いよいよ目前に迫ったアカデミー賞授賞式。今年もアワードの行方に注目が集まっているけれど、各賞にノミネートされている作品のうちあなたはいくつチェック済み? 結果発表を前に、日本でも続々とノミネート作が公開中! 授賞式の前に鑑賞しておけば、賞レースの行方を一味違う気持ちで楽しめるかも!
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©2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.
『ビール・ストリートの恋人たち』
第89回アカデミー賞にて3部門受賞した『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督による最新作『ビール・ストリートの恋人たち』は、19歳と22歳のアフリカ系アメリカ人カップルが、哀しい事件に翻弄される姿を描いた人間ドラマ。
70年代のニューヨーク。幼なじみのファニーとティッシュは、固い愛で結ばれていた。新婚生活を目の前に控えたある日、小さないさかいから白人警官の怒りを買ったファニーが、無実の罪で逮捕されてしまう。お腹に小さな命を宿していたティッシュは、刑務所から助け出そうと奔走するのだが……。
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/黒人作家としてアメリカ文学の金字塔を打ち立てたジェイムズ・ボールドウィンの同名原作に感動したバリー監督が、映画権を取る前から脚本を書いていたほど傾倒していた本作では、当時のアメリカにおける黒人差別の実態が、カップルの目を通して届けられる。様々な角度からふたりの心情を映し出す台詞に頼らないカメラワークは秀逸。人物を真正面から捉えた観客に語り掛けてくるような画で、胸を鷲掴みにされる。
本年度のオスカーにて、助演女優賞でノミネートされている、ヒロインを支えるたくましい母シャロン役のレジーナ・キングの演技は激賞もの。深い家族愛は必見だ。
『ビール・ストリートの恋人たち』
2019年2月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開中
longride.jp/bealestreet/
配給:ロングライド
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©Universal Pictures
『ファースト・マン』
アカデミー賞6部門に輝いた『ラ・ラ・ランド』よりも先に、デイミアン・チャゼル監督が企画に乗り出していた映画『ファースト・マン』。月面着陸計画という人類の夢を叶えたアポロ11号の船長、ニール・アームストロングの実話を基に、知られざる苦悩と覚悟、感動をシリアスなタッチで伝える。
空軍でテスト・パイロットを務めるニールは、幼い娘の死と向き合っていた。哀しみを抱えたまま、NASAの宇宙飛行士に応募しハードな訓練を重ねていくニールは、ミッションで命を落とす飛行士たちの姿を自分と重ねながらも、まだ誰も到達していない月を目指していく。
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/主人公ニールを演じるのは、デイミアン監督と前作でもタッグを組んだライアン・ゴズリング。悲恋のピアニストに孤高の天才ドライバー、人形と恋に落ちる風変りな男性など、数々の役をものにしてきたライアンが、無口で実直な乗組員となり、我々を宇宙空間へ連れて行く、という魔法をかけてくれた。
狭いコックピットの中での死との恐怖、無重力の宇宙に投げ出されたときの浮遊感を、スクリーンの椅子に座りながら感じ取ることができるとは……。視覚効果賞、録音賞、美術賞、音響編集賞にノミネートされたのも、贅沢な映画体験をすれば納得!
『ファースト・マン』
2019年2月8日(金)より全国公開中
https://firstman.jp/
配給:東宝東和
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©2018 Twentieth Century Fox
『女王陛下のお気に入り』
アルフォンソ・キュアロン監督作『ROMA/ローマ』と並び、本年度オスカーにおいて最多10ノミネートを記録した注目作『女王陛下のお気に入り』。女と女と女が絡み合う愛憎劇が宮廷を舞台に繰り広げられる、さながら豪華昼ドラ……と言ってはポップすぎるだろうか。
18世紀フランスとの戦時下で、イングランドの女王アンと女王を支配していた幼なじみの公爵夫人サラのもとに、上流階級から没落したアビゲイルがやってくる。召使として働くアビゲイルは、アンに気に入られ少しずつ昇格。やがてサラの立場を脅かすまでになる。
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©2018 Twentieth Century Fox
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/各国の主要主演/助演女優賞部門に軒並みノミネートされている、女王役のオリヴィア・コールマン、侯爵夫人のレイチェル・ワイズ、野望を秘めたエマ・ストーンの配役は脱帽モノ。誰が欠けても成し得なかった、完璧な演技のアンサンブルは見飽きることがない。持ちうる頭脳、人脈、肉体を最大限に使うたくらみは、ゾッとしつつも痛快だ。
ヨルゴス・ランティモス監督と言えば、配偶者のいないシングルを動物に変える『ロブスター』や、ある子供から始まる奇妙な連鎖を描いた『聖なる鹿殺し』などで知られる。歴史絵巻を鬼才が撮ると、まるで新しい物語のように楽しめるのも見どころのひとつだ。
『女王陛下のお気に入り』
2019年2月15日(金)より全国公開中
http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/
配給:20世紀フォックス映画
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©META FILM LONDON LIMITED 2017
『天才作家の妻 40年目の真実』
オスカーの受賞スピーチなどでよく耳にする“妻に感謝します”という夫婦間の愛あふれる言葉。誰もがうらやむようなこの発言に、なぜか怒り狂った作家の妻、発した夫――の夫婦生活を紐解いたスキャンダラスな映画が『天才作家の妻 40年目の真実』だ。
現代文学の巨匠ジョゼフと妻ジョーンのもとに、ノーベル文学賞受賞の吉報が届く。喜びいさんで授賞式の地ストックホルムを訪れる夫婦だったが、ジョゼフの経歴に疑惑を持つ記者の出現により、秘密が暴かれようとし夫婦関係が崩れてゆく……。
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©META FILM LONDON LIMITED 2017
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©META FILM LONDON LIMITED 2017
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/作家として活躍している夫を常に支え、本来自分が持っていた物書きという才能を秘め、徹底して裏方に回っていたジョーン。それを慮れない夫は、受賞に浮かれ無遠慮にはしゃぎ、現地の若い女性カメラマンに色目まで使い出す。自分を誤魔化し感情を抑えていた“天才作家の妻”が、衝動的ながら知的に、夫を追い詰める姿は圧巻だ。
エレガントな妻に扮した主演のグレン・クローズは、これまで6度のオスカーノミネートを果たしている演技派ながら、未だ無冠。本人は受賞へのこだわりがあまりないという報道も見受けられるけれど、名優が輝かしいオスカー像を手にスピーチをする姿こそ、私たちが見たい姿だったりする。今回こその受賞に期待したい。
『天才作家の妻 40年目の真実』
2019年1月26日(土)より全国公開中
ten-tsuma.jp
配給:松竹
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