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「エテ」のオーナーシェフ、庄司夏子さんから学ぶ“幻のケーキ”に込められた決意と美意識。 【中条あやみが学ぶ、プロたちの心意気vol.7】

中条あやみがゲストエディターとなり、憧れのプロにインタビューする人気連載。第7回目は「ここのケーキは格別。いつか自分への誕生日プレゼントに買ってみたかったんです」という中条さんのリクエストに応えて、フレンチレストランの「エテ」 、そしてケーキ専門店の「フルールドエテ」を手がけるオーナーシェフ、庄司夏子さんを訪問。そこから見えてきたのは、モノづくりと向きあうクリエーター、そして料理界に旋風を巻き起こす若き起業家としての顔。


 

話を伺ったのは…
「エテ」オーナシェフ・庄司夏子さん。

ミシュラン2つ星のフレンチの名店はじめ、東京でレストランやケータリングの経験を積んだのち、2014年に独立。2015年、24歳の時に1日1組限定の完全予約制レストラン、「エテ」をオープン。マンゴーをバラの花びらに見立てるなど、最高品質のフルーツで飾り付けされたケーキが話題に。2020年には「世界のベストレストラン」50が選ぶ「ASIA’S BEST PASTRY CHEF」賞に日本人女性として初めて選出されるなど、日本のみならず、世界からも注目を集めるフード業界のゲームチェンジャー。今回は8月にオープンしたばかりの、ケーキのお渡し専門スペース、フルールドエテへお邪魔しました。

「SNSで庄司さんのケーキをお見かけして、宝石のような美しさに一目で心を奪われました。デザインはもちろん、パワフルな生き方もかっこいいですよね。私も1-2年前、自分の誕生日にどうしてもこのケーキが欲しかったのですが、やはり“幻のケーキ”。全然、その時は手に入りませんでした。今日は、庄司さんご本人にも、そしてケーキにもご対面できると聞いて張り切っています!(中条あやみ)」

アートピースとも称される幻のケーキ。
初公開となるクリエーションの裏側を体験。

お母様の影響で幼い頃からファッションやアートに囲まれながら育ったという庄司さん。「エテ」のケーキはリスペクトするファッションハウスやデザイナーから着想を受けていることが多いそう。これまでのケーキの概念を覆す洗練されたセンス、卓越した技が織りなす美味しさで、有名セレブを含め、国内外から多くのファンを引きつける。お店を訪れた9月は、「フルール・ド・エテ」というシャインマスカットと長野パープルを贅沢に使用したケーキが旬を迎えた時。「コム デ ギャルソン」の水玉模様からインスピレーションを得た、丸くグラフィカルな模様を描くデコレーションに中条さんが挑戦。

「今日が人生初めてと言ってもいいくらい、お菓子作り初心者の私ですが、庄司さんに手ほどきいただくなんて、一気に飛び級をした気分です(中条)」。

STEP1:素材のスタンバイ。
予め用意していただいた、タルト生地、カスタードクリーム、ブルーベリージャムで構成されたケーキの土台と、並べやすいようにサイズ違いにカットされた旬のフルーツはシャインマスカットと長野パープル。最初のミッションは、エディブルな金粉スプレーをひと吹きすること。この一手間で、フルーツにラグジュアリーなムードをプラスされる。

「今回は手を切らないように、包丁を使わないミニ体験コースにしていますが、フルーツのカット技術はエテのケーキにとって生命線。花びらのように加工したり、色をグラデーションするように計算をしたり、美しいカットと見せ方を研究するだけで1年半はかかりました。(庄司夏子)」

STEP2:フルーツを敷き詰め、クリームをトッピング。
1/4、ハーフサイズ、一粒サイズのブドウを、順番に丁寧にケーキ土台の上に並べていく。ブドウとブドウの隙間に、ライムを混ぜたマスカルポーネのクリームをオン。クリームは置きたい場所の狙いを定めたら、手を動かさずに、力を均一に加えるのが上手に絞るコツ。高さや横並びの配置を360度、あらゆる角度からチェックし、グラフィカルで美しい模様になっていればOK。

STEP3:ラッピングにサプライズを込める。
ケーキが人の手に渡る瞬間の演出も、庄司さんが大切にしてきたこと。ケーキ用に特注しているという、高級感のあるジュエリーボックスを閉じたらリボンをかけ、マットブラックの保冷バッグへ。フルーツの色に合わせてセレクトした生花で袋の中までデコレーションするのがエテ流のおもてなし。

「ケーキと花は保管するのに適した環境や“生きる温度”が同じなことから、このアイディアに辿り着きました。ケーキも花と同様、そのときの新鮮で情熱的な気持ちを表現できる特別な存在だと思っています。そして召し上がる時も、ケーキと一緒にテーブルの上をお花でデコレーションしていただけるようにご提案しています(庄司)」。

