「GIRL OF THE MONTH」では、ユニークな視点で作られる東京ブランドとフレッシュな化学反応を起こした女優・吉川愛。子役としてキャリアをスタートし、役に入り込む集中力と豊かな表現力で、22歳の今、着実に活躍の幅を広げている。周りに惑わされず、自分の価値観や基準を大切に突き進む彼女が、「自分が好きな自分」でいるために心がけていることは? 強い内面をつくる吉川愛のマインドセットを紐解いた。
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ジャケット ¥159,500、ブラウス ¥67,100、スカート ¥81,400/すべてNOIR KEI NINOMIYA(コム デ ギャルソン) イヤリング ¥320,100、リング¥346,500/ともにTASAKI(タサキ)
働くのは自分のため。それが誰かの喜びにつながるのが女優という仕事の素敵なところ。
GIRL OF THE MONTHでは「ノワール ケイ ニノミヤ」など、東京をリードするブランドの最新ルックを着ての撮影でした。東京ブランドには、どのようなイメージを持っていますか。
素材や着心地にこだわっているイメージがあります。この撮影で着た「アンリアレイジ」や「アキコアオキ」は、一見奇抜なデザインなので動きにくいのかなと思ったのですが、着心地が抜群で着ていて気持ちよかったです。そのうえ可愛いなんて素敵です。服を選ぶとき、着心地も大切な要素ですよね。
シルエットなど、自分がどう見えるかということも大事ですが、着心地は自分自身が心地よくいられるということにダイレクトにつながります。着心地がいいと何度も着たいなと思います。吉川さんが好きなアニメや漫画も日本が誇るカルチャーのひとつ。吉川さん自身も漫画が原作の役を演じられることがありますが、世界とのつながりを意識することはありますか。
漫画の実写化があると、たまに海外の方がInstagramにコメントをしてくださるんです。世界中に作品が届いていて、観て好きになってくださる方もいるんだと思うと、すごく嬉しい気持ちになります。そういう意味でSNSはとてもいいツールですよね。その一方で、SNSで簡単に誰かとつながれるゆえに、VOGUE GIRL世代には1人でいることを怖いと感じる人もいるようです。吉川さん自身は、孤独を感じることはありますか?
友達と一緒にいたいと思うこともありますが、基本は1人が好きなので、孤独を感じることはあまりないかもしれません。家にはいつも愛犬がいてくれるおかげで、1人で寂しいとか怖いとか、そういった気持ちをあまり感じずに過ごせていることも原因だと思います(笑)。3歳の幼少期からキャリアをスタートし、同世代よりも早くから働くことを意識してきたと思いますが、吉川さんは働くことをどのように捉えていますか。
一番は自分自身のためです。けれどこの仕事は、私が頑張るとファンの方が喜んでくれるので、自分以外の誰かと自然とwin-winな関係が作れるんですよね。仕事って、自分が得することだったり、自由になるためだったり、好きなことをするためにという側面もありますが、直接会うことができない自分以外の誰かを楽しませることができることが、この仕事の素晴らしさじゃないかなと思います。喜びの連鎖、素晴らしいですね。吉川さんにとって、女優という仕事とは?
小さい頃から仕事をしているので、このルーティーンが当たり前というか、生活の一部です。「難しい」と感じることもありますが、それ以上に「楽しみ」がいっぱい待っている仕事だと思います。 -
不安な時は疲れている時。好きなことで整えて、リスタートを切る。
吉川さんはご自身をどんな性格だと分析しますか。
好き嫌いがはっきりしています。はっきりしていることは、いいことでもあると思っているのですが、最近はその時の感情だけではなく先のこともしっかり考えて判断していく必要があるなと思います。アニメや愛犬など、好きになると、とことん好きに!自分の性格のどんなところが、今の仕事に向いていると思いますか。
切り替えができる性格なので、それは仕事に活きていると思います。役に入り過ぎると、暗い役の時はずっと暗くなってしまって、メンタル面でも辛くなるので、仕事とプライベートを切り替えられるのが私のいいところです。あとは、吸収が早いところですね。ニュアンスで伝えられたことを飲み込むのが早いと前に言っていただいたことがあって……。例えばファッションの撮影では、いろいろな服を着ますよね。元気とか、アンニュイとか、その洋服を着ている女の子をパッと想像して表現をしています。さまざまな人間像が吉川さんの引き出しの中にあるんですね。
ふとした時に、人間観察をしていることが多いんです。あとは、映画やアニメもたくさん観ます。そういったところから吸収したり、インスピレーションを得たりしています。仕事をするうえで、印象に残っている言葉や人生のターニングポイントになった言葉があれば教えてください。
小さい頃に母に言われた「油断しすぎないで」という言葉は、大人になった今でも頭に残っています。つい油断してしまうことって、いろいろあるじゃないですか(笑)。小さい頃はその意味がよく分かっていなかったのですが、大人になるにつれて信用に関わることだし、油断して好き勝手にやっていいわけではないと学びました。どのようなシチュエーションで、その言葉を思い出しますか。
人の話を聞いている時と聞いてない時があったり、仕事中なのに何も考えずにボーっと歩いて行ってしまったり……。そんな時に「あ、油断してた! 考えなきゃ」って(笑)。吉川さんは、挫けそうになった時や不安になった時、どのように乗り越えていますか?
