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今のありのままを愛する。サウンドセラピストHIKOさんに学ぶ、不完壁な人生の楽しみ方。【中条あやみが学ぶ、プロたちの⼼意気VOL.9】

プロの仕事の極意に迫る、中条あやみの人気連載。今回は激動だった2021年の心身をねぎらうべく、NYで経験を積んだサウンドバス(音浴)の第一人者、HIKO KONAMIさん(Instagram:@hikokonami)のもとへ。マインドフルネスへの関心の高まりとともに、海外ではメジャーとなっているサウンドバス。音の世界に没入することで、深い瞑想状態に入れる、集中力が高まる…etc。噂に聞く話は本当なのか。めくるめく体験とHIKOさんのお話を通して、心をメンテナンスしながら人生と楽しく向き合うためのヒントを探ります。


 

話を伺ったのは…サウンドセラピスト HIKO KONAMIさん。

NYで音楽療法の現場に携わり、そこからサウンドバスの世界へ。セントラルパークやMOMAで行われた大規模なイベントで講師を務めるなど、音を通じて人々の心身を手助けしてきたHIKOさん。帰国後はコミュニティ「Freakin’ Calm」を立ち上げ、サウンドバスのセッションを行う傍ら、音楽家の大沢伸一さんとコラボレーションして楽曲を制作。新宿御苑でサウンドバスのイベントを開催したり、ZOOMを使ったメディテーションコミュニティーを毎朝、無料で実施したりと、「心地良いバイブスのシェア」をコンセプトにユニークな試みを仕掛け中。大阪の仏教徒の家庭に生まれ、幼い頃からピアノに慣れ親しんできた彼女は、なぜNYでサウンドバスの虜になったのか。なぜ今、メディテーションが必要とされているのか。心のケアがおざなりになった現代人へ向けたメッセージを、中条さんが読み解きます。

「私自身、大きな役を担っているとき、緊張して寝れなかったり、セリフが入って来なくなる時があって。自分に過度な期待をして、知らず知らずのうちに追い込んでしまってるんでしょうね。そんなときは深く深呼吸したり、10分ベッドに横になって何も考えない時間をつくるように心がけています。今日はサウンドバスの体験を通して、少しでもマインドフルネスの核に触れることができると嬉しいです(中条あやみ)」

そもそもサウンドバスって何?
HIKOさんが語る、その真髄。

サウンドバスを日本語に訳すと「音浴」。お風呂に入る感覚で「音」に身を委ね、心身を解き放つメディテーション(瞑想)の一種と言われるけれど、具体的に何をするのか知らない人も多いのでは? ということでセッションを受けるときの心得、音がもたらす効果についてHIKOさんに伺ってみました。

「メディテーションの一種と聞くと敷居が高く感じるかもしれませんが、サウンドバスはその文脈の外にある、もっとリラクゼーションに近いものなんです。哲学的な何かを導き出すというより、心地よい音の周波数に身を委ねて、心身を開放することが目的。なのでセッションを受けるときの体勢も自由だし、呼吸法も特に決まりはありません。もちろん事前の知識や練習も、宗教的なバックグラウンドも不要。楽器が発する音の振動に浸りながら、身体や心の声に耳を傾ければいいので、知識がなくても誰もが身体で感じることができます。よく瞑想をすると記憶力や集中力が高まるといわれますが、サウンドバスは足りないものを補うのではなく、本来持っている身体の機能の素晴らしさ、ありのままの自分という存在を認めてあげる行為。プレッシャーから解放された、心地よい感覚を純粋に楽しんでほしいなと思います(HIKO)」

ルールも心構えも一切なし。
音の世界に没入する、圧倒的な体験。

小難しいことは何もなく、ただ音に身を委ねればいいだけ。サウンドバスについてひととおり説明を受けたあと、取材クルーも一緒に40分のプログラムを体験することに。キャンドルが灯る空間のなかで、思い思いの体勢で寝っ転がり、HIKOさんが奏でる音に意識を向ける。すると聴こえてきたのはさざなみ音。そこにクリスタルボウルの不思議な残響音や、音叉の澄んだ金属音、オルガンの安らぎのハーモニーが重なっていき、異次元とコネクトするような深いディープリスニング状態へ。

「スタートして10分くらいは周りが気になってたんですが、だんだんとブアーンと手先が痺れてきて、エネルギーが身体に満ちていく感覚に陥りました。そして家族の顔がつぎつぎと浮かんできて、両親にオムツを変えてもらっていた時のような懐かしい気持ちに(笑)。生まれたての原点に帰ったような、不思議な時間でしたね(中条あやみ)」

40分のサウンドバス体験を行ったあとは、感想をみんなでシェア。幼いころの感覚が蘇ったという中条さんのほかにも「手足が熱くなった」「宇宙との繋がりを感じた」「脳が開くような心地良さがあった」と十人十色の意見が。

