もし、今とは全く違う人生を突然歩むことになったら、どうする? 誰もが振り返る有名人から無名の一般人になったコメディアンや、夜のお仕事に手を出す未来の法律家など、ハプニングで激変する人生を描いた海外ドラマをピックアップ。未来が思いもよらない方向に進んでしまった時、どう乗り越える? 転んでもただでは起きない主人公の姿から、パワーをもらおう。
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勘違いおじさん、息子のために悪戦苦闘。
『フランスでは有名人』疎遠になっている息子と絆を築くため、大スターとして崇められるフランスから、知名度ゼロのロスへとやってきたコメディアン、ガッド。売れっ子から一点、無名の地で試行錯誤するおじさんの姿を自虐的に描く『フランスでは有名人』。脚本、監督に加え、実名での主演を務めるのは、フランスの有名コメディアン、ガッド・エルマレだ。
フランスでは護衛なしでは街を歩けないほど有名なガッドだけれど、アメリカで彼を知る人はほぼゼロ。空港ではセレブを気取るも不審者扱いされて別室に通され、自宅は古びたアパート、女性に声をかけるとストーカー疑惑で通報されるなど、フランスではありえない扱いに驚くガット。さらに、ミスは多いが憎めないキャラクターのマネージャーや胸筋がないと悩むモデル志望の息子、スピリチュアルにハマる元妻など、個性あふれるキャラクターが登場し、コミカルなストーリーを展開。登場人物は誰をとっても魅力的で、誰かがボケれば誰かが必ずつっこんでボケを回収する構図は、人気コメディアンが手がけるからこそ。そのレベルの高さにきっと圧倒される。
有名人から一般人に、なんて聞くと、“落ちぶれた”イメージを持つけれど、ロスでどんな洗礼を受けても決してフランスに帰らないのは、息子を深く愛するが故。ガッドは息子と失われた時間を取り戻せるのか。彼の第二の人生を笑いと共に見守りたい。
ちなみに、現実のガッドは自分をスーパースター扱いしないアメリカのムードを“なんて自由だ”と感じたそう。制約なしに自分らしいドラマを作り出すチャレンジ作から、エネルギッシュなパワーを感じてみては?
『フランスでは有名人』
Netflixオリジナルシリーズ。シーズン1を独占配信中。
https://www.netflix.com/title/80211621
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今までの強みを突然失ったら、どう生きる?
『私はラブ・リーガル』“女性で大切なのは、見た目か。それとも中身か”。今まで幾多の女性を悩ませてきた永遠のテーマにピリオドを打ちたいガールにおすすめの一作。主人公は、抜群のスタイルとキュートな外見で多くの人を魅力するモデルのデビー。イケメン弁護士の彼と婚約し、人生バラ色……だったところで交通事故を起こし帰らぬ人に。天国の入り口で「リセットボタン」を押すことで魂だけは地上には戻れたけれど、目を覚ますとデビーの魂はぽっちゃり系弁護士のジェーンの体に入ってしまっていた……。
明るくポジティブなデビーが好むのはカラフルなミニ丈のワンピースなど思いのままのファッション。一方、弁護士ジェーンは自信のなさを表すような地味なスーツに身を包む。見た目も中身もまるで正反対になってしまったデビー。外見の美しさを武器に生きてきた彼女が、その長所を奪われた時、どう受け止めるのか。「もとの自分に戻りたい!」と思ってしまいそうなところ、デビーが出した答えは……ジェーンとして人生を思いっきり楽しむこと!
