VOGUE GIRL LINE Twitter Facebook Pinterest Instagram mail

起業家のキャリアに迫る。彼女たちがイノベーションし続ける理由。【Vol.3 森本萌乃 / MISSION ROMANTIC】

LIFESTYLE/PEOPLE
SHARE

働き方に正解なんてない時代。だからこそ、ふと不安になったり、立ち止まったりすることもきっとあるはず。そんなキャリアのお悩みを抱えるあなたのために、VOGUE GIRLが注目する女性起業家にインタビュー。第3回目は、MISSION ROMANTICの森本萌乃さんにフォーカス! これまでの記事もCHECK!【Vol.1 尾和恵美加Vol.2 陳暁夏代

パラレルワークをしながら見つけた、自分の夢とビジネス。

本を通じたマッチングサービスを手がけるMISSION ROMANTICの代表、森本萌乃さん。1つのビジネスに依存せず、同時進行で複数のキャリアデザインを進行するパラレルワークという働き方を選び、会社員と起業家という二足のわらじを履いていた彼女。今年、ついにMISSION ROMANTICの事業に絞って、新たなステップを歩み始めた。そんな彼女に、これまでとこれからのキャリアについて聞きました。

MISSION ROMANTICの事業内容を教えてください。
映画の主人公のような「出会い方」を提供することを目標にはじまったマッチングサービスです。映画『耳をすませば』をヒントに、正確なアルゴリズムよりも、本棚で手と手が触れ合うように感覚的に人と出会えたら素敵だなと会社を設立しました。会社設立から1年半の今、現在は第2段階として、オンライン完結型の新サービスを開発中。今年ローンチ予定です。

今年リリース予定の新サービスには、前身となるサービスであるMISSION ROMANTIC bookというものがありました。本の発送、お客様のマッチ、出会いの場所のセッティングから招待メールの送付まで、その運営はすべてアナログでやっていたのですが、口コミやPRのみで現在500名を超えるお客様が参加を待って下さっているという状態です。アナログだと1度に案内できる人数がどうしても限られてしまうので、その点も解決したくて今回サービス開発に踏み切ったという経緯もあります。

 

 

大手広告代理店に入社後、外資・スタートアップと2社の転職を経験した森本さん。 広告代理店でキャリアをスタートし、そして別の企業へと転職した理由を教えてください。
人にドキドキわくわくをお届けしたい、この気持ちは広告代理店時代から今までずっと変わりません。ただ「代理店」というだけあって、やっぱり向き合う先はtoBになりますよね。もっと人に近付きたいという気持ちが強くなったことが、My Little Boxへの転職のきっかけでした。

複数の企業でキャリアを積み重ねていた森本さんですが、自分の手で会社を設立したのにはどのような思いがありましたか。
「自分のサービスでお客様にドキドキわくわくをお届けしたい」という気持ちは、ずっと心のどこかにありました。学生時代から、友人のお誕生日を祝ったり、喜んでもらうために準備したりすることが好きでした。また、「失敗はない、経験値が上がるだけ」という考え方が私はとても好きなのですが、悩むくらいならやってしまおうと起業を決意ました。ロマンチックというキーワードやサービスの構想が頭に浮かんでからは、やらないという選択肢は1度もなく、前を向いて進んできた気がします。

会社設立当時は、アパレル会社の契約社員として週4日、その他の週3日は、自身が立ち上げた事業を行うパラレルワーカーだったとのこと。収入の柱を2つ持つという選択をされたのはどのような経緯からですか。
パラレルキャリアを選んだ理由は大きく2つあります。1つは、その当時仕事をしすぎて体調を崩してしまったから。働きすぎて不眠症になってしまったんです。なので、次に働く会社は自分の中に、余白を作りながら働ける場所が良いなと思い、週4勤務を条件に転職活動を進めました。もう1つは、その余白の中で自分のことを見つめ直したかったから。前職のMy Little Boxは、本当に天職だと思っていたので、辞める時は相当落ち込みました。一旦自分を0にして、もう一度キャリアに向き合う時間が必要だったんです。

私の場合、それが結果的に起業ヘと繋がっていきました。起業準備のために計画的にパラレルキャリアを実行したというよりは、そうしないと自分自身がダメになってしまう気がしたので、自分の心に正直に従った結果だったように感じます。

パラレルワークをしていて、良かったことと大変だったことを教えてください。
良かったことは、相乗効果が働いたこと! 週4日は組織の一会社員として、週3日は個人・会社の代表として……、この2つの役割を行き来することで、気持ちを切り替えるタイミングがたくさん生まれました。どっちもあるからどっちも頑張れる、エネルギーを50:50に分散するのではなく、どちらも100%の力でエンジンを踏んでいるイメージで働いていました。

