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名店「ぼんご」で究極のおにぎり作りに挑戦【中条あやみの、気になる職人ファイル / VOL.1】

1つの世界を極めた人は、みなパワフルで個性があってかっこいい。中条あやみがゲストエディターとなり、憧れのプロに根掘り葉掘りインタビューする連載がスタート。記念すべき第1回目は、彼女が愛してやまない「おにぎり」の真髄に迫るべく、老舗おにぎり専門店「ぼんご」を訪問。実はお忍びで食べにきたことがあるほど、この店のファンだという彼女。夢だった板場に潜入、女将に手ほどきを受けてにぎったその味は? 対談も織り交ぜながら、初々しい取材ぶりをレポート!


 

今回、話を伺ったのは……おにぎり専門店「ぼんご」の女将右近由美子さん。

中条さんが真っ先に取材候補として挙げてくれたのは、JR大塚駅から徒歩2分にあるおにぎり専門店「ぼんご」。連日長い行列ができるこの店は、食いしん坊には名の知れた“おにぎりの聖地”。王道のさけや明太子、個性派の明太クリームチーズまで、常時56種類(!)の具を用意。カウンター前で手早くライブ感たっぷりでにぎられるおにぎりは、ホカホカでずっしりと重く、素朴ながらダイナミック! 手入れの行き届いた店内と相まって、いぶし銀な魅力を放っている。

「映画『千と千尋の神隠し』で、ハクが大きなおにぎりを半分にして千尋に渡すシーンがありますよね。私、あれにずっと憧れがあって(笑)。気になっていた『ぼんご』へ現場の合間に訪問し、テイクアウトしてみたことがあるんです。オーダーしたのは塩むすびと豚キムチ。待ちきれなくてすぐ車内で頬張ったのですが、それがもう感動的に美味しくって! 将来はおにぎり屋さんのお嫁さんになりたい。冗談じゃなく本気でそう思ってしまったんです(中条)」

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お店を取り仕切るのは、三角巾姿が最高にチャーミングな女将、右近由美子さん。ご主人が営んでいた「ぼんご」に客として通うようになり、結婚後は一緒にお店を切り盛り。18年前に旦那さんが亡くなってからは自らが代表に。もともと地元の常連さんに愛される人気店だったけれど、右近さんのパワフルでユニークな人柄がメディアの目にとまり、いまでは遠方からも若いファンが訪れるように「仕込みはもともと主人の弟がやっていたんですが、病気で倒れた翌日からいきなり私が担当に(笑)。そのうちに『にぎりも担当して』と主人に言われ、もうカウンター前にたつと緊張で胃がキリキリ。1週間で胃潰瘍になりました。でもほかににぎる人いないし、自分でやるしかなかった。昔から“勝ち好き”な性格なだから逃げずに続けられたのだと思います(右近)」。“負けず嫌い”ではなく“勝ち好き”という表現からも伺える女将さんのお茶目で前向きな人柄。「“勝ち好き”という言い方、いいですね! ポジティブだし、私も勝つのが好きだから、使いたいです(中条)」


 

出来立て、にぎりすぎない、具だくさん。「ぼんご」の美味しさ、3つの秘密。

なぜ60年以上にわたって「ぼんご」が熱い支持を受けるのか。その秘密を解き明かすべく、中条さんも実際におにぎり作りにチャレンジしてみることに。「うちのおにぎりって具材や海苔ではなく、あくまで米が主役なんです。使っているのは私の郷里、新潟の大粒のコシヒカリ。1時間浸水させて火力で一気に炊き上げるのですが、米の食感や風味を楽しんでほしいので、成形するときは空気を含ませてふんわりと。おにぎりの型を使い、できるだけにぎらないように仕上げます(右近)」。どこから食べても具材がまんべんなく行き渡るよう、具材を指で散らしながら豪快入れ込むのもポイントだそうで、海苔を包装紙に見立て、お米がくずれないように素早く包んでいくのも、この店ならではのこだわり。

<STEP1>
両手を冷水に浸し、ふきんで軽く水気をとったあと、しゃもじで炊き上がったご飯を空気を入れながらほぐし、100gほど掬いとって軽く手の平でまとめる。こうすることで、アツアツのお米が手にひっつくことなく、楽ににぎることができるそう。

<STEP2>
すくったごはんを特注のおにぎり型の上に置き、真ん中にくぼみをつくったら、そこに具材を置いて指でちらしていく。そのあと新たにごはんを70gほどすくいとり、中央を指でくぼませて具材の上にかぶせ、最後に型ごとひっくり返し、力を入れずに軽く形を整えるのみ。

<STEP3>
軽く形成したおにぎりは、指に塩をつけてあと3回ほど三角ににぎっていく。ポイントはにぎるのではなく、ご飯同士をくっつけるような意識でやさしく形づくっていくこと。最後に手際よく海苔でラッピングし、中の具がわかるよう上に同じ具の目印をつけたら完成!

