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コナー・アイヴズ2022-23年秋冬コレクション。PHOTO : GO RUNWAY
いまだリバイバル熱が冷めない、90年代バイブたっぷりのカレッジTシャツ。2022年の秋冬ランウェイでは「ジバンシイ」から「オフホワイト」といったブランドが、台形、クロップド丈といった形や文字の刺しゅうが施されたデザインを提案するように、さまざまな形になってカムバック。「ジバンシイ」では“Givenchy”の文字とスターのモチーフが刺しゅうされたラグジュアリーなカレッジTシャツが話題に。
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ジバンシィ2022-23年秋冬コレクション。PHOTO : GO RUNWAY
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オフホワイト2022-23年秋冬コレクション。PHOTO : GO RUNWAY
2月にパリFWで行われた、「オフホワイト」の2022年の秋冬ランウェイは、ヴァージル・アブローが2021年11月に亡くなる前に手掛けたオートクチュール。スケートボーダー、花嫁といった既存のスタイル&シルエットを再解釈した斬新ルックが登場。特にシンディ・クロフォードが着用したカレッジTシャツにスーツジャケット、そしてゴージャスなチュールスカートのルックには、多くのファッショニスタが魅せられた。
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コナー・アイヴスのTシャツを着用したカイリー・ジェンナー。PHOTO : GETTY IMAGES
ニューヨーク育ちでロンドンを拠点に活躍するコナー・アイヴズはスタッフとワッツアップでチャットを重ね、セカンドショップで見つけたユーモアで奇抜なTシャツを活用。「多くのものは実はアメリカから来てるんだ。僕の友人が通ってた、バーモント州にある3000人規模の小さなリベラル・アーツ・カレッジで見つけたものもある」とアイヴズ。
そんなユニークなTシャツを組み合わせたパッチワークのTシャツは、リアーナやカイリー・ジェンナー、ハイム姉妹といったファッショニスタたちをも虜にするほど人気に。そして注目デザイナーになったアイヴズがデザインに興味を持ち始めたのは、10代のころによく見ていた父親の洋服がきっかけ。「両親はすごく質のよいものを着ていた。それは僕のキャリアに大きな影響を及ぼしている」と語る彼は、「父は大学時代から愛着していた素晴らしいTシャツのコレクションを持っていたんだ」とも。だからこそ2022年の秋冬ランウェイでは、アップサイクルのカレッジTシャツを使い、フリルを着けたり、半分にした2着を掛け合わせたり、クロップド丈にしたり、逆さまにしてミニスカートにしたり、さまざまなスタイルにアップデート。本人もは「カシミアもラブリーだけど、何度か着たTシャツに勝るファブリックはない」と太鼓判。
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コナー・アイヴズ2022-23年秋冬コレクション。PHOTO : GO RUNWAY
そんなアイヴズの意見に頷くのは、英『Vogue』のコマースライター、ヘンリク・リシュケ。観光ショップで見つけたキッズ用のカレッジTシャツのコレクションを持つ彼は「メッツや野球の大ファンという訳ではないけど、ニューヨークに行ったときにチームのロゴTシャツを買ったんだ。洋服を整理するたびに、これらのお土産Tシャツは絶対に残る。なぜなら時間が経つごとによくなっていくから」とヴィンテージ風のTシャツに夢中。
韓国やベトナムで生まれ、ニューヨークを拠点に活躍する3人のデザイナーが2018年に立ち上げたブランド「コミッション(Commission)」は、両親から受け継いだファッションのようなレトロさと、海外生まれの経験が生かされたアメリカンスタイルが魅力。2022年の秋冬ランウェイでは、ウエスタンシャツ、カウボーイブーツ、「ラングラー」のベルトループ、作業用パンツといったアメリカの象徴ファッションと日常的なシルエットをドッキング。リサーチ段階では、ニューヨーク、カリフォルニア、オクラホマなどに住む、仲よしのアジア系アメリカ人に異文化の経験を聞き回ったそう。
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コミッション2022-23年秋冬コレクション。PHOTO : GO RUNWAY
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コミッション2022-23年秋冬コレクション。PHOTO : GO RUNWAY
彼らによれば、「2022年の秋冬は、アメリカンカルチャーのベースをまさにマッシュアップした感じ。スポーツウェア、デニム、モーターサイクルによるクロスカントリーといった古き良きアメリカに、アイビーリーグ、ゴシック、原宿系のテイストを入れ少し刺激的にした」とのこと。「アメリカで活動する外国人から見た、クラシックなアメリカというのを表現するのはとっても楽しいチャレンジさ」と語るように、アメリカのアイコンともいえる星を脱構築して取り入れた、ニューヨークやカリフォルニアの“観光客”Tシャツも登場している。
この秋冬は、さまざまなスタイルへと進化したカレッジTシャツから目を離さないで。
出典:VOGUE UK
TEXT : LAURA HAWKINS TRANSLATION : MARIKO PEELING