母親から愛する娘へ。世代を超えて受け継がれるジュエリーは、ほかにはない特別な輝きをまとっているもの。そんなプライスレスな逸品の魅力を、3人のおしゃれリーダーにインタビュー。第1回目のゲストは世界で活躍するモデル、萬波ユカ。アイテムに秘められたエピソードから、普段は聞けない母娘の裏話まで、たっぷりと語ってもらいました。
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昨年のデビュー以降、日本を代表するモデルとして、パリやNY、ロンドンなど海外を行き来しながら、多忙な日々を送る萬波ユカ。大のヴィンテージフリークとしても知られ、年代物のロングドレスをまとった独特のファッションは、コレクション会場でも注目の的だ。そんな彼女にとってアンティークのジュエリーは、自分のスタイルを築く上で欠かせない要素の1つ。古着屋や蚤の市を巡っては、常に掘り出しものがないか目を光らせているというが、もちろん母親のジュエリーボックスの中からも拝借した、お気に入りの逸品もいくつかあるらしい。
「母と私は顔立ちや体型も似ているのですが、お互いヴィテンージ好きだったりと趣味も似ていて。地元にいたときは、一緒に大阪の古着屋を巡ったり、洋服をシェアする機会も多かったですね。彼女は銀行員として働くバリバリのキャリアウーマンですが、お洒落もめいっぱい楽しんでいるアクティブな人。若いときから暇を見つけては海外旅行に出かけ、洋服やアクセサリーを購入していたらしく、実家には母が長年集めてきた宝飾品がたくさんあって。ちょうど私が大学生になり古着に興味を持ち始めたとき、その中の何点かを譲ってもらえる話になったんです」
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実家にある母親の宝石箱の中から、彼女がピックアップしたイヤリング&ベロアのリボン。特にブランドものという訳ではないが、母のものを身につけるということが、何にも代え難い価値。
「そのうちの1つが、今日付けているイヤリング。年代など詳しいことはわからないのですが、海外で購入したヴィンテージらしいです。一見シックなんだけど、トライアングルのエッジィなフォルムだったりして、上品すぎないデザインがすごく素敵。手持ちの服と組み合わせてもよく合うんです。私はどちらかというと甘い顔立ちではないから、こういったコスチューム的なジュエリーをポイントにもってくると、表情が華やいで見えていいんですよね。多少色気も出るような気がするし(笑)。ちなみに首に巻いてるベロアのリボンも母のお下がり。何年か前に実家に帰省したら、突然これが目に飛び込んできて。気になって母に尋ねたら、チョーカーとして使っていたものだよって教えてくれて。すかさず譲り受けました。私、首が長いので、ネックレスやチョーカーなどでマークしていないと、なんだか落ちつかなくて(笑)。これはちょうど良かったんですよね」
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母親から譲り受けたアクセサリーを引き立たせるのは、パリで購入したヴィンテージのロングドレスと、NYで見つけた繊細なレースのガウン。ダークトーンでノスタルジーにまとめたところも彼女らしい。
「実家に毎回帰省するたびに、自分の好みも微妙に変化していて。以前は気にならなかったものが、すごく魅力的に見えたりする。だから母のクローゼットや宝石箱を覗くたびに、新たな発見があって面白いんです。今日身につけているアクセサリー以外でも、母から譲り受けたものはいっぱいありますよ。華奢な文字盤に黒いレザーベルトをあしらったロレックスの時計とか、母が叔母から譲り受けたルイ・ヴィトンのクラッチバッグとか。どれもすごく保存状態が良いので、扱いが雑な私がキレイに使っていけるのか心配ではあるのですが(笑)。あと祖母が和裁をやっていたので、母のためにあつらえた着物や浴衣もありますね。それもいずれは私が譲り受けて愛用することになるんでしょうけど……。そうやって時代や世代を超えてモノが受け継がれていくのは、すごく夢があって素敵なことだなって思います」