今回つくったのは、お店一番人気の「すじこ+さけ」(1個610円 ※税込)。ちなみに向かって左が右近さん、右が中条あやみ作。ちょっぴり形はいびつだけれど、初挑戦とは思えない出来栄えで、右近さんも「素質あるじゃないですか!」と太鼓判。

出来上がったおにぎりを前に、2人で記念撮影。「私、死ぬ前に食べたい物がおにぎりとお味噌汁なんです。だから憧れの店を取材できて、ほんとに嬉しいです。実際に自分でつくって食べたおにぎりは本当にふわふわ。意外に上手くできていて感動しました(笑)。お米も具材も海苔もすべてがケンカしていない。『ぼんご』のおにぎりは、本当に絶妙なバランスの上に成り立っているんだなって(中条)」

 


 

仕事の流儀、やり甲斐とは? ゲストエディター・中条あやみが 女将の右近さんに直撃!

ここからは中条あやみがインタビュアーとなり、ご主人との馴れ初め、仕事のやり甲斐、これだけは譲れないこと…etc。おにぎり街道のトップをひた走る、右近さんのパワーの源を深掘り!

INTERVIEW by AYAMI

「おにぎり、そして旦那さまとの出会いを教えてください!」

中条あやみ(以下N):右近さんは24歳のときに、創業者の旦那さんと結婚。「ぼんご」で働かれるようになったとのことですが、その出会いにもなにやら面白いエピソードが隠れていそうで。

ぼんご女将 右近由美子(以下B):そうです、主人に拾ってもらったんです、私(笑)。父親とそりが合わなくて新潟から逃げるように上京、上野の喫茶店で住み込みで働いていたんですが、東京で食べるごはんの味気なさにうんざりしていて。「あー美味しい白飯が食べたい」と嘆いていたら、友達が「大塚に美味しいおにぎり屋あるよ」と教えてくれて。

N:ということは、お友達のひと言がきっかけで「ぼんご」へ?

B:そうです。お米とお新香のあまりの美味しさに、見事にハマっちゃったんですよ。なんだか故郷を思い出ししちゃって……胸が詰まっちゃったんです。

N:聞いているだけでキュンとしちゃいますね、そのエピソード。

B:で、そこのおじさんがパチンコで獲ったあんみつの缶詰を出してきて「食べる?」って聞いてきたら、「いいおじさんだな~」って思いますよね、そりゃ(笑)。

N:それが後のご主人だったということですか? うわー、かっこいい! けっこうワイルドというか、引っ張っていくタイプの方だったんですか?

B:戦争に行っている人ですからね。まず食べていくために何をやろうって、じゃあ進駐軍でドラムを叩いてたら飯が食えるだろうって。それで店の名前が「ぼんご」なんです。

「仕事をしていて、いちばん嬉しかったことは?」

N:おにぎり屋をやっててよかった瞬間とか、言われて嬉しかったこととはありますか?

B:いっぱりありますよ。若いお嬢さんが食べている途中に「おばあちゃんが作ってくれたおにぎりを思い出しました」って急に泣き出しちゃったり。

N:わぁ、なんだかドラマみたいなエピソードですね!

B:私も心の中のおにぎりって、やっぱり母のおにぎりなんですよ。幼い頃の運動会や遠足の、こんなでかくて新聞紙で包んだおにぎりや、実家から東京に戻るとき母が必ず持たせてくれた、すじこのおにぎりだったり……。自分がどんなに頑張っても、その味は超えられない。だからみんながそれぞれ、思い描くおにぎりを持ってくれたらいいなと。

N:やっぱり最後はなんでもハートですよね(拳で胸を叩きながら)。

B:中条さんも女優をやっててよかった瞬間があるでしょう?

