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どんな試練も、成長のチャンスに。バドミントン・桃田賢斗選手の強さの秘訣。【中条あやみが学ぶ、プロたちの⼼意気VOL.8】

中条あやみがインタビュアーとなり、プロに仕事の極意を聞く人気連載。今回は東京五輪で自身初のオリンピック出場を果たした、バドミントン界のトップスター、桃田賢斗選手を直撃。中学の頃はバドミントン部に所属し、スポーツの世界の厳しさを叩き込まれたという中条さん。憧れの桃田選手に、アスリートのストイックな日常生活や、勝ち負けの世界で成長し続ける秘訣などを伺いました。


 

話を伺ったのは…バドミントン・桃田賢斗選手。

7歳でバドミントンをはじめ、中学の頃には史上最年少で全日本総合選手権に参加するなど、同年代のライバルを寄せ付けないほどの頭角を表していた桃田選手。アジアユース選手権や、世界ジュニア選手権での優勝実績が評価され、高校卒業後はNTT東日本の実業団に入社。世界ランキングを猛スピードで駆け上げるなか、メダルが有望視されていた2016年リオ五輪直前で、不祥事により無期限の競技会出場停止処分に。選手生命が絶たれたと囁かれるも、1年を超える長い謹慎期間を経て復帰。以前の活躍をさらに上回る怒涛の快進撃をスタートする。2018年には世界選手権で優勝、男子シングルスで世界ランク1位をマーク。その座をキープする好成績が続くが、2020年、今度は交通事故に見舞われ重体。リハビリとハードなトレーニングの甲斐あり、さらに実力をつけて迎えた東京オリンピックでは、金メダル最有力候補とされながらも、一次リーグ敗退という結果に。

「東京五輪では本当に悔しい結果でしたが、桃田選手が強くて天才なのは間違いないです! 負けるときは負けちゃうし、失敗やアクシデントに見舞われることも。一筋縄ではいかない選手人生を過ごされているところに、シンパシーを感じずにはいられないんです。連日の忙しい練習スケジュールの合間を縫っていただき実現した桃田選手の取材、お会いできるのがすごく楽しみです!(中条あやみ)」

中学時代はバドミントン部。経験者が語る、桃田選手の魅力とは?

ガチガチな体育会系カルチャーのなか、中学の3年間をバドミントン部に捧げてきたと話す中条さん。経験者だからこそ、勝負の結果だけではないところで桃田選手の凄さを感じるそう。「桃田選手のすごさって、ネットプレイなんですよ。バドミントンは、フェイントをかけたりのいわば騙し合いもテクニックの一つ。奥に打つと見せかけて、ネットのすれすれに落としたり。強い選手ほど、試合中に動揺を見せないし、読み合いや裏をかくプレーが神がかっているんですよね。私のバドミントン部時代はというと……早くからの朝練や厳しい上下関係に耐えながらも頑張ったのですが、試合では活躍できず、基本はチームメイトの貴重品を管理する“お財布係”でした(笑)。でも部活動のおかげで上下関係などの社会性を学べたし、運動することが今でも好き。かけがえのない経験になっています。今回は、桃田選手にレクチャーしていただきながら“お財布係”の汚名を返上できたらと思います!(中条あやみ)」

久々にラケットを握り、桃田選手とセッション!

スタジオにセットされた、練習用の簡易セットが今回の舞台。中学時代の感覚を取り戻すべく、まずはグリップの握り方を復習するところから。ポイントは、握手するように握ること。桃田選手が普段使うタオルグリップは、使い込むうちに自分の手の形にフィットしていくのが特徴。目をつぶって握っても表か裏かわかるようになるそう。続いて、シャトルの拾い方で中条さんのお手並み拝見。床に落ちたシャトルを手で拾うのではなく、ラケットを使ってすくい上げるように拾うこと。「一発OKですね! シャトルの拾い方ひとつで、経験者だなってわかりますね(桃田選手)」

トス出し&高速スマッシュを体験。

中学時代、シャトルを上に、遠くに飛ばすクリアランスが苦手だったという中条さん。「最初から力を入れてラケットを振ると上手くいきません。リラックスした状態で、当たる瞬間だけグッと強く力を入れると、意外と簡単に飛びます」という桃田選手からのアドバイスを実践し、難しいクリアをついにマスター。さらに中条さんのリクエストに答えて、スマッシュを披露してくれた桃田選手。大事なトス出しは、中条さんが担当。「最速のスポーツ」と呼ばれるバドミントン。試合では、時速300kmのシャトルがコートを行き交う。「試合中にガットが3回切れたことがある」という桃田選手のエピソードが、激しく力強い試合を物語る。

「早すぎて、全然見えなかった!このスピード感で瞬時に次の手を判断しなくちゃいけないんだから、頭の回転が早くないとできないスポーツですね(中条あやみ)」

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世界のトップ選手を相手に、ラリー練習!

