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フェミニズムについて考えてみる~その歴史をわかりやすく紐解くと~

ガールのフェミニズム考
LIFESTYLE/CULTURE
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VOGUE GIRLと考えるフェミニズム。今、世界のイットガールが巻き起こしているフェミニズムのうねりは第四波とも言われているけれど、フェミニズムのはじまりは19世紀にさかのぼる。今に至るまで、先人たちはどんな活動をしてきたか、アギーさんと一緒に振り返ってみよう!

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そもそも私がフェミニズムに興味をもったきっかけは、2013年にポートランドとサンフランシスコを旅行した時に、大好きなアーティストのミランダ・ジュライやライオットガールやジンのルーツについて調べていたら、どうやら彼女たちとフェミニズムが切っても切り離せない関係であるらしいと知ったこと。それまでは「フェミニズム」という言葉に、むわんとした女くささや厄介さみたいなものを感じて(これは後でいろいろバイアスがかかっていたな、ということを知るのだけれど)、自分はそういうのとは無縁でいたいと思っていた。だけれども、ミランダ・ジュライはクール! ライオットガールはクール! バックグラウンドも知らずそんな風に彼女たちのことをただクールだともちあげるのは、自分が彼女たちのファッション的な部分しか見られていないのだということに気がついた。そして、それならばと思い切って「フェミニズムってなんだろう?」と考えるジンを作ることにしたのだった。

制作中のノートをぱらぱらとめくってみると、当初のわたしがフェミニズムについてどれほど無知で、頭の中がいかに「?」だらけだったかということがよくわかる。まず、いまなら笑ってしまうんだけど「フェミニスト=全員レズビアン?」という走り書きがあった。「フェミニストは男嫌い?」「フェミニストはいつも怒っている?」いまなら言える、答えは全部NOだよ!! ボーイフレンドや旦那さんがいるフェミニストは大勢いる。男性のフェミニストもいれば、フェミニストと呼ばれたくない女性もいる。なぜならそれは性別の違いではなくて、個人の認識の違いによるものだから。男女でものごとを区別するなんて、生物的・身体的な性質をのぞけば、もはやナンセンスな時代になってきている。私がいま考えるフェミニズムというのは、だれだって性別の枠組みに制限されることなく好きに生きたいってこと、そしてその気持ちを尊重すること。シンプルにいえばただそれだけなんだと思う。せんそうはんたい、とおなじぐらい自明のことだ。

フェミニズムの歴史とライオットガールの誕生

それではここに、アメリカのフェミニズムの歴史について、わたしが理解したことをかんたんにまとめてみようと思う。起源は19世紀にさかのぼり、これまでの間に、三つの重要な波があるという。なぜ日本でなくアメリカなのかというと、興味をもったきっかけがアメリカのアーティストたちだったので理解しやすかったということがある。注意すべきは、フェミニズムの思想はずいぶんと細分化されていて、シンプルにひとまとめにすることはできないということ。なので以下はいちばんベーシックな知識、ぐらいに思ってもらえたら幸いです。

「あたしたちにだって権利あるわ」
①第一波フェミニズム 1848−1920s

19世紀にアメリカやイギリスで起こった男女平等の市民権をもとめる運動で、「女の独立宣言」とも言われる。それまで政治は男性のするものだとされていて、女性の考えは重視されていなかった。1848年、ニューヨーク州郊外のセネカ・フォールズにて、奴隷制度の廃止とともにはじめて女性の権利を訴える会が開かれる。憲法が改正され、1920年(72年もかかってる!)に女性が参政権を勝ち取ったことでいったん活動は収束するも、ひとびとの女性や女性の役割に対する固定観念はまだ残った。*ちなみに日本で女性が参政権を獲得したのは終戦後の1945年。男性が参政権を手にしてから20年後のことである。

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「なめんじゃないよ!」
②第二波フェミニズム 1950s~