大変だったことは、常にプレッシャーと隣り合わせだったということ。会社に対して週4のイレギュラーな勤務体制を認めてもらったからには、常に会社から求められる人材でなくてはいけません。会社が引き止めたいほどの人材であるか?という自問自答は、働きながらずっと続けていたように感じます。

今年、パラレルワークでの働き方を辞めて、自身の事業1本に絞られたそうですね。その決断の背景を教えてください。
ミッションロマンチックの事業に1本化するタイミングは、自分で決断したというよりは必然的にやってきました。このコロナ禍のタイミングで契約が終了となり、今の状況を鑑みるとこればかりは誰も悪くないことです。事業の1本化についてはこれまでずっと考えていたことだったのですが、会社が楽しくてなかなか決断ができずにいたので、煮え切らない私の背中を会社に押してもらったと、ポジティブな思いで前を向いています。

独立して、収入面についてはどう変化しましたか。
今年、自分の会社に1本化してから収入はゼロ。無職同然なのに「起業家」という肩書きに自分は甘えているのではと時々不安になります。副業やスポットでお仕事をすることも考えましたが、“ロマンチック”という一見、お金にならなさそうなものにビジネスとして本気で向き合ってみたかったので、逃げ場や言い訳を作らず自分を追い込みました。その焦りが私のエンジンでもあります。今、私は自分の貯金を切り崩しながら生活をしていて、事業資金は銀行からお金を借入しました。お金はないですが、心だけは満たされているから不思議。もちろん、万が一失業したときのことを考えると、背負うリスクやプレッシャーはかなり大きいですが、この経験はどのみち自分のキャリアに活かせる大きな経験値になると信じて、今は自分に投資をしている感覚で事業に向き合っています。

これまでの会社員生活での経験で、現在役に立っていることはありますか。
たくさんあります! むしろ、会社員の経験で役に立っていないことがないくらい! 小さなことでいうと、言葉遣い。ビジネス用語や相手に失礼のない言葉遣いは、完全に会社員生活から学びました。大きなことは、人の仕事に対するさまざまな目線です。代理店では、toBビジネスを経験し、その後toCの会社を2社、今は自分の会社を経営しています。そうすると、仕事上で向き合う人間関係において、色んな人の気持ちが分かるようになってくるんです。想像だけではなく、自分が実際にいろんな立場を経験したからこその持てたこの視点は、仕事を円滑に、そして前向きに進めていく上で大きな武器になっています。

逆に、会社員生活でご自身が窮屈に感じられたことはありますか。
いろいろな働き方を経験してきた結果、私は会社員最強説を唱えています。起業したらいろいろなことを1人で決めて動けるけれど、規模は小さい。一方、会社員は個人よりも、より大きな影響力のある仕事ができる分、自分の能力や意思に加えて、たくさんの「調整」というプロセスが発生します。このプロセスが実は、一番大変だと思うんです。だから私は、会社員で心身ともに健康で仕事を楽しんでいて結果も出している人、これが最強だと信じています! また、仕事にかけるプライドや質は、結局、志が高ければどこにいても全員同じです。そう考えると、「会社員=窮屈」みたいな固定概念そのものが一番窮屈かもしれません。

森本さんが、仕事をする上でもっとも大切にされている価値や信条を教えてください。
これはずっと変わっていなくて、自分がぐっとくるものしか引き受けない、世に出さないと決めています。「ぐっとくる」の判断は時によって違っていて、世の中・お客様・ビジネスパートナー・社内とその時の状況によってさまざまですが、誰かの喜ぶ顔が浮かばないものはやりません。誰のためにやっているか分からないものは、単純に頑張れないと思うんです。

今の事業での喜びや充実感をどのようなところで感じていますか。
今年の春から本格的に取り組み始めた新サービスですが、ようやく年内にローンチの目処が立ってきて、喜んだり驚いたりしてくれるお客様を想像するのが一番の喜びです。会社名に“ロマンチック”と掲げたくらいなので、サービスを定義したり既存の何かに例えることはとても難しく、分かってもらえないこともたくさんありました。半信半疑で進めてきた開発が今、やっと現実味を帯びてきて、お客様にお届けするのが本当に楽しみです。

