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起業家のキャリアに迫る。彼女たちがイノベーションし続ける理由。【Vol.1 尾和恵美加 / Bulldozer】

LIFESTYLE/PEOPLE
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働き方に正解なんてない時代。だからこそ、ふと不安になったり、立ち止まったりすることもきっとあるはず。そんなキャリアのお悩みを抱えるあなたのために、VOGUE GIRLが注目する起業家にキャリアインタビューを敢行! 1度は企業へ就職した先輩やパラレルワークで新しい働き方を模索した先輩など、意思と使命を持って、新しい時代を切り開く30代前後の4名の起業家にASK! 第1回目は、Bulldozerの尾和恵美加さんが登場。


ロジックとクリエイティブを掛け合わせ、今までにない価値を創造すること。それが新しいビジネスのカタチ。

企業のコンサルティングや空間づくりの提案を通じて、1000年先にも通じる価値創造を行うBulldozerの尾和恵美加さん。大企業といわれる会社に新卒で入社したものの、本当の意味で0から1を生み出す仕事に携わりたいという思いから起業というステップを選んだ彼女のキャリアとは?

■代表をつとめるBulldozerは、どんな会社ですか。
新規事業開発や人材開発のコンサルティングを行っています。物流業、印刷業、製造業など、関わる業種もさまざま。特徴は、ロジックとクリエイティブを掛け合わせたアートシンキングというフレームワークを使い、今までにない価値を生み出すことに注力していること。例えば、大阪にあるバルブ製造業の中北製作所では、バルブそのものを再定義するワークショップを実施。そのほか、名古屋にあるビルの再建コンセプトを提案するなど、企業に対してコンサルティングをすることが多いです。個人向けには、「Udemy」というサービスで、 100,000以上のオンラインコースから自分に合ったスキルが習得できるeラーニングの講座を展開しています。現在試作中のものとしては、アートシンキングの手法を用いたカラフルコスメのサブスクリプションサービスも。“1000年後にも通ずる価値を創造する”ことをモットーにし、既存の概念にとらわれない新しい仕事や価値を創出しているのが私たちの会社です。

■大学卒業後は新卒で日本IBMに、コンサルタントとして入社した尾和さん。まず、最初のキャリアをIBMでスタートした理由は。
好奇心旺盛な私にとって、いろいろな業界と関われること、さまざまなソリューションを使って価値を提供できるコンサルティング業態は、天職なのではと思っていました。正直なことをいうと、外資系企業への憧れもありました。当時、IBMの先輩社員でとても親切にしてくださる方がいて、この会社に入ったら五年後、先輩のようにスマートで素敵な人になれるかもと希望を抱いたのが入社のきっかけです。

■世界有数のリーデイング・カンパニーであるIBMでのキャリアをはなれたのは、どのようなきっかけがあったのですか。
大学を卒業して就職すると同時に、恵比寿にあるシェアハウスに住み始めました。そこで私は初めて、多種多様な人生の歩み方があるということを知ったんです。今まで、まわりには大学を出て、いわゆる大企業と呼ばれる会社に就職する人が大部分だったのですが、シェアハウスには自分で会社を経営している人もいれば、専門学校を出てフリーランスでやっている人もいたり、海外から日本に働きにきている人がいたり……。やっぱり、自分で人生の意思決定をしてきた人たちの人生は楽しそうに見えました。理想の会社には入ったものの、うまく自分の価値を発揮できずに燻っていたこともありましたし、幼少期の強い夢だったファッションデザイナーを諦めた自分にもそこで気がつき、“私の人生これでいいの?” と考えたことが一番最初のきっかけです。そのあと、ファッションデザイン教室「coconogacco」やデンマークのビジネスファッションスクール「Kaospilot」で学びを深め、起業するに至るのですが、想定内の人生よりも想定外がたくさん起こる人生を送りたいと思い、IBMをはなれることにしました。