「音の圧倒的な体験なので、そこに紐づく記憶が戻ってきたり、過去の幸せな気持ちとコネクトする方が多いですね。でも私がコントロールしているわけではなく、主役はあくまでみなさん。私は気配を消し、みなさんが自分の中に安全に没入していける時間を提供しているに過ぎません。いまは“セルフラブ”という言葉が一人歩きしていますが、本当の意味で理解して自分に落とし込むには、ありのままの“今”を認めることが大切で。自分の中に眠る感情に気づいたり、忘れかけていた感覚を掴みとる。そういったきっかけを、サウンドバスを通して得てほしいなと思います(HIKO)」

楽器を触らせてもらいながら、
心地よく感じた音の答え合わせを。

圧倒的な音の体験のあとは、楽器についてレクチャーを。中条さんの赤ちゃん期の記憶を引き出すきっかけとなったのは、コシチャイムとよばれる楽器。揺らすと木筒のなかの金属が異なる音を発し、「倍音」という複雑な音色を奏でる。ほかにもまろやかで重厚感のある音を発するクリスタルボウル、スチールパンに似た音を奏でるスリットドラムなどがラインナップしていたけれど、すべての音を心地よく感じてしまうのは、やっぱり周波数が関係しているのだろうか。

「サウンドバスは、音の空気振動が持つ共鳴作用を使って、私たちをリラックス状態にさせる作用があります。楽器の周波数が脳波を落ち着かせ、アルファー波からシータ波へ。シータ波は副交感神経が優位な状態で、眠る直前のリラックス状態を作ってくれます。それによって呼吸や心拍数を下がり、筋肉の緊張状態が和らいで血流が促されるので、みなさん手先が痺れたりとか温まったような感覚を感じたのかもしれませんね(HIKO)」

実は自宅に、お土産でもらったサウンドバスグッズがあるという中条さん。使い方がわからず放置していたというけれど、説明を受けたことで興味が湧いてきた様子。ちなみにHIKOさんは音を奏でるとき、訪れる人の心の状態や発するオーラによって、構成などは変えているのだろうか?

「その時々で自分のなかのテーマがありますが、基本的には即興で奏でています。いまは波の音から始まり、波の音に戻ってくる“旅”を繰り返していますね。音の感じ方って人によって本当にさまざまなので、私がその人の状態を勝手に判断し、構成を変えることはしません。きっと私の意図が含まれた音よりも、ありのままの音を受け取ったほうが、豊かな体験ができると思うので。コントロール下から解放されたところにある感覚を、ぜひ味わってほしいですね(HIKO)」

規律の中で答えを見出していく生き方もいいけれど、「こうであるべき」という考えを手放し、自分の心地良さを最優先する生き方があってもいい。疲弊しがちな現代人をそっと後押しするような、優しい言葉をたくさんかけてくれたHIKOさん。

「みんな自分ができる人って思いたいし、それで追い込みすぎちゃうんですが、そういう時は“私は私”じゃないけれど、一回原点に戻ることも大切だなって。HIKOさんのセッションには、単なる音の心地よさだけじゃない、価値観や生き方を変えるきっかけとなるメッセージがたくさん含まれていたので、ぜひ多くの人に生で体験してもらいたいです(中条あやみ)」


 

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自分が幸せじゃないと人も幸せにできない。
事故がきっかけで、生き方をシフトするように。

中条あやみ(以下N):今日は味わったことのない感覚の連続で、すごくカルチャーショックを受けました。HIKOさんはどうしてこのサウンドバスの道を志すようになったのですか?

HIKO KONAMI(以下H):4歳からピアノを習っていたのですが、音が色や形として見えていて。その頃から音を聴きながらイメージを膨らませ、ファンタジーのなかに没入していく。そういう遊びをよくしていたんです。

N:すごい! 今のお仕事につながる原体験ですね。

H:でもパフォーマーになりたかったわけではなく、音楽が人の心に与える影響にすごく興味があったので、NYに渡ったのを機に、大学の音楽療法の現場でアシスタントとして関わることになりました。でもしばらくして交通事故にあってしまったんです、それも2回も。

N:えーっ、そんなことが……。

H:2回目の事故では大怪我を負い、歩くこともしゃべることもままならない状態が続いたんですね。その時に癒しをもらったのが、サウンドバスだったんです。

N:どん底のHIKOさんを救ったのも、やはり「音」だったというわけですね。

H:事故をきっかけに「人に何かをしてあげたい」という考えは手放し、自分が心地よいことに全集中するようになりました。振り返ると自分のことをまったくケアしてなかったし、すごく粗末に扱ってたなと。自分自身が先の見えない悩みを抱えているのに、人を癒してあげたいってなんか違うって(笑)。

N:そもそも「与える」という考え自体がおこがましいのかも、って私もよく思います。みんなが何かを欲しがっているかわからないし、欲しいものって受け手によって違うというか。だから結局自分がベストな状態でいて、それに心地よさを感じてもらったり、いいなって思ってもらえるのが一番だなと思います。

H:自分のことばかり優先してワガママかなと考えがちですが、結局のところ自分が幸せでいるっていうことが、誰かを幸せにするんですよね。通りすがった人にちょっと微笑みかけたり、道を譲ってあげたり。そういうことで幸せの連鎖は続いていくし、人生ってその積み重ねでしかないんです。