身体も温まったところで、ラリーにも挑戦。キャッチボールをしているような感覚で、自然と会話も弾み出すふたり。真剣勝負の試合中は、いつもどんなことを考えているのか? 「感情を顔に出さないことを意識してますね。疲れている時もわざとすかして余裕に見せかけたり」と言いながらも、今日は和気あいあいと楽しくプレイ。左利きの桃田選手の右側を狙う中条さんの狙いがうまくいき、あろうことか中条さんの勝利!「イメージしていたより、10倍くらいうまい! もうお財布係は卒業ですね」と、桃田選手より嬉しい言葉をもらい、セッションが終了。

「中学の部活の先生、あとはチームメイトに自慢したいです。『桃田選手と打ち合いしたよー!』って(中条あやみ)」

少年時代に覚えた、勝利の楽しさと探究心。

中条あやみ(以下N):今日は大会前の貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、バドミントンを始めたきっかけから教えてください。

桃田賢斗(以下S):姉がもともとバドミントンをしていたのです。姉の練習の送り迎えをする母について行くようになり、その流れで自然と始めました。7才の時です。当時はイチロー選手に憧れて野球もやっていたのですが、バドミントンの方が褒められることも多かったし、結果も出ていたので、6年生でバドミントンの道に絞りました。

N:子どもの頃って、褒められることがどんどんやる気に繋がりますよね。小さい頃からずっと練習を続け、スポーツと全力で向き合っているかと思うのですが、頑張る原動力は、何でしょうか?

M:ほとんどのアスリートがこう答えるかもしれませんが、やはり負けず嫌いな性格だと思います。

N:私も負けず嫌いってよく言われます。とにかく、“勝ち好き”です! でもバドミントンに関しては、負けっぱなしでした(笑)。

M:今日ご一緒した感じだと、運動神経も良いし、上手に打てていたのに、不思議ですね。

N:今思えば、実力が云々の前に、メンタルで負けていたんだと思います。当時は試合する前から「負けたらどうしよう」ってばかり考えていました。やはり、バドミントンのようなマンツーマンのスポーツって、まず気持ちで負けていたら攻め込めない。精神的に強く、そして頭の回転も早くないと絶対に勝てないですよね。その難しさを経験しているので、桃田選手の圧倒的な凄さがわかるんです。

何度でも返り咲く、桃田選手の底力。

M:オリンピックで結果を出せなかった僕に取材のリクエストをいただき、正直驚きました。

N:中学卒業後はバドミントンの競技からは遠ざかってしまいましたが、桃田選手のご活躍は、もちろんずっとテレビで観てました!

M:ありがとうございます。

N:やはりすごい選手だなって、経験者だけにリスペクトしちゃいます。それに…初対面でこんなお話をして良いのかわからないんですけど…短いスパンにこうも「最高」と「最悪」の瞬間を両方経験している方ってそうそういないと思うのです。圧勝したり、大失敗をしたり…常に話題だし、目が離せない存在という意味でも、一度お話を聞いてみたかったのです。

M:よく言われます(笑)。

N:何か壁があっても、その度に新しい武器を身につけてさらに強くなって戻ってくる方だな、と思っています。勝負の世界で活躍される方はそれぞれアップダウンの波を経験されると思うんですけど、桃田さんは毎回どうやってその「波」に向き合われるのでしょうか?

M:大きな失敗やアクシデントを経験する時って、自分のことを過大評価しすぎている時なんですよね。なるようにしてなってるというか……。自分の気持ちが緩んだことへのメッセージと受け取って、一から自分を見つめ直す機会にしています。

N:まだ27歳ですが、人生で一番のピンチってどの瞬間ですか?

M:違法賭博の時です。「もうバドミントンはできないな」と思うほど精神的にもどん底でした。

N:そのピンチはどのように乗り越えたんですか?