1950年代後半からアメリカで起こり、70年代前半に最盛期を迎える。政治的な平等性を追求した第一派に対し、こちらは性別によって決めつけられる社会的・家庭的な役割や、長い髪にかわいい笑顔といったイメージとしての女性らしさに抵抗をあらわしたもの。ただ、この時代のフェミニストたちの提唱するあたらしい女性像というのは「すべての女性は主婦にならずに働くべき」というように、それはそれで柔軟性に欠け、自由のないものだった。これにより世の中にフェミニズムを嫌悪する空気(=バックラッシュ)が生まれ、1989年には「フェミニズムは死んだ」と言われる。

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「女らしさ? はあ? なにそれ」
③第三波フェミニズム 1990s~

80年代の終わり頃の「フェミニズムは死んだ」「時代遅れ」「いまの女の子たちは無関心」といった世間の感覚は、じっさいはまだぜんぜんそうではないと感じている女の子たちに大きな違和感をあたえていた。女だからとおしきせの価値観を押しつけられたり、女性を狙った事件はあとを絶たず、夜道だって気をつけて歩かなければならない。そして皮肉なことに、自分たちのフィルターを通した「女らしさ」を押し付けてくるという点では、第二波フェミニスト(彼女たちの母親世代)たちも厄介だった。女の子たちはほんとうの自分らしくいたいだ・け! この第三波は、男女間の平等性はもちろん、人種や体型や肌の色、生まれ育ちや性的指向に関係なく女の子たちのあらゆる個性を受け入れようとするもので、ライオットガールが誕生したのもこの時である。*第二波と第三波はひとつづきであり、区別しないとする考えもある。

レボリューション・ガール・スタイル・ナウ!!! 

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90年代のはじめに北米のワシントン州オリンピアに現れた、怒れるうなり声(ガルルル……!)の意味をもつライオットガール(RIOT GRRRL)たちは、パンクバンド活動やジン作り、集会などを通して、女性だというだけで社会的に軽視されていると感じていたアメリカ中の女の子たちに「おとなしくいい子でいる必要はない。立ち上がって反撃しよう」と呼びかけた。代表的なバンドにビキニ・キル、ブラットモービル、ヘヴン・トゥ・ベッツィーなどがある。彼女たちはシーンの中心にいるのが男性のバンドばかりだと気がつき、女の子たちのためのパンクロックをやろうと奮闘する。エネルギッシュな彼女たちにインスパイアされた少女たちがこんどはそれぞれの住む町でバンドやジンなどをはじめ、そのようにしてこの運動はアメリカ全土に広がっていった。ビキニ・キルのキャスリーン・ハナは「フェミニストであることをすごくクールなものにしたかった」と語っていたそうだが、それは大成功したのではないかと思う(彼女の活動を追ったドキュメンタリー映画『THE PUNK SINGER』(2013)は、ものすごくかっこいいのでどうにかしてぜひ観てみてほしい)。ライオットガール・ムーヴメントは1994年に収束したとされているけれど、彼女たちのパンクスピリットは、いまなお強く共感されるものである。 そしてフェミニストであることをクールなものにしたのがキャスリーン・ハナであるなら、そのスピリットを地続きで受け継ぎながら、フェミニズムが私たちにとってイメージよりもずっと親しみやすく普遍的なものだと気づかせてくれたのが、これまでこちらで紹介してきたような若いパワーガールズたちではないだろうか。メディアで発言力のある彼女たちが勇気を持って(イエス、勇気はいつだってつきものだ)自分の想いを語ることで、実際フェミニズムはここ数年でポップカルチャーの領域にもどんどん登場して敷居を下げ、世界中でよりいっそうの注目を増している。第四波フェミニズムが来ているのでは、と感じるのはそれゆえなのだ。

■参考文献・ウェブサイト
・『riot grrrlというムーブメント-「自分らしさ」のポリティックス』大垣有香/遊動社/2005
・『ガール・ジン「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア』アリスン・ピープマイヤー/野中モモ訳/太田出版/2011
・(e)merging. http://www.macska.org/emerging/01-whatis.html
TEXT : aggiiiiiii

■PROFILE/ aggiiiiiii(アギー) 兵庫県生まれ、東京在住。2007年よりオルタナティブカルチャージン『KAZAK』を発行。ガールズカルチャーを追いかけ続け、2013年にはソフィア・コッポラ監督『ブリングリング』のオフィシャルファンジンも手がけた。http://www.kazakmagazine.blogspot.jp

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