2018年も残すところあと少し。アメリカだけで年間500を超える新しい作品が誕生する“海外ドラマピーク時代”の今、本当に観るべき作品はどれ? 1年の締めくくりにふさわしい、今年を象徴する5作をピックアップ!
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『ボディガード – 守るべきもの-』
英メディアが絶賛!
謎が謎を呼ぶポリティカル・スリラー。オペラや舞台など芝居の本場でもあるイギリスは、批評家のみならず一般視聴者の目も肥えている。だからこそ、芸術的で高潔な秀逸作を数多く生み出しているのだけれど、英BBCが制作する『ボディガード – 守るべきもの-』はその中でも別格の出来栄え!
ストーリーの中心人物は、テロ対策に取り組む女性内務大臣の要人警護にあたる元兵士のデイビッド。『ゲーム・オブ・スローンズ』でスターク家の長男ロブ・スタークを演じたリチャード・マッデンが、全6話を通して一切笑顔を見せず感情を表に出さないクールな役柄を演じ切り、これまでのキラキラしたイメージを一新。だけどどこか人間臭さを感じられる絶妙な演技が評価され、NEXTジェームズ・ボンドの有力株との呼び声も!
さらにこのドラマを語る上で忘れてはならないのが、贅沢なカット割り。初回の自爆テロに巻き込まれそれを阻止しようとするシーンでは、巧みなカメラワークや視点の切り替えを駆使して20分を超える迫力の映像を展開。メディアが“息をすることを忘れて見入ってしまう”と評するのも納得の、丁寧かつ大胆な描写で視聴者の心を惹きつける。
初回からは想像のつかない展開が続き、最後は驚きの結末へ。全6話と“年末イッキ見”にもぴったりのボリューム感。ヒットメーカー英BBCの実力をこれでもかと感じさせてくれる重厚な作品は、ぜひ2018年のうちに見ておくべき!
『ボディガード -守るべきもの-』
Netflixオリジナルシリーズ
シーズン1を独占配信中。
https://www.netflix.com/title/80235864
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PHOTO:Everett Collection/AFLO
『THIS IS US 36歳、これから』
生きてるって大変で、でも素晴らしい!
何かを始めるには遅い気がするけれど、これでいいかと諦めるにも早い。何をするにも中途半端な年齢“36歳”を迎える3人が、仕事や恋愛、家族や親との関係に悩み、時折幼少時を遡りながら、人生のコマを前に進めていく『THIS IS US 36歳、これから』。
本作の中心となるのは、同じ誕生日に生まれ、今年36歳になるケヴィン、ケイト、ランダルの3人の男女。海外ドラマピーク時代を迎え、各チャンネルがあの手この手で読者のハートを掴もうとする中、あえてど定番の“家族”や“愛”をテーマに勝負した本作。一歩間違うと“古い”と思われがちなテーマを、懐かしさはもちろん斬新さをも感じさせる独特のスタイルで描く。
“涙なくして見られない”という評判のとおり、作中にはハートフルなエピソードが満載。現在と過去を行ったり来たりするユニークな時系列のストーリー展開が絶妙で、“こう繋がっていたんだ!”と身震いする瞬間がドラマのあちこちに散りばめられている。
全18話の中で、人それぞれ、心に響き涙するシーンに出会えるはず。2018年最後の”泣き納め”にぴったりの一作。
『THIS IS US 36歳、これから』
Amazon Prime VIdeoにてシーズン1を配信中。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0765WX7T32019年4月よりNHK BSプレミアにてシーズン2を放送予定。
http://www4.nhk.or.jp/this-is-us/
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『オザークへようこそ』
“ドラッグビジネスとアメリカ”に切り込む
社会派ドラマ。アメリカのごく普通の家族が、麻薬カルテルの資金洗浄というドラッグビジネスに手を染めてしまったら……? 『オザークへようこそ』の舞台はミズーリ州の巨大な人口湖オザーク湖。デパートもクラブもおしゃれなレストランもない田舎を舞台に、どこにでもいるような地味な一家が、引き返すことができない組織ぐるみの犯罪に巻き込まれていく。
家族の命を守るために、オザークでメキシコの麻薬カルテルの資金洗浄する父・マーティ。事をつつがなく進めようとするも、ギャングやチンピラの妨害に遭い、なかなか一筋縄ではいかない。逃げ切れたと思えばすぐにまた別のトラブルが起きるなか、毎度マーティは思いつきで切り返し、ストーリーを予期せぬ方向へ導く。
ドラッグやギャングが絡むストーリーなのに重すぎないのは、主人公マーティとその家族が一般的な価値観をもつごく普通のファミリーだから。巨額なお金や死体など、平和な毎日からはかけ離れたものを多く見聞きするものの、マーティは常に真面目でギャング化もしない。代わりに彼の妻が変貌を遂げていく……という夫婦の独特のバランス感もユニークで見応えあり!
