ステイホームな時間が長いときこそ、映画の世界にどっぷり浸かりながら、魅力的なヒロイン達から自分らしい生き方のヒントを見つけよう! フレンチシネマのヒロインをテーマにした最新のGIRL OF THE MONTHに登場した女優・川口春奈と、同企画のビューティを担当したヘアメイクアップアーティスト・河北雄介を迎えて、憧れの女性像やパリジェンヌにも通じる大人の色気、自分に素直に生きることの大切さなどを伺いました。
※2020年12月に撮影・取材。
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■心惹かれるのは、いつだって「嘘のない人」。
今回はフレンチ映画に出てきそうな、気ままなヒロインという設定のファッション撮影でした。川口さんご自身は、「フレンチ映画のヒロイン」と聞いて、思い浮かぶ方はいますか?
川口春奈(以下、春):うーん、実はフランス映画にそこまで馴染みがないんです。でも、ジェーン・バーキンとかブリジット・バルドーなどフレンチ女優といえば魅力的な方が多いですよね。フランス人映画監督が手がけたという意味でリュック・ベンソンの『レオン』(1994年)は大好きな作品です。ナタリー・ポートマンが昔から好きで、彼女の作品の中でも真っ先に上がるのが『レオン』です。当時12-13歳だったの頃のナタリー演じるマチルダの、あの凜とした強さや媚びない雰囲気。ファッションも好きだし、パツンとカットされたボブヘアもとにかく可愛いですよね! あの作品を初めて観たときは衝撃的でした。お気楽なラブコメも大好きですが、どちらかというとマチルダのように言葉少なめで、ジトーっとした媚びない女の子の方が、ハッピー全開な子よりも私は好みかもしれないですね。
河:バスルームのシーンもあるし、今回のVOGUE GIRLの撮影とシンクロするところもありますね。
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では、同性から見て「いい女」と思える人の条件とは?
春:とにかく「嘘がない人」。私自身、はっきりと物事を言うし、嘘を上手につけないタイプです。だからなのか、相手の噓にも敏感かもしれません。よく言えば正直でまっすぐ。悪く言えば、不器用。「バカだな~」と、自分でも自分の性格が面倒くさいって思うくらい。取り繕えば、誰からも好かれることはできるのでしょうが、どうしてもペコペコできない性格…でも根はいい人。そういう「嘘がない人」が男女問わず、魅力的だと思います。
河:忖度とかせずに、まっすぐ話をしてくれる人、ぶつかってきてくれるような人だよね? そう言う人間が、彼女の周りには多い気がします。
春:正直さの先に、「愛情」がしっかりある人が好きなのかもしれません。そういえば、子どもながらに色々と思っていましたね(笑)。生意気な子どもだったと思う。仕事を始めたのが中学生の頃は大人に囲まれていて、「私のことを大切に思ってくれている人なのか、そうではないのか」で、まわりの人を見てきたから、センサーが染み付いているみたいです。大人になってからの人付き合いにおいても、友だちとして深い関係を築ける相手は、自然とそういう嘘がない人しか残らないですね。
河:はーちゃんは、めちゃくちゃ人見知りだし、こんな性格だから打ち解けるまでにすごく時間がかかるんです。「そんなに張るか?」ってくらい、がっちりバリアするのですけど、僕はそういうところも見ていて可愛いなと思います(笑)。「お、また人見知りしてる」って! 相手にきちんと愛情や誠意が見られると、ゆっくり心を開いてくれるんです。誰もがそうかもしれませんが、彼女の場合は特に。
春:そうなんです、自分で言葉にするのは難しいのですが! こんなことだから、面倒くさい人間だと思われるんです(笑)。
河:だから、こうやって僕と川口はいつもペアとして、支え合ってます(笑)。
では、友情関係においても、じっくり時間をかけて信頼を育むスタイルですか?
