ヤングケアラー、戦うフェミニスト、そして英国女王。立場は大きく違えど、三者三様のスタイルでポジティブなエネルギーを発信する新作映画をピックアップ。ジメジメした天気が続くこの時期だけど、見ればきっと気分を晴れやかにしてくれるはず!
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© 2021 – Single Man Productions – Ad Vitam – JM Films
『母へ捧げる僕たちのアリア』
主人公のヌールは、南フランスの港町で3人の兄と暮らす中学生。自宅で母を看病しながら、母の大好きなオペラを聴かせるうちに自身も歌に魅せられていく過程が描かれる。貧しく厳しい生活の中、輝きを見出した少年のひと夏の経験が眩しい。
南仏の海沿いの町にある公営団地で、兄3人と暮らす14歳のヌール。重篤で昏睡状態の母を兄弟4人で自宅介護する生活は苦しく、夏休みは兄の仕事の手伝いと家事に追われていた。ヌールの日課は、母に大好きなオペラを聴かせてあげること。ある日、教育奉仕作業をしていたヌールは、歌の夏期レッスンをしていた講師に呼び止められ、参加することになる。
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© 2021 – Single Man Productions – Ad Vitam – JM Films
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© 2021 – Single Man Productions – Ad Vitam – JM Films
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© 2021 – Single Man Productions – Ad Vitam – JM Films
/講師&オペラとの出会いにより拓かれた可能性、
吹替なしの歌唱シーンにも注目ヌールをオペラの道へと導く、強く優しい講師サラとの出会いで、彼の世界は少しずつ広がってゆく。ヌールを演じたマエル・ルーアン=ベランドゥは、実際にソプラノ歌手ドミニク・モアティによる指導のもと歌を特訓。劇中で開花していく様子はとてもリアルで、ポジティブなエネルギーの源として映る。「人知れぬ涙」や「誰も寝てはならぬ」の名曲が、家族愛のBGMとして胸に響くはず。
『母へ捧げる僕たちのアリア』
公開中
hark3.com/aria
配給:ハーク
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© Pathé Productions Limited, British Broadcasting Corporation and The British Film Institute 2019
『彼女たちの革命前夜』
世界三大ミスコンテストのひとつ「ミス・ワールド」で、実際に起こった前代未聞のハプニングを映画化した『彼女たちの革命前夜』。「女性を見世物にするならショーを壊そう!」と、キーラ・ナイトレイ演じる女性解放運動の活動家たちが立ち上がる本作。勇気をもって声をあげれば少しでも世界は変わるというテーマをしっかりと感じられる社会派作品だ。
1970年、ロンドン。学問をやり直すため大学入学をしたサリー(キーラ)は、女性解放運動の活動家・ジョーに出会う。彼女が所属する団体では「ミス・ワールド」を阻止するための計画を練っていた。世界各国から出場者が続々と集結する中、計画を実行に移すため作戦会議をするが…。
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© Pathé Productions Limited, British Broadcasting Corporation and The British Film Institute 2019
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© Pathé Productions Limited, British Broadcasting Corporation and The British Film Institute 2019
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© Pathé Productions Limited, British Broadcasting Corporation and The British Film Institute 2019
/ミスコンを阻止する側・出る側の心境をそれぞれ見せる構成、
自分の意見は何かを考えたくなる「見た目で競い合っていたら、世界が狭くなると思わない?」と主張するサリーの傍ら、「故郷の子どもたちに夢を見せたい」と夢を叶える足掛かりとして出場する女性もいる。阻止しようとする主人公サイドだけでなく、ミスコンに出ている側、主催する側、傍観する側など、それぞれが見つめるものをしっかりと描いているところもポイント。エネルギーを受け取って。
『彼女たちの革命前夜』
公開中
https://movie.kinocinema.jp/works/misbehaviour
配給:キノシネマ
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© Elizabeth Productions Limited 2021
『エリザベス 女王陛下の微笑み』
誰もが知る世界で最も有名な女性、英国君主エリザベス2世。彼女が一体どんな経験をしてきて、どのような人物だったのかを紐解くドキュメンタリー『エリザベス 女王陛下の微笑み』が公開中。気品がありながらも、とてもキュートでチャーミングなエリザベス女王の素顔を、ちょっとだけ覗けた気になれる。
作品では、1952年に25歳の若さで即位したエリザベス2世の類まれなる人生と旅路が、1930年代から2020年代までのアーカイブ映像によって映される。歴史上の様々な出来事を追いながら、ときにザ・ビートルズ、ダニエル・クレイグ、マリリン・モンローらスーパースターたちと交流する姿まで、貴重な映像が満載だ。
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© Elizabeth Productions Limited 2021
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© Elizabeth Productions Limited 2021
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© Elizabeth Productions Limited 2021
/自宅でのパーティー、競馬を楽しむ様子、王冠の重みまで…
見たことのない女王の姿がここに故ロジャー・ミッシェル監督は、「既視感のある、ありきたりな王室ドキュメンタリーにはできない」と、エリザベス女王の公私にわたる貴重な映像を、大胆にトピックを区切り構成。自宅でのパーティーから競馬を楽しむ姿、謁見の手続きや、「下を向くと首が折れそうなの」とする王冠の重みまで、バラエティ豊かに女王の人物像を伝えてくれる。激動する世界の中でも、不動であり続けた女王の存在そのものが勇気を与えてくれるはず。
『エリザベス 女王陛下の微笑み』
公開中
elizabethmovie70.com
配給:STAR CHANNEL MOVIES
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