N:そうですね。以前ドラマでナース役をやったとき、私の姿に影響されて看護師を目指し、夢を叶えた方がいて。そういうメッセージをもらったりすると「ああ、やっててよかったな」って思いますし、たとえ嫌なことがあっても、「あやみちゃんの笑顔に元気をもらっています」と言われたら、私も笑顔で頑張ろうと励まされます。

B:結局のところ育ててもらってるんですよね、お客さんに。だから疲れて顔に覇気がないときは、私はなるべく店頭に立たないようにしています。みなさんに心配かけちゃうから(笑)。

N:右近さんて、とことんプロフェッショナルですよね。どうやったらその境地にいけるんですか?

B:プロ? プロも素人もないんじゃないんですかね。私は食で世の中の人がニコニコになれたらいいなって。そういう優しいものを作ってあげたい一心でやってきただけなんです。技術なんてみんな磨いたら一緒だし、早い話、お金儲けだけ考えてたら多分ダメですよね。ただ、そこに目に見えない真心とかひと工夫を込められる人を、みんながプロって呼ぶんじゃないですかね。

「やさしさと美味しさに溢れるこのお店。大切にしてきたことは?」

N:そういえば、以前、私がここに来た時もすごい行列だったんですけど、スタッフの方にとても親切に対応いただいて。

B:それは中条さんがおきれいだったからでは(笑)?

N:いえいえ、バレないように変装して来てたんですけど、入り口で立って待っていたら「持ち帰りですか? お時間かかるんですけどメニュー書いてお待ちくださいね」ってお茶を出していただいて。すごく親切というか優しさを感じるお店だなって。

B:私がスタッフにいつも言っているのは「自分がしてもらって嬉しいことは、お客様にもどんどんしたほうがいい」ということ。反対に「他所でされて嫌だったことは絶対にしないで」と伝えているんです。人によって感じ方は違うから線引きが難しいんですけど、基本ルールはそれですね。

N:外国から来るお客さんのために、メニュー表を4カ国語で用意していたりとか。それも愛ですよね。あ、ちなみにそのチェックの三角巾、鬼滅柄ですか!?

B:これはお客様からいただいたものです(笑)。マスクとか三角巾とか、みなさんが全部持ってきてくださるんです。足りないと営業できないから困るでしょう、と。本当に感謝です。

N:やっぱりぼんごさんって、周りの方からすごく慕われていますよね。「愛を持って接すると、愛が返ってくる」。そういうことでしょうか。

B:私たちはもう一生懸命に、お客様に美味しいおにぎり提供したい。ただそれだけの思いでやっているんですけどね。もう上手ににぎらなきゃいけない、上手ににぎらなきゃいけないって、それだけ思ってますから。

N:なんだか背筋が伸びる思いです。ちなみに女将さんは力の限りお店に立つつもりですか?

B:もうすぐ69歳になるんですが、70歳で引退しようかと思っていたけど止めました。だって楽しいから! 私が輝いていられるのここだけですもん。表に出たらただのおばちゃんにしかならないんで(笑)。もう生涯続けたいですね。倒れるまで頑張り続けたいです。

N:お母さん、本当にかっこいい! 今日は美味しいおにぎりに、勇気が湧く素敵な話をありがとうございました!

〈中条あやみ 衣装〉シャツ ¥20,000、パンツ ¥18,000/H BEAUTY&YOUTH(エイチ ビューティ&ユース)

  • ぼんご

    創業1960年の老舗おにぎり専門店。260円のおにぎり2個+とうふ汁がセットになったお得な平日ランチ(600円)や、土曜日のスペシャルセット(680円、限定100名)を求め、連日長い行列が。事前に電話すればテイクアウトの対応も可。

    住所:東京都豊島区北大塚2-26-3
    電話:03-3910-5617
    営業時間:11:30~21:00(東京都の時短要請を受けた営業時間です)
    定休日:日曜

  • エイチ ビューティ&ユース 

MODEL: AYAMI NAKAJO @ TEN CARAT
PHOTO & MOVIE: ARATA SUZUKI @ GO RELAX E MORE
STYLING: SHIZUKA YOSHIDA
MAKEUP & HAIR: MAI OZAWA @ MOD’S HAIR
WRITER: YURI TANAKA
EDITORS: GEN ARAI, YUKIKO MOROOKA

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