■IBMを辞めてから通った2つのスクールでは、どのようなことを学ばれたのですか?
まず通ったファッションデザイン教室「coconogacco」の講座では、芸術家がクリエイティブなだけではなく、ロジカルだということに気づきました。現在の事業のベースとなった、左脳と右脳の掛け合わるアートシンキングという考え方で時代を切り開いていきたいという思いは、ここで生まれたような気がします。AIがどんなに発展したとしても、論理と創造を組み合わせて体系的に考えられる力は、人間の方が優れている。そう感じて、さらなる学びを求めてデンマークのビジネスファッションスクール「Kaospilot」へ入学。ここで学んだことは、“地球は丸く、太陽の周りを回っている”ということ。当たり前だと思うけれど、これは体感するとすごいんです。北欧の夏は白夜で有名ですが、冬はどうなると思いますか? 私のいた町では、日照時間は9:00〜15:00の間だけでした。学校に行くときはまだ暗いし、帰ってきても暗いんです。天気もよくないことが多いので、必然的に家で過ごす時間が長くなります。そうした生活スタイルの中だと、より快適に家で過ごすためにインテリアが自然と発展していくわけです。だから、北欧は快適さが追求された機能やデザインに強いんですね。このように、地理が歴史や文化に繋がって、現在のビジネスに紐づいているということを知ったことも、アートシンキングをより深く、立体的に構築していくにあたり、役立っています。

■起業したいと思っているガールの中には、「時間がもったいない! 一刻も早く準備をはじめなきゃ」と思っている人もいるのかも。一見、遠回りのようにみえる組織での経験で、現在役に立っていることはありますか。
常に価値を生み出すということを意識しながら仕事ができた経験、仕事の基本を高いレベルで学べたことは、IBMでキャリアをスタートさせて良かったと思っています

■逆に、会社員生活で窮屈に感じたことは。
正解らしいものがあることです。確実性を担保することは大切なことなのですが、私はそれよりも次の時代を創造できるようなことをやってみたかったんです。プロジェクトの規模も大きく、刺激的なものも多かったですし、人間関係のストレスは一切ない働きやすい会社だったのですが、本当の意味での0から1を生み出す仕事に携わりたかった私にとっては、少しだけそこに窮屈さを感じました。

■女性としての大変さ、生き辛さは感じたことがありますか。
実は、これを感じたことはありません。IBMの場合は、本社の社長は女性なので女性だから大変というのは、迷信なのでは……と思うくらい。あとは、まわりに恵まれているのだと思います。新しいことをやっている人たちの価値観は、70代以上の大先輩でも柔軟なので、「女性だから~」というようなことをいう人には出会ったことがないです。

■仕事をする上でもっとも大切にされている価値や信条って。
“感動”があるかどうかです。心の動きは、その人にしか感じられないことであり、それをインスピレーションとしてアウトプットできれば代替不可能な価値を提供できると思うんです。他の人にできることは、やりたくないです。それを楽しんで取り組めるかは、自分の努力ですね。

■今の事業での喜びや充実感をどのようなところで感じていますか。反対に、大変なことはありますか。
私たちが進めている事業に理解・共感してくれる人が増えているというのが嬉しいところです。理解・共感の上でアートシンキングというフレームワークを提供でき、アクションが起こった時は報われたと感じます。

一方で、アートシンキングを理解してもらえるように伝えることは、未だに苦労するシーンも多いです。抽象度が高いので、相手がわかる言葉を見つけるまでに時間がかかります。また、ベンチマークがないので、正解を自分で作っていかなくてはならないという孤独さを感じることも。正解を自分の手でつくり上げることができることが、好きなポイントであり楽しいのですが、八方塞がりになってどうしよう……、と途方に暮れる瞬間もまだまだあります。

■自分自身がやりがいを感じられる仕事とビジネスとしての成立する仕事、この2つを両立させるのは正直大変?
企業として収益をあげること、お金を“稼ぐ”という意識は大前提として持っています。お金を使うことで付き合いの幅やアクセスできる場所が広がると思っているので、そういった部分では会社員時代以上に惜しみなくお金を使っていると思います。