完成品はこちら!
「エテのケーキって、ダイナミックに見えて実は作りがとってもシンプル。私は典型的なO型で繊細な手作業が苦手のはずが、「エテ」の作風だからこそ、私でもお手伝いができたのかと思います。もちろん、味のベースとなる難しい作業は予めご用意いただいたというのはありますけどね(笑)。スウィーツって、写真映えを狙ったものが多いですが、庄司さんの作品はまず第一に、主役である食材=フルーツと向き合っている、リスペクトを感じます。そして食べることだけでなく、その前後の時間もサプライズに重ねたサプライズでおもてなし。想像の先をいく総合演出と心遣いに、やさしくて幸せな気持ちになります。いつか自分の両親にも贈りたいです(中条)」

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一瞬で心を掴む、唯一無二のスタイルを確立。

中条あやみ(以下N):今回は貴重なケーキの製作過程を体験させていただき、ありがとうございました。まさか、エテのケーキを食べる前に、庄司さんと一緒にケーキ作りする日が先に来るとは思ってもいませんでした! 貴重な調理の裏側に今回、どうして招き入れてくださったのでしょうか?

庄司夏子(以下S):今までずっと作業工程は明かしてこなかったのですが、中条さんが取材してくださると聞いて、お引き受けしました! 私自身、作品のインスピレーションをファッションを受けることが多いのですが、憧れの女性のひとりがガブリエル・シャネル。だから中条さんがブランドのミューズをやられていた頃から、ずっと注目させていただいてたし、芯のある素敵な方だと思っていました。

N:うれしいです、ありがとうございます! 一目見てすぐにわかる「エテ」のケーキたち。このアイコニックなスタイルを確立したのはいつ頃ですか?

S:8〜9年前くらいです。独立して、自分のお店を立ち上げた当時、集客するためには自分のシグニチャーになるものが必要、と考えて「ケーキ」という答えにまずはたどり着きました。やるからには世界を目指したかったから、日本の四季を象徴するフルーツをテーマにしたいって思いました。

N:確かに日本のフルーツの品質の高さには海外の方も驚きますよね。ケーキもユニークですが、「1日1組」完全予約制というスタイルも斬新。そのこだわりとは?

S:本来であれば、普通にレストランをやりたかったのですが、当時はまだ23歳の駆け出しシェフ。初期投資や運営コストなどを考えると、小さくて親密なスタイルがベストだったのです。「エテ」のケーキを買ってくださったお客様が、それを贈りたい相手と一緒に訪れてくれる特別なレストランというシナリオを描きました。ケーキを予約して、足を運んで受けとりにいらしてもらうまで、工程がいっぱいあるしハードルも高いです。でもその分、ストーリーをいっぱい詰め込み、付加価値を届けられると思うんです。せっかくその大切な人とお店に来てもらえるのなら、周囲や時間を気にせず、とことん特別なひと時を楽しんでもらいたいので、今でも1日1組で続けています。

N:その徹底した心遣いが、ギフトボックスの演出やお花を添えたプレゼンテーションなど、次々と「エテ」独自のアイディアにつながっているのですね。

23歳で独立。若き女性起業家としての覚悟と情熱。

N:今の私に近い年齢で起業されてますが、一番大変だったことは何ですか?

S:女性のオーナーシェフのお店の前例もあまりないし、私の場合さらに若かったので、取引業者にしても銀行にしても、なかなか真面目に向き合ってもらえないことが大変でした。「1日1組」に絞って最大限におもてなしをするスタイルは、非効率だと思われ、はじめは賛同を得るのに苦労がありました。

N:庄司さんが根っからの仕事人間であることをインタビューを読ませていただきました。実際に庄司さんにお会いしてみても、圧倒的にパワフル。仕事に向ける情熱は、どこからくるのでしょうか?

S:独立した時点から、銀行からの融資を返済しないといけない立場だったので、毎日が崖っぷちでただただ必死でした。また独立前、世界を目指しているようなトップレベルのお店でスーシェフまでやらせていただきながら、辞めた経緯がありました。一度退いた食の世界にカムバックをするからには、生半可な気持ちではできないという覚悟も決めていました。

N:以来、ずっと努力をされてきたのに、その崖っぷち感を見せないところもすごいです。

S:いや、顔は怖いってよく言われますよ(笑)。もちろん友達に会いたいし、遊びたいという気持ちも。でも、それは目の前の目標を達成した後にいくらでもできるので、今はこのお店に命をかけると決めています。ちょっと時代にそぐわないかもしれませんが、今でも24時間ほぼ仕事のことを考えてますね。

