女優、歌手、そして次世代のインフルエンサーとして活躍するゼンデイヤ。若い女性のロールモデルになりたいと語る彼女がミシェル・オバマを取材した。オバマ夫人が力を注ぐ、女の子のための教育プログラム「レット・ガールズ・ラーン(Let Girls Learn)」と教育問題にかける思いとは? ※こちらのインタビューは2016年に実施したものです。
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私がはじめてミシェル・オバマに会ったのは15歳の時に参加した、ホワイトハウスのイースターのイベント。すごく緊張していたけれど、彼女が私と母をハグした瞬間にその緊張が解れて、身長の話などをしながら盛り上がったのを覚えているわ。「身長が高い女の子って最高よね」とオバマ夫人が言って、その時に私は「私たちには最高にかっこいいファースト・レディがいる!」って思ったの。
去年オバマ夫人が「ディス・イズ・フォー・マイ・ガールズ」という曲に参加してくれないかと呼びかけてくれた時に私はすぐさま承諾した。この曲の収益はすべてオバマ大統領と夫人が立ち上げた、発展途上国の女の子のための教育プログラム「レット・ガールズ・ラーン(Let Girls Learn)」キャンペーンに寄付される。正直オバマ夫人のためならなんでもしたと思うけれど、私の両親はふたりとも教師だから、このキャンペーンは心の奥に響くものがあったの。
私の母はずっとカリフォルニアのオークランドにある学校で教師をして、子供たちが勉強を通して将来の可能性をひとつでも多く増やせられるように全力を注いでいた。それをずっと目にして、私の母は最強だと思っていた。勉強することの大切さも身にしみて理解した。もし私がこのエンターテインメントの世界に入っていなかったら、間違いなく教師になっていたわね!
アメリカで教育はとても大切と言われているけれど、それ以上に発展途上国の人々が教育を必要としていると思う。特に女の子たちは教育を受けなければ自らの人生や属してるコミュニティーを改善する事が難しいにも関わらず、受けようとすると暴力を振るわれる時もある。私が教育を好きな理由は、教育は永遠に刻まれるものだから。だからオバマ夫人が世界的な教育問題の改善に取り組んでいることがすごくうれしい。そして彼女が1月にホワイトハウスを去る前に「レット・ガールズ・ラーン」の事を話し合える機会を得たことがとてもうれしく、誇りに思っているわ。
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ゼンデイヤ(以下、Z):「レット・ガールズ・ラーン」を始めようと思ったきっかけを教えてください。
ミシェル・オバマ(以下 MO):教育の問題は私にとって個人的なものだったの。私は南シカゴで育ち、私の両親も含め、周りのほとんどが大学を出ていない労働者階級の人たちだった。私の親もその内のひとりだったけれど、私は努力をして、財政援助もいただき、プリンストン大学とハーバード・ロー・スクールで勉強する事ができた。その経験が私にやりたい事を追求する自信をくれたわ。数年前、マララ・ユスフザイに会う機会があった。彼女は教育を受けようとしただけで銃で頭を撃たれて殺されそうになった。ナイジェリアで300人近くの女の子たちが夜中に学寮から誘拐された話も聞いたわ。こういう事に巻き込まれている女の子たちは世界中の隅々にいて、6200万人以上の女の子が学校に通っていない現実がある。
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Z:女の子が教育を受けるにあたって、最も障害になっているものは何だと思いますか?
MO:女の子が教育を受けられない理由のひとつとしては、教育を受けられる条件が周りに揃っていないことね。例えば親が学費を払えなかったり、近くに学校がなくて安全な通学手段がなかったり。学校が近くにあったとしても女の子のためのトイレがなく、生理の時は学校を休んで結果的に授業についていけずに学校を辞めざるを得ないということも。でも、いちばん大きい理由はやっぱり考え方だと思うわ。家族やコミュニティーが女の子に教育を受けさせる価値があると考えるか否か。彼女たちが労働と生殖能力のためだけに価値があるのか、それとも彼女たちの能力にも価値があるのか。彼女たちを二流市民として見るのか、男性と同様にひとりの人間として見るのか。
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Z:学校は好きでしたか?
MO:私は学業に全力を注いでいたわ。朝の4時や5時に起きて勉強をしていたほど。それでも私のバックグラウンドをみて“大学に行く価値がない”と言う人もたくさんいたわ。
Z:誰を尊敬して育ちましたか?
MO:私の親ね。私の親は大学に通えなかったけど、私たちが大学に行けるために頑張って働いていた。父はポンプ作業員で、そんなに稼いでいる訳ではなかったけれど、学費を毎月期限までに必ず払っていた。多発性の硬化症のせいで朝着替えるのでさえも一苦労なのに、仕事を休む日はなかった。彼の最後までやりきる心と大きい愛に私はすごく影響を受けたわ。
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Z:女の子たちの教育のプロモーションのためにリベリアを含む、数々の国を訪問したと聞きましたが、どんな印象を受けましたか?
MO:私が会った女の子たちはみんなきちんとしていたわ。そのほとんどが家族の力になるように夜明け前に起きて仕事をしてから学校に向かい、授業中もたくさん吸収できるように集中していた。彼女たちはアメリカの女の子たちと同じように、エンジニア、起業家、教師や医者を夢みているの。
Z:夫人がホワイトハウスを去ったあとの「レット・ガールズ・ラーン」はどうなりますか?
MO:「レット・ガールズ・ラーン」プログラムで学ぶ女の子たちの中に自分と私の娘たちが見える。彼女たちと出会ったら、歩き去ることなんて絶対できない。私は生涯この問題に関わっていくつもりよ。