いつだって自然体、独自のニュアンスある美しさで世界中の女性から支持されるパリジェンヌ。そのパリジェンヌらしさはどうやってつくられるの? 知られざるその秘密について、生粋のパリジェンヌにして世界を飛び回るビューティジェットセッター、「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」のヴィクトワール・ドゥ・タイヤック(VICTOIR DE TAILLAC)が答えます。第2回目は「運命の香りの見つけかた」について。
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フランス人にとって
インマテリアルな香水とは、
自分を表すスタイル。フランス人にとって香水とはファションと同じくらい欠かせないもの。自分のスタイルや個性を表現するもの。「一般的なフランス人は15歳ぐらいになると、女性になった証として、美しいボトルの香水を祖母や母から”いつかあなたに合う素敵な香水をみつけなさい”というメッセージとともに贈られ、自分の香りを見つけるまではその香水を使うという文化があるの。ひと昔前までは、一生同じ香りを使い続けるという考え方もあって、私の祖母も母もずっとひとつの香水を愛用し続けていて、なぜかふたりともクラシックにゲランの香水一筋だったわ。私は遊び心がある使い方のほうが好き。季節や、つける時間帯によって変えてもいいし、ときには2種類の香水をレイヤードして自分の香りにしてもいいと思うの」
ヴィクトワールはこれまでにどんな香水と出合い、使ってきたのだろうか?「香水って本当におもしろいもので、香水と一緒に人生の思い出や記憶が思い起こされる。私が15歳のときにはじめてもらったのはニナリッチのレールデュタンというクラシックな香水で、美しいクリスタルのボトルが気に入って、大事に部屋に飾って使っていたわ。20歳の頃は当時トレンドだったボディーショップのムスクを使っていて、その後キールズのムスクに変えたの。キールズのムスクは当時NYでしか買えなくて、こういう限定ものにも弱かったわ。その後、当時付き合っていたラムダン(現在の夫)がフレデリック・マルのアン・パッサンをプレゼントしてくれて、しばらく好きで使っていたけれど、このほかにもブルガリのオ・パフメ オーテヴェールにもはまったわ」
香水はフランスではよく贈り物として使われる。「私が10代の頃、ティエリー ミュグレーのエンジェルという香水をプレゼントされたときがあって、その時はとても怒ったわ。ちっとも私っぽくないじゃないって。香水を人に贈るときは『彼女はこれが似合うだろうな、こんな人だろうな』と思ってプレゼントすると思うから、全然自分っぽくないものをもらうとがっかりするの。妊娠してからは、鼻が敏感になって匂いを強く感じるようになるので香水はつけなくなったけど、朝、気持ちをリフレッシュさせるためにコムデギャルソンのオーデコロンを使う時もあったわ。今はビュリーの香水から、ミエル・ダングルテールとチュベローズ・ドゥ・メキシクを愛用している。私はほかのフランス人と比べると、あまり香水を好んでつけるほうではないけれど、友人のなかにはコレクターのように香水をたくさん集めて使い分けている人もいるわ」
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ビュリーの香水は、エタノールやアルコールを使わない、肌にやさしい世界初の水性香水。<上>フェミニン派におすすめ。チュベローズにスパイシーなクローブとバニラの香り。「チュベローズ・ドゥ・メキシク」75ml ¥16,000 <下>マニッシュ派におすすめ。サンダルウッド、ゼラニウム、カルダモンのエキゾチックな香り。「アル・カシール」75ml ¥16,000/ともにOFFICINE UNIVERSELLE BULY
ビュリーで出合った香水にまつわるストーリー
ビュリーはスタッフが店頭に立ってお客さんとコミュニケーションをとりながら商品をおすすめするスタイル。ヴィクトワールもそんなコミュニケーション方法を気に入っていて、実際に店頭で接客した体験から香水にまつわるエピソードを披露してくれた。「私がビュリーの店頭に立っている時に楽しみなのは、香水を買うお客様と話をすること。そこにはパーソナルなストーリーが隠れていて、本当に香水はその人のスタイルを表すなぁと思うから。選ぶことももちろん、どのように使うかも自分次第でクリエイティブに。自分が思いもしない使い方をお店にやってきたお客様から学ぶこともあるのよ」
フランス東部から来た、ローズの香水を愛用している女性:「『毎日寝る前にシャワーを浴びて、香水をつけて寝るの』と語った彼女。私はマリリン・モンロー以外に香水をまとって寝ると言った人にはじめて会ったわ。彼女にとっては儀式のように毎晩欠かせない習慣なのね」
ハンサムな若いイタリア人男性:「白シャツにデニムというシンプルな装いで、長い時間をかけて香水を吟味して、最終的に『マカサー』(地中海を彷彿させるスパイシーで強い香り)を選んだの。彼は、自分は若くて装いがカジュアルなので、僕の人となりを語り、洗練された雰囲気を演出してくれるような強い香水を選びたかったんだと言ったの。彼は香りで自身のスタイルをアップデートしたかったのね」
スタイリッシュなファッション業界の女性:「『ミエル・ダングルテール』を選んだ彼女に使い方を聞いてみると、朝起きて、まず窓を開けて、今まで彼女が寝ていたベッドにこの香水をかけて出かけ、夜に帰宅したとき香りに包まれたベッドで休むのを楽しみにしていると話してくれたわ」
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自分らしさを表す
運命の1本に出合うため、
必要な3ステップ。香水はとてもパーソナルなものなので、最初のステップがとても大切。ヴィクトワールにその方法を教えてもらった。
1.まずは手軽かつリーズナブルに手に入るボディープロダクト、例えばボディミルクなどを試して、自分がどんな香りが好きなのかなと好みの傾向を見つけてみるといいわ。お花の香りを選びがちだったら、そういう傾向なのかなと、選ぶのがおすすめ。
2. 次に考えるのが、どのように使うかということ。例えば、髪につけるのか、首なのか、手首なのか(フランス人は足首につけたりもする)、使い方によっても、自分のスタイルを見つけることができるの。
3. 最後に、香水を選ぶときに重要なのが直接自分の肌につけること。フレグランスショップに行って、ただ匂いを嗅ぐだけでなく、自分の肌になじませてみる。香水は高価なものなので、即決して買わずに、まずはお店に行って肌につけてみて、一旦帰ってくるほうがいいわ。肌につけて1時間ぐらいたって(香水をつけたことなんて忘れてしまったぐらい)にふっと嗅いでみて、やっぱりこの匂い好き!と思ったら、それはあなたにとっていい香りになると思うわ。
「香水はただ肌につけるだけでなく、自分の人生を豊かにするためのエレメント。運命の香水を見つけるためには、まずはトライしてみること。香水によってあなたはもっとあなたらしくなるの。フランスでは女性が男性向けの香水をつけるということもよくあって、私の母はフェミニンな人だけれど、ゲランの男性用の香水をつけているの。マニッシュな香りを纏うことで、彼女はよりフェミニンになっていると思うわ。自分が選ぶ香水にルールはないの。いろいろな香水を試していくのは、自分のスタイルを見つけること。この過程を楽しんで、自分の香水を見つけてみて!」