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左/ヤラ・シャヒディ 右/ローワン・ブランチャード
現代の女子は、信念を持っていて行動的。それを見事に体現しているのが、ヤラ・シャヒディとローワン・ブランチャード。ヤラは子役出身で、現在人気ドラマ『Black-ish』に出演中の16歳。ローワンはドラマ『ガール・ミーツ・ワールド』に出演している15歳で、国連ウィメン協会の会議でスピーチ経験のあるフェミニストでもある。共に女優、活動家、そしてBFFである2人が、互いについて、そして人種問題やフェミニズムについてトーク。そこから、いまを強く、自分らしく生きるテクを学ぼう!
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左/ヤラ・シャヒディ 右/ローワン・ブランチャード
お互いの印象は?
ヤラが語るローワン
ローワンに会ったのは14年の『Teen Vogue』のヤング・ハリウッド・パーティー。その時の印象は“天使”ね。見た目だけじゃなくて、真の美しさが内側から滲み出ているの。ステージで演説している時、『ガール・ミーツ・ワールド』でライリーを演じている時、どんな時でも彼女は人々に光や幸せを与えてる。彼女の仕事、心からの人道主義、アート、友情、全てが一切疑うことなく信頼できるもの。私が迷った時、新たな音楽や映画に挑戦したい時、そんな時に相談するひとりがローワンよ。
ローワンが語るヤラ
ヤラは(小説家の)ジェイムズ・ボールドウィンの言葉を好むような知的な女性。それに大好きなビヨンセについて、興奮のあまり意味不明なメールを深夜に送っても、会話してくれるユーモアさがある。女性や有色人種はひとつのイメージにまとめられがちだけど、競争社会のハリウッドで、ヤラとなかよくなって、女子の絆が大切であることを教わったわ。そして私は女性、女優、ティーンエイジャーとして成長した。大切な出来事や言葉を記した日記を読み返すと、ほとんどがヤラの発言なの。それに彼女は世界を良いものに変えようと考え、ティーンの女子でもそれが実行できることを証明してる。互いに刺激を与え、支え合える存在よ。
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ヤラ・シャヒディ
自分たちのこれまでについて
ローワン:こないだニューヨーク市内を歩いてたら、11歳の女の子が「フェミニズムについて声を上げてくれてありがとう」と言ってくれたの。その年でもフェミニズムという言葉が浸透していることを知って、気分が上がったわ。
ヤラ:私はある女の子に「あなたに影響されて、科学の特別授業を取ったの」って言われたのがとってもうれしかった。「あなたは私のお手本」って言ってくれる子もいるけど、TVや映画を観ると、私のような子役が10人ドラマに出ても、みんな最初のシーンで殺されたり、刑務所にいたり、親友同士みたいなどうでもいい役ばかり。私のような子が医師だったり、犯罪者だったり、成功したビジネスパーソンだったり、日々の暮らしに困っていたり、そんな重要な役を演じるのを見たいわ。
ローワン:映画『プリンセスと魔法のキス』は、初のアフリカン・アメリカンのディズニープリンセスが登場した特別な時だったよね。当時、白人の私のようなプリンセスすでには12人位いるのに「え!? アフリカン・アメリカンのプリンセスは初なの?」って驚いたのを覚えてる。それまで自分を投影するプリンセスがいないなんてこと考えたこともなかった。当たり前のように自分自身をディズニープリンセスとして見ていたから。でもある問題に直面して、当たり前のことが実は特別だった、とはじめて分かるのよね。
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ローワン・ブランチャード
ヤラ:私にとっての投影はいろいろあったな。特にマテル(米国で有名のおもちゃメーカー)やディズニーで子役モデルをしていたから、ディズニーストアに行って実際の“自分自身”を見てた。大掃除をしていた時、6歳の時に黒人のティンカーベルやシンデレラのモデルをしている切り抜きを見つけたんだけど、有名キャラクターの黒人バージョンは問題提起にもなったのよね。私は黒人で幸せだけど、それでも「どうしてこんなに区別されるの」って思う瞬間がある。黒人女性が着ると、実際のシンデレラと似ていないから、ディズニープリンセスではなく、ただのドレスを着た女性とみなされるんだもの。
ローワン:「自分が見えないものには、なれない」っていう名言があるでしょう。長い間、友達に「監督業をしたいと思わないの?」って聞かれて、「監督? まさか!」って答えてた。でも、それは監督といえば男性、っていう狭い世界を生きていたから。その時は誰もジョディ・フォスターやジア・コッポラ、ソフィア・コッポラについて教えてくれなかったの。エイヴァ・デュヴァーネイが『五次元世界のぼうけん』で、はじめてアフリカン・アメリカンの女性として100億円規模の映画監督をした時、彼女の発言は「(監督が出来るアフリカン・アメリカンの女性は)私がはじめてではないわ」ってものだった。私も、多くの女性監督がいると知った今は「もちろん、監督業をしたい」って答える。自分はできるって信じているの。
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ヤラ・シャヒディ
アクティビスト(活動家)であることについて
ローワン:歴史を理解しようとした時から、自ずとアクティビストになった感じ。過去があってこそ、今が作られるから。例えば、教科書ではローザ・パークスがバス内で人種差別に抗議し逮捕された事件を学ぶけど、歴史の本にはそれ以外にもたくさんのことがある。そういった知るべきこと、説明すべきこと、助けを必要とすることを行う、それが私の活動の意義。ある場所での存在も活動のひとつになる。例えば、大学寮で4人に1人の女性がレイプされる可能性がある今、大学に行くことはとても勇気のあること。だからすべての女性、すべての人種が自身をアクティビストと呼んでほしい。
ヤラ:私には、ただ(人種差別のテーマを取り入れたドラマ)『Black-ish』に出演するだけでなく、人種問題がもう避けられない問題であることに意味がある。おかげで自分の考えを発言できるようになったから。でも、ティーンになるまで人種問題はあまり口に出さなかった。なぜなら私は半分イラン系、半分黒人という混血で、それはまた違った問題だから。ステレオタイプ的発言もたくさん聞いたし、時に“白く塗りたくった黒人”なんて表現をされたこともあった。初めは驚いたし、どう受け止めていいかわからなかったわ。私の周りには成功した女性や有色人種の人がたくさんいる。でもいまだ世間の黒人のイメージと違うことをすると、“黒人じゃないみたい”って言われるの。変よね。
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ローワン・ブランチャード
ローワン:(活動家の)デレー・マッケッソンが「生まれた時から、目覚めているわけでなはい」と語ったように、(活動することは)学ぶプロセスでもある。最初はフェミニズムについても、女性と男性が平等であるべきというざっくりした思いだった。けど様々な出来事があって、自分や友達よりも、他の女性たちの平等のために行動しようって思えたの。信念を持ったなら、常に自分に問わなきゃダメ。客観的に見ている? この発言は外国人嫌いに聞こえない?ってね。私がいちばん怖いのは、“ローワンはフェミニズムのクイーン!”って言われること。できる限りフェミニズムについて自覚しているし、自分の立場も常に考えてるけど、答えはノーよ。それに時にフェミニズム問題がアメリカにばかり集中するのも心配。例えば世間がシリアの避難民でなく、テイラー・スウィフトとカニエ・ウェストの騒動に注目しちゃうようにね。
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将来について
ローワン:女性大統領が登場して、女性たちがもっとパワーを感じることを願うわ。
ヤラ:2035年を期待していて。私が公式的に大統領として立候補できる年だから!