人気に甘んじることなく謙虚にひたむきに。何事も楽しみながら全力投球する。「GIRL OF THE MONTH」でも印象的だった、24歳の中条あやみが放つ天性のポジティブオーラ。周囲をぱっと明るくさせる、そのパワーとユーモアの源はどこにあるのか。幼少期の話も交えながら、芸能生活10年目を迎えた今思うことを聞いた。
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苦手なことにもチャレンジできるよう
「柔軟な気持ち」を持ち続けていたい。中条さんは14歳でデビュー、今年で芸能生活10年目を迎えられます。振り返ってみていかがですか?
いまでは信じてもらえないかもしれないけれど、私はもともと人見知りで、人と話すのが苦手だったんです。とくに『アナザースカイ』のアシスタントをやり始めたころって、とても忙しくしてた時期。ぜんぜん気持ちが追いついていかなくて、「この仕事向いてないな、違うお仕事の選択肢もあるのかな」と心が揺らいでいたんです。すると職人さんをゲストに招いた回で、MCの今田耕司さんが隣で「何でも10年やなあ」ってぼそっと呟いて。確かにこの仕事を10年やってないのに、まだ何もわからないなと。その言葉にとても救われたんです。
それはデビューして何年目の出来事だったのでしょうか?
19歳のときだったから5年目かな。結果、デビューして10年経ったいま、何となく自分の仕事のペースが掴めてきて、周りがよく見えるようになりました。いろんな方と出会うなかで「私にはこの世界しかない!」と再確認することもできて。きっかけをくれた今田さんには感謝しています。肝心のご本人はその出来事を覚えていないみたいですけど(笑)
映画にドラマ、バラエティと幅広く活躍されていますが、どの現場でも貫いている「仕事の信条」はありますか?
それこそ10年目になると、自分の“型”が決まってきますよね。でも「苦手なこと」が意外とやってみると楽しかったり、周りからの評価もよかったりする。「好き」を極めるのもいいけれど、ガチガチに型を決めてしまうと新しい出会いやチャンスを逃すこともあるので、ほかを楽しめる余裕やポテンシャルは残しておきたいですね。先入観をもたずにいろんなことに挑戦できるよう、どの現場でも「柔軟な気持ち」は忘れずにいたいです。
年齢を重ねていくことで、仕事に対する姿勢に変化が生まれていそうですね。
中学生のころから、月に何回か東京に来て仕事する感じが続いたので、しばらく部活気分が抜けなかったんです。でも19歳のときに映画『チア☆ダン』の撮影で、主演の広瀬すずちゃんが現場でみんなを引っ張っている姿を目の当たりにして、「あ、私このままじゃまずいな」と思ったんですよね。彼女は私よりも年下だけど、しっかりプロの自覚をもって仕事に挑んでいた。その逞しい姿を見せられたとき、ハッとさせられたんです。
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人は人、自分は自分。
私にできることを精一杯やればいい。デビュー以来、仕事のオファーが絶えないと思うのですが、第一線で輝き続けるために必要な資質って何なんでしょう?
VOGUE GIRL +の連載で取材した「ぼんご」の女将さんも言っていたけれど、最後は何でも“ハート”だと思うんです。忙しいときって仕事をこなしがちだけど、そんなときこそ初心に戻って、気持ちを込めて丁寧にやったほうがいい。あとは自分なりの楽しみを見いだしたり……。仕事って基本的に大変だから、なかなかその境地に行けないんですけど、ちょっとでも「楽しい!」って思えたら勝ちな気がします。
ちなみにもし女優をしていなかったら、どんなお仕事に携わっていたと思いますか?
10代のときに憧れていたのはスターバックスの店員さん(笑)。みなさんお洒落で「いつかあの制服を着て働いてみたい!」と思っていました。でも冷静になって考えたら、やっぱり服が好きだからアパレル関係の仕事かな。ちなみに小学生のころは宝石屋になるのが夢でした。
中条さんの周りには魅力的な方がたくさんいると思うのですが、「この人素敵!」と感じる方に共通項はあるのでしょうか?
私、小さいときからいわゆる学校の先生のような、規則で管理されることが苦手で。「人間はそれぞれ違うはずのに、何で同じ行動を求められるんだろう」とずっと疑問だったんです。とにかく「あなたはこう!」って決めつけられるのが昔から嫌いだった。だから自分の意見を押しつけない人や、背中で語ってくれる人を見ると「あ、格好いいな」と思います。きっといろんな経験を経て、行き着いた先がそこなんでしょうね。私はつい自分の意見を言いたくなっちゃうタイプなので、「人は人」と認めてあげることができる方にすごく憧れます。
これまで先輩に言われて印象的だったことや、かけてもらって嬉しかった言葉は?