N:社会に出て働く上で、覚悟を決めて仕事と向き合うべき、勝負のタイミングってありますよね。。私も「今は頑張る時」と決めたら、友達と過ごす時間、遊びなども削らないといけない。犠牲にしているものと、自分が掲げている目標の間で心が揺れ動くことがあります。でも庄司さんのその言葉が、今の自分の励みになりました。責任を果たさないといけない立場にいると、ときに孤独を伴いますよね。

S:自分と同じ年齢で同じような作品を作れる人がいたとして、その人と私にどこで差がつくかを考えたら、遊んでいる時間をクリエイションに回すことの積み重ねだと思うんですよね。なので、正直、友達の数ってすごく少ないんですよ(笑)。それに自分が全力で突っ走っているときは、それまでの遊び友達とも話や価値観がかみ合わなくなることも。それはそれで、一時的に仕方ないこと。無理して会わなくてもいいと思っています。

N:私もそれは感じます。自分のコンディションが悪いときは「今日は、ごめんね」と断るし、その状況を理解してくれる人とだけ一緒にいればいいかなと。

夢の実現に、近道も早道もなし。着実に、丁寧な仕事スタイル。

N:起業してからも苦労の連続とのことですが、この道でやれそう!という手応えを感じたのはいつですか?

S:手応えは感じたことないです。目標を設定して、達成するために計画を立てる。実現したらまた次の目標を立てる、というのを繰り返しているので、目の前には常に新しいハードルが…安心できたことがないんです。それに、いつエテのケーキを越す“スーパーコピー”が現れてもおかしくないと思ってます。「本物」のクリエーションとして、圧倒的な差をつけて、突き進まないといけなくて。

N:常にご自信を鼓舞し、進化し続けているんですね。「エテ」と言えばファッション業界からもラブコールが絶えず、いつも斬新なコラボが話題ですよね。どうやって実現しているのですか?

S:まずコラボする相手は、私自身がすごく好きで、背景もしっかり理解できていることを大事にしています。その上で、どうやってお互いにとって新しい驚きを作っていけけるかを突き詰めます。小さなレストランですが、こうやってヴェルディ(VERDY)さんやトモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)さんなど異業種のクリエーターたちと組ませていただくことで、刺激を受けますし、新しいファン層に興味を持っていただけるきっかけになっています。

N:コラボ企画は庄司さんからどんどんアプローチするのですか?

S:はい! 自分が組みたい相手については、待っててもはじまらないので、自分からいきますよ。中学生の頃から憧れていた村上隆さんの作品とコラボさせていただいた時は、まず村上さんとよく仕事をしてる会社をリサーチし、その会社とまずは取引ができるようにジワジワと近づきました。

N:分かります。恋愛でも、好きな人がいたらその友達から攻めますもんね。(笑)。

S:本当にその通りです。でもすぐにご本人を紹介してくださいとお願いするのではなく、まずは知り合えたその方に自分の精一杯の仕事ぶりを見せること。何度もお仕事をして、信頼関係ができてから、自然な流れで村上さんに繋げていただいたのが、コラボ実現までの裏側です。

N:すごい行動力ですが、焦らずにじっくり信頼関係を築くというのも、大事なんですね。最後、庄司さんの次なる目標を伺わせてください。

S:私がやってきたビジネスモデルは、レストラン業界としては前例がなかったもの。最初はもちろん大変でしたが、名も無い小さなレストランでも、アイディア次第で勝負できるってことが次世代や女性たちに伝わり、新しい起業家・料理人が増えるきっかけになればいいですね。

N:自分のことだけではなく、社会への影響についてもビジョンを投じられるって素敵ですよね。今の時代すごく求められている気がします。

S:それから、「ASIA’S BEST FEMALE CHEF」賞を5年以内には取る、これを目標にしてます。

N:言い切るところが、やっぱりかっこいいです! この連載で職人さんや女性のパワーを発信できたらいいなと思っていたので、お会いできて光栄です。いつかレストランで庄司さんのフレンチ料理も食べに行ってみたいです。

S:ぜひ、遊びに来てください!

  • SHOP INFORMATION

    フルール ド エテ(Fleur dʼété)
    東京都渋谷区上原1丁目35−2
    お店の説明を少し レストランとは独立したケーキのお渡し専門スペース。店内を飾るのは1号店で使っていた大理石のテーブル。「エテ」のスピリットを継承したコンパクトで親密な空間に。予約方法の詳細は、こちらから。
    https://omakase.in/ja/r/et765809

MODEL: AYAMI NAKAJO @ TEN CARAT
GUEST: NATSUKO SHOJI @ ETE
PHOTO: TAKAKI IWATA
STYLING: SHIZUKA YOSHIDA
HAIR & MAKE-UP: HARUKA TAZAKI
TEXT: TOMOMI HATA
EDITORS: GEN ARAI, YUKIKO MOROOKA

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