今の事業での大変なことは?
仲間探し! 自分の給与もままならないような、こんな不確実な会社に、誰かを巻き込むなんてとんでもないと思いつつ、現状人手がまったく足りていないんです。一緒に働きたいと思ってくれる人、そしてその人と私も働きたいと思えること、この両思いの関係に巡り会うのがこんなに大変だとは思っていなくて、ここが一番大変です。

女性として大変だと思ったことや生き辛さをこれまで感じたことはありますか?
私にとって女性であることは、プロフィール欄の誕生日や趣味と同じく、ささやかな項目の1つでしかないと考えています。なので、忘れただけかもしれないけど、女性だから辛かった経験ってあまりないんです。ただ、どうしても辛いのが生理! 体調は最悪なのに生理痛と言えなくて、体に鞭打って打ち合わせに出席したことが何度もあります。これからの将来は、生物学的女性に対する生理休暇や生理中の時短勤務が、もっと社会全体で許容されるようになってほしいと日々感じます。

ここ数年で、女性だからという理由だけで不当な扱いや差別を当たり前に受けているという、私の知らなかった現実を目の当たりにしました。私にとって、自分が女性であるということはささやかかもしれない。でも今後、私が女性として起業して経済的に安定して、いつか正しく声をあげられるような立場になれたのならば、そういう現実を変える小さなキッカケの1つになれたらいいな、と最近は思うようになりました。

今の事業が、世の中とどのような関わりをもっている状況・状態が理想ですか。
難しい質問ですね。そうだなあ……。これからの未来、一企業が政治観や社会的な発言をすることが当たり前になってほしいです。BLACK LIVES MATTERの取り組みも、発信に慎重な日本企業の中、「サンリオ」はSNSなどで発信して大きな話題となりました。男女が平等であること、人種によって誰かが差別をされないことは当たり前だと思っていたけど、まだ全然当たり前じゃないんですよね。だから私も、沈黙しない企業になりたいですし、そのために会社も自分も、もっともっと成長しなくてはいけません。

悩みや不安があるときは、どういうふうに解決しますか。
落ち込んだときは、2つ上の姉を呼び出して話を聞いてもらいます。姉のことを私は「保健室」と呼んでいて、「そろそろ保健室行っていいですか」と連絡をして付き合ってもらいます。

毎日の生活の中で、幸せを感じるのはどんな時ですか。
幸せを感じるときは、小さいバッグ1つで外にお出かけする瞬間。いつも不安でPCを持ち歩いてしまい、荷物がたくさんになってしまうので、「バッグが小さい=仕事が片付いている」という証拠。

活力となる趣味や元気の源はなんですか。
読書。本がないと生きていけないです。読むのはだいたい小説かエッセイ。本の匂いも好きで、イライラした時やリラックスしたい時は本を嗅いでいます(笑)。本は、10冊読んでも自分にとって本当に面白いものって1〜2冊あるかないか。その運命の1冊にふいに出会えることを楽しみに読書を楽しんでいます。

これまでの人生で、自分自身が影響を受けた本は?
パウロ・コエーリョ著「アルケミスト」です。自分の夢を追いかける時に感じる恐れを取り除いてくれた大切な本。これを超える本になかなか出合えません。

気合いを入れたい時に纏う勝負アイテムを教えてください。
ピアスが大好きで365日身につけています。特別な日は、大きめの揺れるピアスを選ぶことが多いです。

これから自分で何かを発信したい、自分で何かを始めたいと思っている人にアドバイスをお願いします!
私がアドバイスできることは、周りにあまり影響を受けないでほしいということ。既に活躍している人や成功している人ってどうしても眩しいけど、自分から出てきた気持ちやアイディア以上にユニークで希少価値のあるものなんてないと思います。その気持ちが本物かどうかを、自分で大切に見極めてほしいです。最近では、私のようにパラレルキャリアで起業したり、転職したりすることも普通になってきているので、夢は1つ!命がけ!みたいなロックンロール的突破でなくてもいいと思います(笑)。いつも選択肢を複数持ちながら、ゆるやかな挑戦を絶えず続けていく道もある、ということを知っておいてもらえると嬉しいです。私もまだまだです、一緒に頑張りましょう!

  • PROFILE | 森本萌乃

    PROFILE | 森本萌乃

    1990年生まれ。大手広告代理店、My Little Boxでのキャリアを経て、パラレルワークをしながら2019年にMISSION ROMANTICを設立。本を通じたマッチングサービス「ミッションロマンチック」を運営している。

    https://www.missionromantic.com/

PHOTO:COURTESY OF MOENO MORIMOTO EDITOR:SAYA YONEKURA
FOLLOW US

VOGUE GIRL の最新情報を CHECK!

Swipe!
Swipe!