春:はい。プライベートでもそのぶん、友達は本当に少ないんです。2人くらいしかいませんし、そもそもたくさんはいらないと思っています。無理してつくる必要はないと思って、何でも話せる相手がひとりでもいれば十分ですね。
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衣装:トップス¥117,000(予定価格) /MIU MIU(ミュウミュウ クライアントサービス tel: 0120-45-1993) ペンダント アンティークチャーム¥29,000 チェーン ¥16,800(アトリエ ニノン tel:03-6721-1689)
■完璧を取り繕わない。自分の心地よさを知ってこそ、色気のあるオンナ。
フレンチ女のような「大人の色っぽさ」はどんな人に感じますか?
春:外面・内面、どちらにも言えることですが、ガチガチに完璧でいるよりは抜けているところがある人に、大人の余裕やそこから醸し出される色気を感じますね。メイクひとつとっても、キレイに整え過ぎているよりは飾っていない部分が垣間見えるくらいが素敵だと思います。
河:色気がある人って、自分の時間で心地よくメイクする人なんじゃないかな。犬の散歩行くときにササッとメイクしちゃうような感覚について、彼女は言っているんだと思うんです。「自分の心地良さ」に合わせてメイクすることが色っぽいってことなのかも。アムちゃんとお散歩に行くときはどれくらいメイクする?
春:ヘアメイクが得意でないこともあって、プライベートでは基本ノーメイクです。ニキビや肌荒れが起こっても、そこまで気にしないですね。「絶対にすっぴんは晒さない」という人ももちろん中にはいてよいのですが、個人的には取り繕ってない素顔を「私にだけに見せてくれた」「俺にだけ見せてくれた」みたいな瞬間って、ドキッとすると思うんです。なんというか、メリハリも大事ですけれど、自分をさらけ出せるのって、素敵ですよね。メイクをほとんどしないのも、ベースにそういう気持ちがあるからかもしれません。テキトーというか、雑な部分があるのもチャーミングだなって思います。
インスタグラムでは「ニキビができた」「クマが消えない」という、飾らないリアルな投稿に親近感が湧きます。
春:投稿するネタがないんです(笑)。
河:やめなさい!(笑)
春:ネタがないというのは半分冗談ですが、みんなに「生きているよ」っていうのをお知らせするのに、久しぶりの投稿で「私きれいでしょー?」みたいな写真を載せるのは嫌なので…。とはいえ、別にクマを見せたいというわけではなくて。でも本当にクマもひどいし肌荒れだってするし、そのときのその瞬間を、ノーフィルターで伝えよう!みたいな気持ち。ただただそれだけです。
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普段のヘアメイクはミニマルとのことですが、最低限やっていること、こだわっていることは?
春:なんだろう…ヘアアイロンとかコテも使えないんです。
河:めっちゃヘタクソなんですよ(笑)。自分では全然できないのですが、メイクのことはすごく深く理解しているんです。撮影するたびに「これをここにこうしたい!」という提案をくれたり。ふたりの中でもアイディアを出し合うセッションがあるのが刺激的なんですよね。やはり物事を俯瞰でしっかり見れていて、いろんな経験に基づいたセンスがある。だから、年齢は20歳も違うのに対等のような感覚です。
春:メイクが得意ではなくても、スキンケアには気をつかっています。「何これ?」「これのどこのがいいの?」と、撮影現場のメイクさんから情報収集しますね。常にアンテナを貼ってはいますが、自分の中での決まりとかルーティンはつくらず気分でコンディションに合うものを使っています。気まぐれで、気分屋なんです。頑張る時期と、何もしたくない時期の波があるから、その波が顔に出ることもあります(笑)。
河:でも、顔の保湿だけはちゃんとやってくれているので、今日も状態がすごくいいです。内から発光している感じ。
春:体質的に乾燥肌なんですよ。あと面倒くさがりだし、お風呂上がってからボディクリームを塗るのも嫌いなんです。パジャマ着るのにベチョベチョになるのが嫌で、「なんでお風呂入ったのにベトベトにするの!?」って思ってしまうんです(笑)。ただ顔は別で、デロデロになるまで保湿して労ってます。仕事柄、毎日メイクをしていただくのに化粧がのらないのは、よくないので。顔がつっぱる感じのパサパサはダメなんですよね。
寒い冬、バスタイムについてはどのように楽しんでいますか?