M:もう1回チャンスを頂いてからは、練習に打ち込みました。「成長して変わらないと、人として終わる」って痛感して、毎日限界まで自分を追い込んでいました。きっと誰にも負けない練習量です。

N:その時に、バドミントンへの強い気持ちに改めて気づかれたんですね。どん底の状況をひっくり返して、プラスに変えて、復帰後世界選手権の連覇。いくつもの大会で優勝し続け、まさに絶好調の波にのっているタイミングで、今度は海外遠征中に交通事故。立て続けに降りかかる試練について、当時はどう捉えていましたか?

M:「なんでまた?」と思う気持ちでした。それと同時に越えられないことは起きないだろうと思えて、不思議と状況を受け入れていました。

N:「人間に越えられないことは起こらない」って、めちゃくちゃ力強く残る言葉ですね。命の危機すら経験している桃田選手から聞いたからなのか、すごく説得力があり、心に染みます。

M:色々とアップ&ダウンを経験したからこそそう思えるようになりました。なんとかするしかないって。

N:バドミントンのシングルスって、仲間同士で声を掛け合うこともできないので、孤独なスポーツだと思うんです。桃田選手でも、孤独やプレッシャーを感じることはありますか?

M:あります。そういう時は、「相手もきつそうだからここ1本頑張ろう」って、自分相手に会話します。

N:私も部活していた当時、そうしてました。「次、集中」とかって。今も、お仕事で失敗した時に「切り替えよ」って言ったり、朝仕事行く前に「私頑張れ」って自分に話しかけたりしています。

アスリート魂の本質は、毎日の積み重ね。

N:アスリートの方ってどれくらい練習しているんですか? 1日の過ごし方が気になります。

M:バドミントンは基本的にオフシーズンがなく、毎日同じことの繰り返し。朝起きてご飯食べて練習、お昼食べて練習して、夜ご飯。一年を通して、毎日5〜6時間、週6日で練習してます。

N:20年間この競技を突き詰めているわけですが、バドミントンに一番魅了される瞬間は?

M:描いていた流れ通りにゲームが運んだ時に、最高に気持ちいいです。狙ったところに相手がうまく引っかかってくれると、「よっしゃ!」って思います。

N:駆け引きやゲーム性のあるスポーツって、観ている方も楽しいです。もし練習しなくてもいいっていう日があったら何しますか?

M:一日中ゴロゴロしますね。動画を見ながら、食べ物のことを考えている時間が好きです。

N:驚くほど、そこは普通なんですね!

M:ケーキとかパンとか、甘いものも大好きなんですけど、普段は我慢してます。太りやすいですんですよ。

N:普段がハードな分、休みがあるとただただゴロゴロしたくなるんですね。桃田選手から聞くと、その回答からストイックな練習が想像できるし、私自身にも刺激になります。東京オリンピックが終わってまだ間もないですが……結果はどう受け止めていますか?

M:いつもだったら相手が仕掛けてくるのをしっかり見てそれを対処していくんですけど、勝ちたい気持ちが大きすぎて、「自分から行かなきゃ」って焦りすぎてしまったのがよくなかったと思います。視野が狭くなっていたというか……。もっと楽しみながら、自分らしい読み合いや駆け引きができていればよかったのですが。

N:勝負の世界って気持ちが強ければいい、というわけではないですもんね……。桃田選手の次の目標についても教えてください。

M:パリ五輪を目標に、それまで一つ一つの試合を大事にしていきたいですね。選手としては30歳までが限界だと思う。これ以上練習できる自信がないです。あと、またイベントができるようになったらバドミントンの魅力をより多くの人に体験してもらえる機会を作りたい。ジュニア世代とも交流したいです。

N:ぜひやってほしい!私も中学生の時に、桃田選手にクリアのポイントの教えてもらいたかったです。バドミントンって女性の競技人口が多いので、男性選手ももっと増えてほしいな、と思います。

M:バドミントンの楽しさを、いろんな形で広めていきたいです。

N:今日直接お話をできて、そのポジティブマインドと俯瞰でご自身を分析しているところが、桃田選手の強さの秘訣なのかな、と思いました。パリオリンピックも、今の達観したメンタルで勝ち抜いてほしいです。ますます進化しながら、強い姿で私たちを感動させてくれそうって、期待が膨らんじゃいます。最後の質問ですが、桃田さんにとっての座右の銘は?

M:毎日の積み重ねが一瞬の奇跡をうむ。イチローさんの言葉です。

N:最高な言葉ですね。先ほど教えていただいた「超えられない試練はないっていう」言葉も、とても心にしみました。今日は貴重なお話をありがとうございました。これからも応援してます!

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