麻薬ビジネスがアメリカ経済に欠かせない一面があるというリスキーな脚本にもぜひ注目。作中、長男ジェスが「アメリカ経済はドラッグビジネスが支えているんだ」というセリフを言うなど、アメリカの現実と真正面から向き合う姿勢が印象的。ドラッグビジネスという特殊な業界を身近に、そしてリアルに描くセンセーショナルな世界感は一見の価値あり。
『オザークへようこそ』
Netflixオリジナルシリーズ
シーズン1・2を独占配信中。
https://www.netflix.com/title/80117552
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『NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち』
パワフルに生きるミレニアル世代の「SATC」!
新作は定期的にリリースされるけれど、なかなか大ヒットに恵まれない“ガールズドラマ”から、SATC&ゴシップガールに次ぐ注目作が登場! 友情、恋愛、キャリアを女性の視点で捉えつつ、SNSやフェミニズムといった現代のスパイスをプラス。NYを舞台に、人気ファッション誌「スカーレット」編集部で働く3人の20代ガールズの毎日を描く。
ファッション誌の編集部を題材にしたドラマはこれまでにもたくさんあったけれど、本作は3人のキャリアがバラバラなのがポイント。夢に向かってまっしぐらの敏腕SNSディレクターに、チャンスを狙う新米ライター、秘密のオフィス恋愛を楽しむファッション・アシスタント。この“仕事のフェーズが異なる“というのが面白いところで、互いに手をとりあい、本音を戦わせながら夢に向かっていく3人だけど、時に隣の芝生を青く感じることも。そんな“リアル感”満点の展開に世界中のガールから共感の嵐!
ストーリーに厚みを与えるのが、「スカーレット」の編集長・ジャクリーンの存在。この手のドラマの編集長って傲慢で威圧的なことが多いけれど、本作の編集長は厳しい中にも愛がある人徳者。若手が困ったときには必ず最高の助言を与えるし、「優秀なあなたならきっと乗り越えられる」なんて励ましを嫌味っぽくなくサラッと言っちゃうのだから、上司としては最高の存在!
人生は運とタイミング。そして命をかけられる夢があるかどうか。あなたにはそんな夢がある? お尻を叩いてくれる友達はいる? 困った時に助言をくれる上司はいる? このドラマを見れば、自分の無限の可能性を信じて突き進むパワーをもらえるはず!
『NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち』
Huluにてシーズン1を独占配信中。
https://www.happyon.jp/girlsdiary
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『グッド・プレイス』
ありそうでなかった“新感覚”天国コメディ。
死後の世界って想像したことある? 『グッド・プレイス』は、いいところ(天国)にいくか、悪いところ(地獄)にいくかは生前に獲得したポイントの合計によって決まるという死後の世界を舞台にしたコメディ。生前、いわゆる”性悪女“として自由きままに生きてきたエレノアは、同姓同名の誰かと間違われ、天国のような素晴らしい場所にたどり着く。このラッキーを失わないよう、生前倫理学者だったチディから道徳について教わり、周囲に自分の正体を隠そうとするのだが……。
主役のエレノアを演じるのは、『ヴェロニカ・マーズ』で主演し、今なおアメリカのティーンから20代女子に絶大な人気を誇るクリスティン・ベル。死後の世界の番人マイケル役は、CSIシリーズで長く主演を務めたテッド・ダンソンが演じ、ドラマ界のベテランである2人のテンポのよい掛け合いが、ドラマを軽快にしている。
死後、どちらの世界に行くことになるのかをジャッジする判事がいたり、地上と死後の世界のはざまに番人がいたり、ひたすらポイントを集計する経理のような係がいたり、死後の世界の詳細な設定も笑いのポイント。
シーズン3まで一貫して“死後の世界”を題材にしているのに、ストーリーに膨らみがあり、見ている間ずっとワクワクしていられるのもすごいこと! このドラマでの出来事がもし本当だったとしたら……と想像すると、年末年始を品行方正に過ごしたくなる!?
『グッド・プレイス』
Netflixオリジナルシリーズ
シーズン1~3を独占配信中。
https://www.netflix.com/title/80113701