春:実は、お風呂にゆっくり浸かるのが苦手なんですよ(笑)。でも、苦手なりに工夫をしています。身体のためと思って毎日湯船に浸かっているんですけど、その時間を少しでも心地よくしようと、香りのよい入浴剤やキャンドルを揃えるように。お風呂が面倒くさいことに変わりはないんですけど、冷え性が治ったり、眠りやすくなったり、身体に変化が感じられるようになって、今では、悪くないなって思えるように。キャンドルの炎を見ながら、ゆっくりお風呂に入ると、「いいじゃん! 落ち着くー」と、ハマりつつありますね。
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■新しい可能性を広げるのは、柔軟なチャレンジ精神。
大人気のYouTube「はーちゃんねる」について。基本的に川口さん企画出しや運営をしているのですか?
春:そうです。まわりのスタッフさんも「これどう?」と相談すれば意見を言ってくれるんですけど、基本的には自分のやりたいことや興味があることをメインに進めていますね。幸運にも、ちょうどやってみたいと思っていたタイミングにチャンネル開設のお話をいただけて。テレビや雑誌ではどうしてもカッコいいところやきれいなところが切り取られるので、そうではない素の自分を出せる場になったらと考えています。観てくれる人たちに「意外とこうなんだよ!」「こんなところがみんなと一緒なんだよ!」と感じてもらいたいですし、もっと近づけたらと思っています。
2020は映画にドラマに大河に「はーちゃんねる」…と、ご活躍がめまぐるしいですが、走りきった末に見えてきたものはありますか?
春:今までの人生の中で、仕事の面だけで言えば一番しんどかったです。
河:すごい過密スケジュールだったもんね。
春:気持ち的にもですね。私は元々、すごくビビリでネガティブな性格。自分ひとりで戦っていると、思いつめてしまうこともあって。実際は色々な方に支えられているのでそうではなのですが。イレギュラーなことが多いなか、プレッシャーや孤独を感じた反面、得られるものや、うれしい出会いもあって、結局トントンというか、むしろ良かったことの方が上回っていたから結果オーライでした! 初めて自分を褒めてあげようと思う場面が何回かありました。きっと今年だけかもしれませんが(笑)、たまには素直に自分を褒めたり、認めることも大切だなと、感じられるようになりましたね。たくさん挑戦の機会をもらえたという意味で、感謝の気持ちをたくさん感じた一年でもあります。YouTubeもそうですが、お芝居以外でモデルの仕事をしてみたり、初めて挑むことを通して見たことのない景色や感じたことのない想い、自分でも見たことのない自身の顔に気づくことが多かったです。
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新しいことを軽やかにトライできる、その柔軟さの秘訣は?
春:いつも公私ともに支えてくれる人たちの存在が大きいと思います。私よりも私のことを客観的に見てくれている人たちですね。悩むようなことがあれば、まわりの大切な人たちに「どう思う?」と聞いて、背中を押してもらったりもします。小さな例えですが、昔はおでこを出したくなくて…。でも「おでこ出してもキレイなんだよ」と、ヘアメイクさんたちが教えてくれると、安心して挑戦できますね。
河:前は絶対イヤだって言っていたことを、今は一回やってみて、それを感じてから、フィードバックしてくれるんです。やってもいないのに、「これは私じゃないから!」って言っている人に新しいものは絶対に生まれないじゃないですか。YouTubeを観ていると分かるけど、はーちゃんって何でもトライしているでしょ? すごいなって思います。チャレンジする女性って僕はすごく色っぽいと思っているんですけど、彼女はそれを地でやっている。「何でもやってやるぞ! 相手に面白おかしく映ってもいいや!」って、さらけ出しているところもカッコいいと思いますね。豪快で気前がいいんだけど、そのくせ人見知りだからややこしいんです(笑)。どっち?みたいな!
春:何度も言いますが、私、面倒くさいタイプなんです!(笑)