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いつだって自然体、独自のニュアンスある美しさで世界中の女性から支持されるパリジェンヌ。そのパリジェンヌらしさはどうやってつくられるの? 知られざるその秘密について、生粋のパリジェンヌにして世界を飛び回るビューティジェットセッター、「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」のヴィクトワール・ドゥ・タイヤックに教えてもらうスペシャル連載。第5回目はヴィクトワール・ドゥ・タイヤックの愛娘がVOGUE GIRLに初登場! 三兄弟の長女、シェラザールとママンのスペシャルインタビューが実現した。
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“娘には自分らしい
スタンダードをみつけてほしい”ーヴィクトワール
ヴィクトワールの長女、シェラザールは14歳のリセエンヌ。パリで生まれ、世界を舞台に仕事をするクリエイターカップルの両親と一緒に、これまでモロッコ、NY、東京と移り住んできたインターナショナルガールだ。東京での生活を終え、9月の新学期からはパリに戻り新たな生活をスタートする。
「子供たちに望むのは、いつもハッピーで健康でいること。そして自分の好きなことを見つけてほしい。パーフェクトな人間を目指すのではなく、自分らしいスタンダードを見つけてもらいたいわ」とヴィクトワールは語る。「私はパーフェクトよ」と微笑むシェラザールは、ファッションもビューティも自分で選択しているそうだ。世界を舞台にクリエイティブな仕事をする両親の様子を間近で見ているからか、14歳にして本物の存在を知り自分らしい選択をはじめている。
「こういう女性になってほしいと娘に押しつけることはしない。シェラザールはメイクが好きだけれど、それも彼女が自主的に興味を持ってはじめたこと。メイクのチュートリアル動画を撮っていたり、自分でルージュを作ったり。私も夫もクリエイティブな仕事をしているから、娘もほかの同級生よりも早くからファッションやビューティには興味を持っていたと思う。先日も友人に、あなたはいつもいい匂いがするって言われたそうなの」とヴィクトワールがシェラザールのほうを向く。
「私はその友人に、当たり前よって答えたの。だって私のパパとママは香水のクリエイターなんだからって。香水は3年前からつけていて、ビュリーのものだとチュベローズが好き。それに寝る前には毎晩、ビュリーのユイル・ヴェジタル(植物オイル)の二ジェル(ブラッククミンシードオイル)をつけてるの。メイクを落とすのはクレンジングミルク。ママンは美容のスペシャリストだから美容のことはもちろんママンに聞いてるわ」と大人びた顔を見せる。
「ファッションしてもビューティにしても、ティーンの頃は手に入りやすい手頃な値段のものを楽しむことも選択肢のひとつだと思う。でも、娘には本物の大切さも伝えたいから、ビュリーの製品にしても素材にこだわって作っていること、質の違いについては娘にも話しているの」とヴィクトワールが話すと、シェラザールが「私も質のいいものを知ることの大切さは理解しているわ」と頷いた。
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“東京という街は
自分らしさを理解できた場所”ーシェラザール
世界を子供たちと一緒に旅してきた経験について、ヴィクトワールはどう感じているのだろうか。「今の世の中には多様なライフスタイルがあるし、情報化社会のおかげで様々な情報を手軽に手に入れることができる。だからこそ、世界にある選択肢のなかから自分で選択して、娘にも彼女なりの人生を送ってもらいたいと思っているわ」
自分なりの考えを持って、すっかり自立しているように見えるシェラザールだが、その点について尋ねると意外な答えが返ってきた。「確かに私は自立していると言えるけど、内面ではとても子供っぽい部分もある。今は東京の友達と離れるのが寂しいけど、パリに戻って親友と会えるのも楽しみという複雑な気持ち。東京では異文化にいるからこそ、自分をもっとよく理解できたかなと思ってるわ」と語る。クールに受け答えをしながらも、ピンクの部屋に住み、漫画もハローキティも好きな14歳だ。
パリに戻った次の日には、すでにベストフレンドとの朝食の約束もしているというシェラザール。「やっぱり私はパリが大好き。友達にも会えるし、学校も楽しみよ」と目を輝かせる。「両親が仕事で忙しいから、夏休みの計画も今年の頭に前もって立てたの。パリに戻ったら、そのあとは南仏の祖母の家で過ごして、8月にはスペインの親友の別荘に行く予定よ」
最近好きな音楽について尋ねると「フランスのヒップホップ」が好きと即答したシェラザール。将来はミュージックビデオのディレクターになるのが目下の夢で、iPhoneにも撮りためた動画がたくさんおさまっている。
決して理想の女性像を押しつけるのではなく、無限の可能性から選択する力をつけられるよう愛娘に接していたヴィクトワール。どんな環境にあっても、順応して、自分の意思を大切にしているシェラザール。自分らしく選択していくフランス人の自立心はティーンの頃から自分で身につけていくもののようだ。