乗り越えることは、そんなにできていない気がします。けれど、そんな時は癒される存在の愛犬と遊んだり、湯船に長く浸かったり、アニメをずっと見ていたりします。追い詰められている時は、疲れている時だと思うので、自分の心の芯を整えるために好きなことをして、明日からまたスタートという気持ちに持っていくようにしています。お風呂好きは、ほかの取材でも話されていますね。自分だけの入浴ルーティーンはありますか。
最近のお気に入りは、「シャネル」のバスタブレット。スピーカーを置いて音楽を流したり、アニメを観ながら出たり入ったりを繰り返して、2時間くらい入っていることもあります。お風呂の中でセリフを覚えることも多いです。 -
トップ ¥53,900、コルセット ¥187,000、スカート ¥154,000、スカート下のクリノリン ¥407,000/すべてCHIKA KISADA(エドストローム オフィス) イヤリング ¥320,100、リング(右手中指)¥345,400 (左手人差し指)¥341,000(左手中指)¥346,500/すべてTASAKI(タサキ) タイツ ¥1,100/ぽこ・あ・ぽこ シューズ ¥29,700/GROUNDS(フールズ)
演じること以外は全部、素の自分。好きな自分でいるために堂々と自然体でいる。
自分を好きでいるために、心がけていることはありますか。
なんでも言い合える友達と一緒に過ごすことを心がけています。あとは、昔は興味がなかったことも取り入れてみるようになりました。エステに行って、見た目もキープできるように頑張っていこうかなとか。内面は、友達や人間関係の中で磨いていく、そういう風に意識しています。好きな人やものに囲まれることは、心の健康のためにもいいですよね。
仕事がハードな分、好きなものに囲まれて生きていたいと思っています。最近挑戦したことや、これから挑戦してみたいことはありますか。
指輪作りだったり、香水の調香をしたり、普段はなかなかできないことを最近少しずつやっています。次は、吹きガラスをやってみたいと思っているところです。ライフスタイルや価値観が多様化し、変化している時代の中で、これからをリードしていく世代としてどういう存在でありたいですか?
仕事は仕事、プライベートはプライベート、演じること以外は全部自分のままなんです。自分がやりたいことをして、間違ったり注意されたりしたら、素直に直せばいい。でも、納得できないことや腑に落ちないことは自分を曲げてまでやらなくてもいい。自然体で、堂々と胸を張って生きていける、そんな風に自分が好きな自分でいたいです。好きな自分でいることは、自分自身に「誇り」を持つことでもあると思うのですが、吉川さんがどんなことが、自分の「誇り」につながっていますか。
人から「ここがいいね」と言ってもらえるものが、自分にとって誇れるものではない時もありますよね。自分では気がつかなくても、誰かに「いいね」と言ってもらえたら、自信につながるし、それが誇りになります。私は、自分の鼻がコンプレックスだったのですが、嫌だと思っているとずっと受け入れられないまま。けれど、そこが好きと言ってくれる方がいて、ポジティブに捉えられるようになりました。これから30代、40代と年齢を重ねていく中で、どんな女性でいられたら素敵だなと思いますか。
自分が自分の一番の味方になって、好きでいたいなと思います。今の私は、100%の自信を持って自分のことが好きと言えるわけではないので、自分が憧れるような女性になれたら一番いいですね。「好きだ」って言ってもらえた時に「そうだよね、こういうところが自分のいいところだよね」と、自信を持って言えるように、年齢を重ねていきたいです。