ワクワクできるストーリーもいいけど、たまには考えさせられる作品で思考を深めてみるのもいいかも。今期は社会問題や倫理観に切り込んだ、新作映画をピックアップ!
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©2021映画『Arc』製作委員会
『Arc アーク』
『蜜蜂と遠雷』、『愚行録』で知られる、アーティスティックな感性が魅力の石川慶監督の最新作『Arc アーク』。本作は、近未来を舞台に、永遠の命を得た女性の一生を描いたエンターテインメント。主人公のリナを演じた芳根京子は、キャリアベスト級の繊細かつ大胆な演技で物語をけん引、代表作を更新した。
生まれたばかりの息子と別れ、17歳で放浪生活を送っていたリナ(芳根)は、19歳で師・エマと出会い、彼女の元で働くように。エマの弟で天才科学者の天音は、「不老不死」の研究を進めており、やがて30歳になったリナに求婚。ふたりは、人類初・永遠の命を得ることに成功するのだが……。
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©2021映画『Arc』製作委員会
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©2021映画『Arc』製作委員会
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©2021映画『Arc』製作委員会
/人間の希望ともいえる「不老不死」。若い姿のまま、愛する人と永遠に生活を送れることは、終わらない幸せの象徴であるはず。だが、あえて死を選ぶ者も存在し、人類は二分化されていく。年を重ねるごとに、リナが経験する葛藤と選択が、自然と「いつか」の我が身に置き換わり、思わず自分ごと化してしまう。石川監督ならではのエモーショナルな映像美とともに、深く味わって。
『Arc アーク』
2021年6月25日(金)より全国公開中
https://wwws.warnerbros.co.jp/arc-movie/
配給:ワーナー・ブラザース映画
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©Bittersand 制作委員会
『Bittersand』
高校3年生の夏休みに起きた「ある事件」をきっかけに、運命と人生が変わった男女ふたりのビターな映画『Bittersand』。クラス内で湧き起こった男女間のもつれ、いじめ…二度と思い出したくない過去と向き合い、清算していく姿が、鮮やかな青春劇として描かれた。出演する井上祐貴、木下彩音、萩原利久ら、フレッシュな若手俳優の演技も光る。
吉原暁人(井上)は、さえない日々を送る25歳のサラリーマン。ある日、高校時代に想いを寄せていた石川絵莉子(木下)と、期せずして再会を果たす。しかし絵莉子にとって、当時の記憶は忌まわしい「黒板事件」によって、拒絶すべき過去となっていた。同じく前に進めていない暁人は、自分と絵莉子のために、ある計画を進める。
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©Bittersand 制作委員会
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©Bittersand 制作委員会
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©Bittersand 制作委員会
/暁人と絵莉子が誹謗中傷の的となり、日常が暗転した「黒板事件」。嫉妬心による出来心が起こした事件が、誰かの心に癒えない傷を残すことを作品は改めて伝える。一方で、そんな過去さえも乗り越えられる希望があることも照らしてくれる本作。エンドロール終了後に流れる作品の良心とも言える映像も、見逃さないで。
『Bittersand』
2021年6月25日(金)より全国公開中
http://bittersand.net
配給:ラビットハウス
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©2019 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
『グリード ファストファッション帝国の真実』
『グリード ファストファッション帝国の真実』は、人気ファストファッション・ブランド「TOPSHOP」を擁しながら、2020年に経営破綻したフィリップ・グリーン卿をモデルにした映画。ファッション産業の影の部分にスポットを当て、センセーショナルな現実を突きつけられる本作。観た後には、デザインの良し悪しや価格だけでなく、ブランドのフィロソフィーや作られる背景にも目を向けて、モノ選びをしたくなるはず。
ファストファッションのブランド経営で財を成したリチャード・マクリディの還暦を祝うため、ギリシャの島に彼の妻、元妻、息子、母など一家が集結し、パーティーの準備が進められていた。湯水のように金を使うリチャードの背景には、不当な低賃金で酷使されている南アジアの縫製工場で働く女性たちという黒い実態があった…。
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©2019 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
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©2019 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
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©2019 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
/タイトルの『グリード』とは“強欲”という意味。強欲な富める者が貧しき者から搾取し、格差が拡大してきたグローバル資本主義の縮図が、本作ではまるでドキュメンタリーのようなタッチで映し出される。まったく笑えない問題作だけど、一見の価値あり!
『グリード ファストファッション帝国の真実』
2021年6月18日(金)より全国公開中
comeback-hollywood.com
配給:アルバトロス・フィルム
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