最近投資したのは、大阪にある「HAJIME」というガストロノミーという創作料理のレストラン。五感のうち、味覚だけは保存できない(視覚は印刷物や絵画、聴覚はレコード)と思ってるので、素晴らしい食材を美味しくいただける瞬間が最大の喜びです。これまで住んだデンマーク、バルセロナ、そして東京でも多くのガストロノミーレストランへ行きましたが、1番感動したレストランでした。

私はもうすぐ30歳になるのですが、20代のうちにどれだけの感動体験ができるかが大切だと思っています。若くても、感動できそうなことには、大きな自己投資をしてほしいです。

■今もシェアコミュニティに住んでいるとうかがい、驚きました。
今住んでいるのは、拡張家族の実験を行っている「Cift」というシェアコミュニティ。さまざまなクリエイターが共同生活をしているコミュニティで、知り合いの紹介と面談を経て初めて入居ができます。デンマーク留学中に感じた強い孤独から、”幸せの定義”について考えるようになったことがきっかけで、このコミュニティに興味を持ちました。家族の形が多様化する中で、このシェアコミュニティの仕組みは先進的だと思いましたし、想定外なことにたくさん触れられることが私の幸せでもあるので、とてもいい刺激になっています。“お金”での豊かさとは違った軸で価値や幸せを感じています。

■仕事の中で、今後より発展させていきたいことはありますか。
天才が増えて欲しいと純粋に願っています。鋭く、新しいものがたくさん生まれる時代にしたい! そのためには自分の才能を最大化させて価値を創造できる人を増やしていく必要があります。実現したいと思っているのは、タイムトラベルです。普通の留学は横軸の空間移動ですが、縦軸、つまり時間軸の移動の中でイノベーションを起こしたい。これを実現するためには、タイムマシーンを作ることになるのですが、どのくらいのお金と期間がかかるのは未知数な部分がまだまだあります。けれど、生きているうちに、成功させたい! サービス名は、実はすでに決まっていて“時代留学”。夢見がちに聞こえるかもしれませんが、言葉にしていけばイノベーションが起こり何かが動くと信じています。

■尾和さんが、一緒に仕事をしたいのはどういった人ですか。
人生を主体的に生きている人です。信念を持って行動できる人は、生命力に溢れて魅力的ですよね。どんな領域でもいいので、これだけは世界の誰にも負けないという得意分野がある人との話は、刺激的で楽しいです。また、右脳と左脳のバランス感覚が素晴らしいなと感じることが多いのが、チャレンジ精神旺盛な人。そんな人と一緒に働けたら嬉しいですね。

■今進めていることが、世の中とどのような関わりをもっている状態が理想ですか。
1000年後の日常の礎となるような物事を生み出している状態です。また、日本が“インスピレーション大国”として、時代を引っ張っていくにあたり、私たちがそのムーブメントを生み出している状態になりたい。その結果、毎日が想像できないようなワクワクが溢れた日々になるという状況が理想です。


ここからは、仲良しのお姉さんと話しているような気持ちで、プライベートについて根掘り葉掘り聞きました。尾和さんの不安や悩みの解決方法やお休みの日の過ごし方って?

■活力となる趣味や元気の源はなんですか。
感動を探すこと。人間は、もともと狩猟採集して暮らしていたので、想定外のことに溢れた毎日を古代の人は送っていたと思うんです。こうした想定外のことは、心を動かし、柔らかくしてくれます。感動を見つけるために、人にたくさん会いますし、なんでもとにかくやってみるということは、日常の中でしているかもしれません。最近は、バーにはまっていて、オリジナルのカクテルをつくってもらいました。“3020年の地球”をオーダーして出してもらったのがこちらです。本当に感動しました! 味は、人工的な草の香りでした(笑)。

 

■悩みや不安があるときは、どのように解決しますか。
掃除をして、明治神宮にお参りに行きます。お部屋の盛り塩を変えて、お風呂にも塩を入れて、頭のてっぺんまで潜ります。悩みがあるというのは理想があるという状態で、不安があるというのは現在地点がわからない状態だと思うんです。なので、カフェにこもりペンと裏紙を持って、ひたすら思考の整理をするんです。あえて、大きなチャレンジを設定することもオススメ。