以前VOGUE GIRLのメンター企画でもご一緒した水川あさみさんは、それこそ器が大きい方。ドラマの現場でとても優しくしていただき、いろいろ相談に乗ってもらうように。この前のドラマに入るときも「できるかどうかすごく不安なんです、どうしよう?」って伝えたら、「あんたはポンコツなんやから、ポンコツなりに頑張ればいい。一生懸命ポンコツが頑張っているのを見ると、観ているほうも感動するから!」って背中を押されて(笑)。そうやって言ってくれるのは水川さんしかいないし、はっきり言われると逆に清々しいというか。「私なりにできることをやればいいんだ!」って開き直れました。
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落ち込んだときに無理は禁物。
変化する自分を受け入れ、人生を楽しむ。今日は「働く女性のジャケットスタイル」をテーマに撮影に挑んでいただきました。中条さんにとっての“着ると背筋が伸びる“”お気に入りのワードローブは?
白シャツですね。私にとってはスーツと同じような感覚で、袖を通すと気持ちがしゃっきり整います。少しとろみがある着心地のよいシャツが好みで、スタイリングするときはブルーデニムや黒のハイウエストパンツを合わせてシンプルに。時計やアクセサリーもさりげなくプラスして、ハンサムな感じで着こなしたいです。
お休みがとれたらまず何をしたいですか?
ジムやピラティスに行ったり、ドライブで遠出がしたいですね。動物好きだから馬にも触れ合いたい。どこか乗馬ができる素敵な場所があれば教えてください!
中条さんっていつもハッピーオーラに溢れていますよね。落ち込んだときメンタルをどうやって立て直していますか? お決まりのルーティンがあれば知りたいです。
本当に嫌なことがあると自宅でひたすらギャン泣きしますね。もしくは疲れたり元気が出ないときは、友達との約束も無理せず断るようにしています。逆に会うことで元気をもらうパターンもあるけれど、今日は会わないほうがいいなと感じたときは、1人でサウナにいって早く寝る! サウナは私にとって最高のデトックス法です。
素敵な女性になるには、まず何から始めるべきですか? 思考や立ち振る舞いで、気をつけるべきポイントは?
結構エゴサーチするんですよね、私(笑)。人からどう思われてるのか、知るのは怖いけれど、知る勇気もときには必要。他人から見える自分の姿を把握して「もっとこうなったら面白いのかな」とアップデートしていくことは大切だと思います。自分の軸は持ちながらも、絶えず変化し続ける。一箇所に留まったままだと面白くないですもんね。「この人はいつ会っても違った一面が見える!」と思われていたいです。
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来年はインプットに時間をかけ
女優としてさらに飛躍していきたい。2021年は「風の時代」の幕開けであり、中条さんの星座「水瓶座」の時代と言われることも。4カ月過ぎてみて、風向きが変わった感じはしますか?
そうですね、実はいま人生でいちばんメンタルが最強かもしれません(笑)。「マリオカートのスターモードに入ってる!」と友達によく言っているのですが、何だか無敵な気分! 10周年という節目の年だからでしょうか。この波に乗って行けるとこまで行きたいです。
今年、新たに挑戦したいと思っていることがあれば教えてください。
新しく何かを始める余裕はなさそうですが、女優として躍進するために、 インプットを積極的に行ってキャリアのターニングポイントになる 年にしたいですね。海外でもお仕事できるよう、 もっと英語も勉強していきたいです。 3月から始まったVOGUE GIRL +の連載(※会員限定コンテンツ)では、さまざまなジャンルのプロに会い、仕事のやりがいや極意を取材しています。
初回おにぎり屋「ぼんご」にお邪魔したのですが、すでに最終章みたいな濃い内容で。この仕事がダメになったら本気で弟子入りしようと思いました(笑)。心が奮い立つような言葉も女将さんからたくさんいただき、この連載をやっているうちに自分の新たな道が開けるのかも? そんな予感がしています。ふだん出会えないプロの方に会い、いろんな体験をさせてもらうなかで、同世代の女の子と一緒にステップアップしていけたらうれしいです。
そんなピュアで前向きなキャラクターが中条さんの魅力ですが、10年後はどんな自分になっていたいですか? 思い描いてる未来は?
今と全く同じお仕事をしているかは……正直わからないですね。してるかもしれないし、してないかもしれない。でもどんな仕事をしていても、自分自身が「楽しい!」と思えたらそれでいいと思います。LAとかシンガポールとか海外に拠点を置いて、そこで生活するのも楽しそうですよね。ただ結婚してすんなり家庭に入ることだけはないかな。それだけは断言できます(笑)。