ぽっちゃり体型だからこそ映えるメイクやファッションを取り入れ、世間がいう美しさにとらわれない自分らしさを発揮。さらに、弁護士という仕事から得られる”人の役に立つ”ことの喜びを噛み締めつつ、モデル時代とは違う新しい人生を彩っていく。
与えられた環境をフルに楽しみ、誇り高く生きることで、人生はとびきりに輝く。コンプレックスに悩むガールにこそ、このとびきりポジティブなドラマを観てほしい。新生ジェーンの存在が、”内面の美しさこそ大切なのだ”と教えてくれるはずだから。
『私はラブ・リーガル』
Huluにてシーズン1〜6を配信中。
https://www.happyon.jp/drop-dead-diva
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突然すぎる母の死。残された家族の未来は。
『ノーザン・レスキュー』家族の中で“お母さん”の存在は偉大なもので、その存在を失った時、幸せに見えた家族のバランスはいとも簡単に崩れてしまう。特にその死が突然だったら尚更だ。『ノーザン・レスキュー』でもそれは同じで、愛する母を病気で失ったあと、父は仕事に明け暮れてその悲しみを紛らわし、思春期真っ只中の長女・マディは非行に走る。長男・スカウトはレスリング部で揉め事を起こすがそれを家族に相談できず、次女・テイラーはこれまで以上に勉強に励んで悲しみを忘れようとする。笑い声の絶えなかった家族が、愛する母親を亡くしたことでバラバラに。幸せだった母との日々と、母がいなくなった今。家族が織りなすかけがえのないひとときが、2つの時間軸で描かれる。
もちろん、母が死ぬまでは完璧な家族だったかといえばそうでもない。いつだって本音をぶつけ合ってきたわけではないし、今は亡き母にも誰にも言っていない衝撃的な秘密があった。目をつぶって母の存在を確かに感じたり、母の声が残る留守電を何度も聞いたり、家族といえども喪失感を簡単には共有できず、それぞれが思い出をたどりながらゆっくりと死を受け入れていく切なさはひとしお。家族の死を単なる美談としてではなく、リアルに描くからこそ、それぞれのシーンがぐっと胸に迫る。
このドラマの舞台は、母の死後に家族が引っ越した、叔母のチャーリーが住む田舎町。壮大な湖をもつこの町は静かで美しいが、閉鎖的で息苦しさを感じることもある。まるで家族の言い知れない苦しみと、前を向こうと奮起する様を表しているような町の描写も物語に深みを与える。
人生を激変させる、家族の死。それをどう受け止め、乗り越えていくのか。家族が選択する未来をを見届けて。
『ノーザン・レスキュー』
Netflixオリジナルシリーズ。シーズン1を独占配信中。
https://www.netflix.com/title/80202258
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PHOTO:Everett Collection/AFLO
野心家女子大生の駆け引きゲーム。
『ガールフレンド・エクスペリエンス』将来を約束されたエリート女子大生が、”コールガール”の世界にどっぷり浸かっていくという衝撃ドラマ『ガールフレンド・エクスペリエンス』。主人公のクリスティーンは、ロースクールに通いながら一流法律事務所でインターンとして働く女子大生。法律家として活躍する将来は見えているのに、好奇心からセレブ専門のコールガール業をスタート。少しだけのはずが、さまざまなバックグラウンドを持つクライアントと対話し、身体を重ねるコールガール業に言い知れない楽しさを覚える。
これまで道をそれることなく優等生ライフを歩いてきたクリスティーンにとって、コールガールはまさに禁断の果実。野心家の彼女が本能の赴くままに人生の舵取りをしていく様子は危なっかしくも魅惑的。明らかに間違っているように思えても、動物的にパワーゲームをコントロールしようとする彼女の行動にぐいぐい引き込まれてしまうのだ。また、コールガールという“夜の仕事”と法律家という“昼の仕事”がコントラスト豊かに描かれるのもこのドラマの面白いところ。どちらの世界でも新参者なクリスティーンは危険に晒されやすいのだが、誰一人味方がいない局面でも、彼女は強く立ちはだかっていく。
このドラマの特徴のひとつが、1シーズン完結でシーズンごとにキャストとストーリーが別物へと変わる“アンソロジー形式”をとっているところ。シーズン2では、2018年のアメリカ中間選挙を舞台に、社会や政治色の強いドラマを展開。強くて危なっかしい女性を主人公に、また違った人生を楽しめる。
『ガールフレンド・エクスペリエンス』
Amazon Prime Videoでシーズン1、シーズン201・202を配信中。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B01HV54U70