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自分らしい生き方って何だろう? 柳楽優弥&KENTARO監督と考える、人生を豊かにするコツ。

裕福な家庭で甘やかされて育ち、都会で放蕩暮らしを送る青年タケシ。ある日突然、実業家の祖父からモンゴルの現地人女性との間に娘がいることを告げられ、その生き別れとなった娘を祖父の代わりに探すため、未知のモンゴルへと旅に出るーー。
公開中の映画『ターコイズの空の下で』で主人公タケシを演じる柳楽優弥、そして今作が初監督となるKENTAROがVOGUE GIRLのために特別対談! 旅がなかなかできない今だからこそ、異国ムードが存分に堪能できるモンゴルを舞台にした美しく雄大なロードムービーは必見。2人の言葉を通して、映画の見どころだけでなく人生という「旅」に大切なものを見つけてみよう。

ダイナミックかつ詩的な美しさ。壮大なモンゴルの景色は必見!

モンゴルを映画の舞台に選んだ理由を教えてください。実際に訪れてみてどうでしたか?

KENTARO監督(以下、KENTARO):何年か前にモンゴルを訪れたときに、モンゴルの空と風景の美しさに、涙を流して帰ってきたことがあって。ウランバートルは都会ですけど、モンゴルの田舎にはまだ西洋の文化にあまり影響されていない、携帯電話の電波も入らないようなところが残っているんです。「この美しさは撮らなきゃいけない、何かの形で」と思ったのがきっかけです。

柳楽優弥さん(以下、柳楽):撮影の本拠地はウランバートルから車で12時間くらいのところで、そこは草原を馬や羊の群れが走っていたり、星がものすごく綺麗だったり、日本とはまったく異なる風景が広がっていて、すぐにカルチャーショックを受けました。

KENTARO:私たちが過ごしたところは海抜3000mくらいで空気が薄いんですよ。動物もいるし、若い人にとっては厳しい環境だったと思う。度胸も必要だし、彼(柳楽)は、かなりのアドベンチャー感を持って乗り切ってくれたと思います。

柳楽:モンゴルでの撮影は大変なこともありましたが、それが楽しかったですね。お風呂に入れなかったり、トイレが流れにくかったり、不便なことも多かったですが、日本にはないその不便さが心地よかった。それと、出会ったモンゴルの人たちのストレートさにも魅了されました。自分の言動が他人にどう見られるかを意識しないというか、萎縮しない。それでいて優しいんです。

KENTARO:あとはモンゴルって、土地から出ているエネルギーも違うんですよね。アフリカに一回行ったことがあるんだけど、赤道が近いからかエネルギーがすごい。モンゴルにもそれに近いエネルギーがある気がして。エネルギー感じなかった?

柳楽:なんか……感じました(笑)。地面との距離があるより、足を土につけて自然を感じていた方が体のリズムも良くなるって言いますよね。それを実感しました。

KENTARO:今回の映画は8Kで撮影して映像の美しさも追及しました。ぜひ大きいスクリーンで見て、壮大なモンゴルの自然を感じてもらいたいですね。

今改めて考えたい、自分らしい生き方。

主人公のタケシは裕福な家庭で育ち東京で贅沢三昧の暮らしを送っている中突然モンゴルへと送り込まれるわけですが、あまり抵抗せずに新しい世界へと踏み出しているのが印象的でした。タケシ自身も自分の中の何かを変えたかったんでしょうか?

柳楽:物質的だったり金銭的なところでは豊かさを感じているけど、中身の未熟さみたいなところを自分で悟る部分があったのですかね? 精神的に豊かなモンゴルの人たちと会って、タケシはカルチャーショックを受けながら成長していくのですが、以前監督が話してくれた「クオリティ オブ ライフ」の話がすごく印象に残っています。

KENTARO:「クオリティ オブ ライフ」とは、人生があと何年かしかない、となった時に、仕事を続けてお金を稼ぐか、辞めて金銭的な不自由はあっても毎日の人生のクオリティを大事にするか、の選択をすること。年をある程度重ねた人が「クオリティ オブ ライフ」について考えるのは普通なんですよね。残っている人生をいかに自分らしく生きるか。でもそれを若いうちから意識するのが大事じゃないかな、っていう話を以前したんですよ。
   
柳楽:2020年のコロナ禍の中で、たしかに精神的な豊かさを向上させたいと思いました。進行中のプロジェクトなどが色々と中断されて、自分自身と向き合わざるをえない状況になって、とても考えましたね。

KENTARO:やっぱり?

柳楽:でも、いいことなんですよね。考えることは。

KENTARO:いいことですよ。モンゴルのような田舎に行くと、もっと豊かに生きたいとか心を大切にしたいっていう気持ちのヒントにもなるみたいです。この映画もまさにそれがテーマとしてあって。平和なときだとこういうテーマは特別響かないけれど、社会問題やアイデンティティに対して世間の目が向いている今の状況だからこそ、より身近に感じてもらえたら嬉しいですね。

KENTARO監督はまるでメンターのような存在。

タケシは人との出会いを通して成長していきました。お二人の出会いや印象についても教えてください。こうお話を聞いていると、素敵な絆を感じます。

KENTARO:モンゴルの写真を見せながらこの映画の企画について柳楽くんと直接話すために、ヨーロッパから弾丸で会いに行ったんだよね? それが出会い。

柳楽:そうですね。モンゴルで3週間のロケ。初めての海外との合作。そして謎の多いKENTARO監督! 楽しそうで面白そうな要素が揃っていて、ぜひやりたいと思いました。

KENTARO:印象は、彼を前にして言っていいのかわからないけれど、この人アニマルだな、って感じていました(笑)。

柳楽:アニマル(笑)!