■これまでに影響を受けた本や映像はありますか。
五味太郎さんの『落書き絵本』シリーズ。小さい頃、この本が大好きでした。塗り絵のようになっていて、好きな絵を書いてページを完成させていくものだったのですが、どんな世界が生まれていくのか、楽しく使っていた記憶があります。アートシンキングを加速させるための本としても、まわりの人にオススメしています。

もう一つは、『忍者戦隊カクレンジャー』(テレビ朝日系列)。おしゃれな映画とかじゃなくてごめんなさい(笑)! これは、日曜の朝にやっていた戦隊モノです。小さい頃、戦隊モノが大好きだったんですが、カクレンジャーは圧倒的なリアリティがあるんです! キャンピングカーのような、キッチンカーのようなバンで、クレープを売りながら生計を立て、車の中や近くにハンモックをかけて、みんな寝ていたように思うのですが、その影響からなのか昨年、モバイルハウスを作ってしまいました。

■お休みの日は、どんなことをして過ごしていますか。
最近は、自分が住んでいる街を散歩することが多いです。路地に入ると意外と知らないお店があったり、素敵な商品を置いてあるお店に出会ったり……。お散歩には、シェアハウスの仲良しの子と一緒に出かけるんですが、彼女と話す中でインスピレーションが見つかることも。今の時期は、あまり出かけることができないので、こういう身近なところで、たくさんの発見がある時間は幸せです。

■気合いを入れたい日には、どんなものを纏って気分をあげていますか。
自分自信を応援し、支えてくれるようなアイテムをまといます。1つは、最近買った「ユナイテッドヌード(UNITED NUDE)」のヒールです。建築家がデザインしているものなんです。少し奇抜なんですが、履くと必ず褒めてもらえるので、テンションが上がります。あとは、最近ちょっと奮発して「フエギア1833(FUEGIA1833)」の香水を2本買いました。大人になったと感じた瞬間でした! 1本はロマンチックな気分になりたいときに、もう1本は仕事で大きなイノベーションを起こしたい日にシュッとひと吹き。

■これから何かを発信したい、事業をはじめたいと思っているガールに向けて、ちょっとお姉さんの立場から、アドバイスをお願いします!
自分の頭で、理想の姿を考えよう。直感を信じ、例え真っ暗闇でも3倍速で行動して欲しいです。直感は、だいたい正しいです。そして、真剣に人生を自分で切り開いていけば直感力も磨かれていくので、直感を外すということが少なくなってくるように思います。

自分で心を動かして、思考して、行動してみて……、自分の人生なのだからオーナーシップを持った方が、生きていて楽しいと思いませんか!? 自分らしく生きようとすると、お手本や正解が見つからないこともあって、もがき苦しむ時間もあります。でも、上手く行ったときの快感や喜びは、なんともいえません。

直感を信じて行動する中で、私の経験から大切だと思ったことは長期的な目線。そのためには、いろいろな年代の人とお友達になるのがいいと思います。健全な人間関係を構築していくには、お互いに尊敬できる部分を持つ必要があります。友人から知らない世界や価値観をどんどん吸収して、自己研鑽していくことが大切です。毎日、自分がアップデートされていく感覚は、とっても楽しいですし、自分も周りも大切にできるようになります。自分だけにしか生きれない人生を、みなさんには、楽しく生きてほしいです!

  • PROFILE |  尾和恵美加(29)

    Bulldozer代表取締役・パラダイムシフター。大学卒業後、日本IBMにコンサルタントとして入社。デンマークへの留学を経て、2018年にBulldozerを設立。パラダイムシフター。ロジックとクリエイティビティの両輪をビジネスに落とし込む、アートシンキングで企業のコンサルティングなどを行い、新しい価値を生み出している。アナウンサーの奥井奈々さんと行うYou Tubeチャンネルもチェック!

EDITOR:SAYA YONEKURA
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