、ぴったりのものを作ってあげたかった。

N:「期待に応えたい」という気持ちはすごくわかります。私も相手の要望を踏まえた上で「じゃあどうするか」を常に考えているから。クリエイティブな仕事といっても、その仕事の先には必ず人がいて。求められたものに”自分らしく応える”ことが大切なんですよね。

S:そうなんです。私は「みんなが良いと言ってくれたものが良い」と本気で思っていて。撮影でも花束を作るときでも「自分はこう見せたい」という欲求はないんです。どちらかというと、お花がどう活きるか、どう映るかのほうが大事で。お客様が喜んでくれることがすべて。だからスタッフがお客様と対話しながら作り上げた花束に、「それは違うよ」と言ったことは一度もないんです。

N:私も最近、自分の表現するものに執着がないことに気づき始めて(笑) 仕事に対するプライドや厳しさは持っておきたいけど、自分が積み上げたものは、相手に自由に使って欲しいなと。

S:うん、すごくわかります。

N:ちなみに篠崎さんは、いまの私の年齢(24歳)のとき、何をされていましたか?

S:お花屋さんに入って2年目だから、下積みの真っ只中だったかな。

N:ということは、夢に向かってひたすら頑張っていた時期?

S:朝から晩まで死に物狂いで働いていました(笑)。自分のルーツでもあるイングリッシュガーデンを実際に見るために、少しずつお金を貯めて、イギリスに留学しようと考えていたんです。朝5~9時までコンビニの早朝バイトをこなし、10時からお花屋さんに出勤する感じで、休みなく体を動かしていました。

N:並大抵のスタミナじゃない……! ちなみに独立後、留学されたのですか?

S:それが、貯金をポンドに換えて準備していたのですが、独立を心配してくださったお客様が、仕事をたくさん依頼してくれて。「この仕事が終わったら行こう!」とこなしているうちに、あっという間に2年が経っていました。結局そのポンドは日本円に戻し、仕事用の車を1台購入して……。

N:独立早々に仕事をいただけるなんて、本当にみなさんに愛されていたんですね。

S:仕事は選ばず何でもやりましたね。たくさんあるお花屋さんから、私を選んでくださったのがすごく嬉しかったから。誠心誠意、心をこめて期待に応えました。

「お花」が私の人生を変えてくれた。
だから自分の時間を差し出すのは苦じゃない。

中条あやみ(以下N):それから6年の下積みを経て、28歳で独立されるわけですが、いまでも忘れられない失敗ってありますか?

篠崎恵美(以下S):いっぱいあります。アレンジしたお花が、お届け先で無残に崩れていたり。あとは配送用に借りた2トントラックが煙を出して止まっちゃって、レインボーブリッジを封鎖した事もあります(笑)

N:えーっ『踊る大捜査線』の世界! でもアクシデントを乗り越えたからこそ、小さなトラブルでは動じなくなったのでは?

S:もともとは石橋を叩いて渡るような慎重なタイプだったのですが、お花に出会ってからハートが強くなりました。適当な仕事をするとバレてしまうし、お花を扱うのは緊張感がありますね。

N:いつチャンスが巡ってくるか誰にも分からないので、予期せぬ出来事に対応できる柔軟さ、フットワークの軽さは大切にしていきたいですよね。

S:本当にそう思います。

N:では最後にお聞きしますが、篠崎さんが思う”プロ”とはどんな人ですか?

S:自分の時間を優先するのではなく、お花の時間で動ける人かな。お花って放っておくとどんどん枯れてしまうので、休みや仕事を差し置いてでも、第一に考えないといけない。でもそれが未来に繋がることが大いにあるので、私はこのスタイルを崩したくないですね。

N:お花中心の暮らしが、篠崎さんの存在意義にも繋がるっていうことですよね。

S:自分のしたことで人が喜んだり幸せになることってそうないと思うので、この仕事は得るものが大きいんです。お花やお客様ののことを考えることが、廻り巡って自分の幸せに繋がるというか。

N:自己犠牲を厭わないひと、それがプロフェッショナルということですね。

S:結局のところお花に癒されてるんでしょうね。市場で同じ種類のお花を買っても毎回表情が違うから、何年経っても「可愛い!」って思ってしまうんです(笑)

N:常にフレッシュな視点を持ち続けること。それが仕事と楽しく向き合う秘訣なのかもしれないですね。ためになるお話をありがとうございました!


 

フラワーアレンジメントの体験後は、「マネージャーさんからの個性的すぎるプレゼントを可愛くしたい!」という中条さんのリクエストに応え、持ち込んだバレエボール大のオブジェを、和紙のお花(PAPER EDEN)で飾ってデコレーションしてもらうことに。

「このオブジェ、素材といい⾊といい、なかなか難しいですね(笑)」と言いながらも、とってもモダンに仕上げてくださった篠崎さん。ありがとうございました!

  • edenworks bedroom

    edenworksの原点とも言える生花を専門に取り扱うショップ。週末のみオープンする隠れ家のようなスペースは、ベッドルームのように心地よく、スタッフと親密にコミュニケーションをとりながらお花選びを楽しめる。

    住所:東京都渋谷区元代々木町8−8 3F
    営業時間:土日13:00-20:00(不定休)
    インスタグラム:@edenworks_bedroom

  • 衣装クレジット

    オーバーオール ¥19,800/HOLDFAST  Tシャツ ¥11,000/ALWEL(ともにグラストンベリーショールーム) サロン・シューズ/スタイリスト私物

    ■お問い合わせ先
    グラストンベリーショールーム
    03-6231-0213

MODEL: AYAMI NAKAJO @ TEN CARAT
PHOTO & MOVIE: TAKAKI IWATA
STYLING: SHIZUKA YOSHIDA
MAKEUP & HAIR: MAI OZAWA @ MOD’S HAIR
WRITER: YURI TANAKA
EDITORS: GEN ARAI, YUKIKO MOROOKA

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