KENTARO:もちろん、とても良い意味ですよ。なんていうんですかね……。野獣。つまり、野獣っていうのはセクシーなんですよね。

柳楽:ありがとうございます(笑)。

KENTARO:野獣みたいな感覚ってみなさん持っているんですけど、芸能界に長くいるとだんだん薄まってきてしまう。けれど、彼の場合はそれをキープできているな、と。それから、ピュアなハートを持っているところも彼の魅力ですよね。演技が上手い人って、嘘つきとか嘘つくことが上手いというイメージを持たれがちだと思うんですけど、実は逆で、役者は素直じゃなきゃいけない。演技っていうのは嘘じゃなくて、各シチュエーションをどれだけピュアに対応するかということなんですね。

柳楽:KENTARO監督はとにかく面白くて、センスがいいんです。フランスをはじめ、世界のいろんな国でアーティストや俳優として活動されてきて、何でも自分でできてしまう方です。そんな監督が、このタイミングで僕を撮りたいと言ってくださり、作品が自分自身の成長記録にもなると思うと、とても楽しみでした。「コマーシャルっぽいのは嫌なんだ」とか、そういうことをはっきり言ってくれるので信用ができる方だな、と。ついていきたくなるような人だというのは現場を通して感じました。いきなりクレーンに乗って葉巻とか吸い出したり(笑)、予想つかない魅力を持っている。

KENTARO:ユニークな現場だったでしょ(笑)?

柳楽:現場にはモンゴル人、日本人の他に、オーストラリア人のカメラマン、チリ人の録音技師、フランス人のスクリプターもいて、いろんな言葉が飛び交っていましたが、監督のコミュニケーション能力の高さと人柄によって、ちゃんと現場が成立していました。僕自身は、むしろ言葉の壁があることで、必要以上に情報が入ってこなくてやりやすかったです。皆で一緒に冒険をしているような感覚でしたね。

KENTARO:彼は、会った時は英語とかもそんなに喋れなかったのに、みんなからインスピレーションを受けて、今会話できるようになっています。受賞できたドイツの映画祭では、毎回舞台挨拶も英語でして、努力家。こういうことを言う立場じゃないけど、10年後とかにどんな柳楽優弥になっているかが本当に楽しみですね。挑戦することって大事だと思うんですけど、それと同時にあまり考えすぎずに直感で選んで動いていけるのがすごいと思います。

柳楽:監督とは、今でも週に1回は電話するくらいの仲です。相談に乗ってもらうこともあります。

KENTARO:悩んだりとかも色々すると思うんですけど、やっぱり役者に一番大事なものを持っているから、応援したいですよね。職人として、アーティストとして、役者をやっていて、それを大事にしているから応援したくなる。役者としてだけでなく、人間的にも彼が大好きですね。

旅が困難な今、ロードムービーで味わう旅の醍醐味。

映画の中で車が故障したりとかいろんなハプニングがある中で、前向きに乗り越えるストーリーが、描かれていました。お二人は人生の中で壁にぶち当たった時にどう乗り越えてきましたか?

柳楽:それが今の自分のテーマになっていると思います。コロナを機に自分を改めて見つめ直して、ちょっと理想も出てきて、でもそれができない自分と戦ったり、考えたりすることがすごく増えて。僕は結構周りに相談したりしているんですけど、でもどうやって乗り越えたらいいんですかね。今は、まさに乗り越えたくて戦っているという感じです。

KENTARO:実際ね、そうだと思いますよ。こういう役者業とかアーティスト業とかだと特に、精神的に心を鍛えるというのは大事だなと思いますね。

柳楽:だけどなかなか勝てないんですよね。

KENTARO:勝つ、負けるの問題じゃないと思うよ。プロセスをどういう風に大切にするかが大事。結果はどうでもいいんだよ、大げさかもしれないけれど、最後には死んでしまうんだし。大事なことは自分のアイデンティティ、自分がどういう人間なのかが分かる時間を作ることだと思う。この映画のテーマにもなっているんだけど、自分の宿命が何かを知るために「旅」をすることが大事。

柳楽:悩んで解決したいときは「旅」をすればいいってことですか? 確かにタケシのように、実際に旅をするというのもひとつの解決法かもしれないですね。大企業の社長のお坊ちゃんで、パーティばかりしている彼の設定にはまったく共感しなかったですが(笑)、自分の殻を破りたい、自分を探したいという気持ちには共感できました。男女問わず、30歳手前はより良い自分を探したくなる時期だと思うんです。探し方は人によって様々ですが、旅には新しい考え方に触れたり、恐怖心を克服したりできる機会がつまっていますよね。「そうか、自分はこういう時に、こういうことに気づくんだ」と自覚できるのが旅の面白さだと思います。

KENTARO:それから彼のように考え続けるっていうことも大切!

柳楽:そうですね。タケシが一歩ずつでも成長していく姿を通して、観てくれた方の背中を押せる映画になればいいなと思います。

  • 『ターコイズの空の下で』

    『ターコイズの空の下で』

    2021年2月26日(金)より全国公開中
    http://undertheturquoisesky.com/
    配給:マジックアワー マグネタイズ
    (C) TURQUOISE SKY FILM PARTNERS / IFI PRODUCTION / KTRFILMS

PHOTO:MASAMI SANO @KIKI INC. STYLING:TETSURO NAGASE @UM HAIR&MAKEUP:ASAKO SATORI TEXT:TOMOMI HATA INTERVIEW&EDITOR:GEN ARAI, RISA TAKAYAMA

<衣装>
TAKEO KIKUCHI
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