母親から愛する娘へ。世代を超え受け継がれるジュエリーは、ほかにはない特別な輝きをまとっているもの。そんなプライスレスな逸品の魅力を、3人のおしゃれリーダーにインタビュー。第2回目のゲストは、ストリートのアイコンとしてマルチに活躍する菊乃。アイテムに秘められたエピソードから普段は訊けない母娘の裏話まで、たっぷりとお届けします。
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自身のブランドPURPLE THINGSを立ち上げる傍ら、UNITED ARROWS & SONSのスタッフとして活躍するなど、ユニセックスな感覚と幅広い交友関係を武器に、東京のストリートシーンを牽引している菊乃。Tシャツやデニムを軸にした、シンプルシックな着こなしにファンも多いが、そんなスタイリングに品と奥行きを与えてくれるのが、ミニマルなジュエリー群。ほとんどは自分で吟味し買い揃えてきたものだが、中にはタレントでもある母の岡田美里さんから譲り受けたハイブランドの一生ものもあるという。今回はそんなスペシャルなジュエリーの詳細を、母娘の仲睦まじいストーリーと共にご紹介。
「夏はシンプルなTシャツにデニム、というのがここ何年かの定番で。着こなしのバリエーションはそんなに多い方ではないんですよ。つけるアクセサリーもだいたい決まっていて、あまり買い足したりはしないし……。だから今日持ってきたものは、どれも失くしたら困る大切なモノ。自分でオーダーしたチェーンブレスや、彼からもらったリングなど、いろいろミックスしてつけるのが定番ですが、中でも一番古い付き合いになるのが、20歳のクリスマスに母からプレゼントしてもらったティファニーのリング。ローマ数字をモチーフにしたシリーズなんですが、良い意味であまりティファニー感がないというか、メンズっぽいデザインですごく気に入っていて、お風呂に入るとき以外はずっと付けていますね。場所も右手の人差し指と決めていて、ずっと変えていないです。いまではコレがないと落ち着かなくなっちゃいました(笑)」
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ヘインズのTシャツ×リーバイスのカットオフデニムというラフな出で立ちも、母に譲り受けたカルティエの腕時計&ティファニーのリングのおかげで洗練されたイメージに。足元はラグ&ボーンのブーツでモードなエッセンスを添えて。
「リングの他にも、母から譲り受けたものがもう1つあって。それがこの腕時計。20年ほど前、母がカルティエの写真集にモデルとして出演したとき、ブランド側からお礼として頂いたものみたいです。これを譲り受けたのも確か20歳の頃だったけど、当時は今よりも派手な格好をしていたし、そもそも腕時計をつける習慣がなかったのでまったく身につけてこなかったんです。でもここ1~2年でやっと良さがわかるようになって、今では自然に取り入れられるようになりました。私の格好って結構シンプルなので、こういう良い時計を1つ取り入れると、コーディネートがぐっとよく見えるんですよね。あと文字盤のフレームが、ゴールド×シルバーのMIXになっているところも好き。アクセサリーをつけるとき、私はシルバーとゴールド、どちらも混ぜて使うので、これはすごく相性が良いんです。目立ち過ぎず、ほかのアイテムとも調和してくれる。いまではすごく気に入っています」
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90年代に発行されたカルティエの写真集。宮沢りえや牧瀬里穂、海外のVIPの娘に交じり、母である岡田美里さんの姿も。このときお礼として受け取った腕時計は、いまは菊乃の手に渡り大切に使われている。
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カルティエの腕時計&ティファニーのリングは、菊乃と美里さんを繋ぐ“母娘の絆の証”。時計にはもともと赤いベルトが装着されたいたらしいが、美里さんはカーキのものに付け替えて楽しんでいたという。
「母は若い頃モデルやアナウンサーをやっていたんですが、それからタレントに転向して雑誌で連載を持ったり……。一時期はカリスマ主婦と呼ばれていた時代もあったみたい(笑)。でもいまはタレント業を辞め、料理教室を開いたりアクセサリーブランドの輸入業を手がけています。母もお洒落が好きな人なので、アイテムを兼用させてもらうことも多いですね。エルメスのバッグとかトッズのローファーとか。ちょっとしたパーティに、いいバックや靴を合わせると気分もアガるので、実家に行って拝借してくるんです。体型も似ているので、洋服をシェアすることも多々。最近もお母さんが買ったアクネのデニムを、私が穿いたり、妹が穿いていたりして、完全に3人で使い回してる(笑)。“あの服、いま誰が持ってるの?”なんてやりとりは、うちではしょっちゅうあります。お互いのワードローブは完全に把握しているので、私や妹が母にコーディネートのアドバイスをしたりもするし。母娘なんだけど、友達みたいでもある。そんな関係性が心地いいですね」