何かに依存することは、根本的な解決にならない。
まずは自身の「今」を見つめることが大事。

中条あやみ(以下N):心のケアがいますごく注目されていますが、みなさんどんなことを求めてHIKOさんの元にやってくるのでしょうか。

HIKO KONAMI(以下H):何かを買ったり行動することで幸せになれる、という価値観がすでに崩壊していることに、みなさん気づいていると思うんですよね。それで幸せをどこに求めるべきなのか、少し迷子になっているというか。もはや「セルフラブ」という言葉もテンプレ状態。言われても響かない。

N:確かに。すべてがメソッドみたいになっていますよね。

H:「物」から「思想」へ、依存先が変わっただけになってしまっている。それだと何をやっても不安だし、どこ行っても悩みは尽きないんです。長らく自分を律することで、何かを得ようとする風潮が続いてましたけど、もうそれ1回やめへん?っていう(笑)

N:なんだか肩の荷が下りるというか、すごく救われた気分です。

H:苦しみの対価として何かを手にするのではなく、ありのままの「自分」を認めてあげることで、生きやすくなったり、見えるてくることがある。日本は忍耐が美徳とされる風潮があるので、頑張りすぎな状態が当たり前。みなさん自分を縛りつけている感じがするので、好きなようにやればいいんですよっていうことを、サウンドバスの体験を通して伝えていきたいですね。

N:ルールがないことが、サウンドバスの唯一のルール! でも力を抜いて、ありのままに生きるってとても難しいですよね。

H:そうなんです。でも中条さんはそれができているのでは? セッションしているときも、すごく自由な印象を受けました。何にでも純粋な興味があって、いろんなことを知りたい学びたいっていう。自分の価値観でジャッジしないところがすごくピュア! 赤ちゃんみたいな方だなって。

N:えー素直に嬉しいです! 人の本質って見た目や性格ではわからないけど、発している雰囲気やオーラで感じ取れる部分があると思っていて。私自身、仕事の現場に入るときなど、無意識のうちに自分が発する空気をチューニングしていると思います。プライベートでも、心が元気じゃないときは友達にも会わないようにしています。やはり気分とか、波動って、周囲に伝染するものですよね。

強迫観念にとらわれるのはナンセンス。
“不完壁”を楽しんで、人生を謳歌してほしい。

中条あやみ(以下N):今日お話してみて、HIKOさんってとってもパワフルな方だなって。事故で失くしたものも大きかったと思うんですけど、それを感じさせない強さがある。きっと自分を大切にしながら、人生と向き合ってきたからなんだなと、すごく附に落ちました。

HIKO KONAMI(以下H):私がサウンドバスをやってる一番の目的は、セッションを受けた人がその人本来の自分に立ち戻る、美しい瞬間をみたいから。それを見ることによって私が一番感動するし、幸せな気持ちに包まれるんです。

N:「こうあるべき」という姿から解放されて、初めて自分の人生をスタートできる。私のところにも、将来何をしたらいいのかわからないとか、いろんな相談が寄せられます。

H:20歳くらいのころかな、バーで見つけた落書きに「Thank god,I’m perfectly inperfect(パーフェクトでない自分こそがパーフェクト)」とあったんですね。素晴らしい人間になりたいとか、完璧な姿を手に入れたいと思いがちなんですけど、不完壁であることこそが理想な姿だと。だから何者かにならないといけないとか感じる必要はないんですよね。すごくいい言葉だなと思って、いまでもお守りにしています。

N:今後はサウンドバスを通じて、どういったことを発信していきたいですか?

H:自分と深く対話しながら、いかに誤解や偏見をなくして周りと良い関係性を築いていけるか。NYで学んだ仏教哲学や様々なコミュニケーションのメソッドを体系化して伝えていく事、サウンドバスで心を解放したその先に興味があります。そして日本独自のスピリチュアリティを、歴史や文化民俗学の視点から研究していくのが目標です。

N:心の解放からコミュニケーションへと、興味がどんどん進化していっていますね! では最後にお聞きしたいのですが、HIKOさんにとってのプロフェッショナルとは?

H:「ビギナーズマインド」という言葉があるんですが、人って常に何からでも学べると思うんですよ。そして吸収すれば吸収するほど、おごり高ぶるのではなく謙虚になっていく。世界が広がって知見が深まると、自分の小ささがよく見えるようになるんです。この世のすべてのこと、すべての人が私にとって先生。関係性に上下はないし、リスペクトの気持ちは忘れずにいたいなと思います。

N:今日はHIKOさんとのセッションから、たくさんの癒しと生きる勇気をいただきました。本当にありがとうございました!

MODEL: AYAMI NAKAJO @ TEN CARAT
GUEST: HIKO KONAMI
PHOTO: KISSHOMARU SHIMAMURA
STYLING: KUMIKO SANNOMARU
HAIR & MAKE-UP: RIE SHIRAISHI
TEXT: YURI TANAKA
EDITOR: YUKIKO MOROOKA

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