スタイリストやデザイナー、ブランドディレクターなど、ファッション業界で活躍するおしゃれのプロ中のプロに、自分のワードローブに欠かせない定番ベスト10をASK! さまざまなおしゃれ遍歴を経てマイスタイルに辿り着いた達人たちの定番アイテムから、自分らしいおしゃれを完成させるためのヒントを探ります。Vol.11は「マディソンブルー」のディレクター、中山まりこさんが登場!
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「ダナ キャラン ニューヨーク」のジャケット
2014年に自身のブランド「マディソンブルー」をスタートした中山まりこさん。マイベストに挙げるアウターは、中山さんが80年代後半にNYに住んでいた頃、現地のファッションシーンを牽引していた「ダナ キャラン ニューヨーク」の黒ジャケット。「ダナ キャランは大好きなブランドのひとつ。これはタキシードでありながら背抜き仕立てで裏地のない軽やかなタイプ。かっちりした印象になりがちなジャケットにあえてTシャツとデニムスカートを合わせるのが30代からのMY定番。数ある手持ちの黒ジャケットのなかでも、ほどよくカジュアルななかにフェミニティを感じるいちばんのお気に入りです」
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「マディソンブルー」のドレスベスト
中山さんが自らデザインした理想のベストがこちら。「もともと素肌にベストを着てデニムを合わせるのが大好きだったのですが、レディースブランドにベストというアイテムがなかなかなくて……。20代初めから2年前に洋服作りを始めるまで、メンズの古着やラルフ ローレンのベストを自分なりに身体にフィットするようリサイズして着ていました。これはその長年の思いを形にしたこだわりのデザイン。少しVゾーンを深くして、1枚で身体に沿うようネックラインに微妙にカーブをつけ、箱ポケットは立体感が出るようにアイロンで生地を伸ばしながら縫製してもらいました。素肌にベストを着て、そのうえにジャケットを羽織るのがMY定番の着こなしです」
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「マディソンブルー」のシャツ
エディターやスタイリストなどファッション業界にも熱烈なファンが多い「マディソンブルー」。オックスフォードボタンダウンシャツはなかでも人気が高いアイテム。「このボタンダウンシャツのように、生地もデザインもメンズライクなアイテムを着ることで醸しだされる女性らしさが好き。襟高でウエストはシェイプし、袖口を狭くして五分丈の半袖にすることでIVYアイテムをスタイリッシュに仕上げました。モードにも合うバランスになっているところがお気に入りです。2枚持っているのですが、1枚は洗いざらしであえてモードなジャケットに合わせて、もう1枚はクリーニング屋さんできちんとプレスをしてもらい、きれいめでシャープなアイテムとスタイリングするのが好きです」
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ヴィンテージのレースアイテム
中山さんがこよなく愛する繊細なヴィンテージレース。「フリンジストール(写真右)は、海外のラルフ ローレンで購入したヴィンテージ。100年以上前のものだそう。ワンピース(中央)は1840年代のフランスのヴィンテージ。デニムのジャケット&パンツを合わせて、現代版アメリカンカジュアルを楽しんでいます。15〜20年前に手に入れた繊細なヴィクトリアンレースのトップス(左)は、ヴィンテージならではの細かい手作業に唸るアイテム。こちらもデニムのスカートやパンツを合わせています。洗うと色落ちするデニムの経年変化とヴィンテージレースの相性を味わって着こなしたいですね。ワンピースとトップスは渋谷のスタジオ マリオネットで購入しました」
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「マディソンブルー」のデニムスカート
“デニムは自分にとってなくてはならないもの”という中山さんの定番ボトムは、絶妙な色落ちと潔い丈が特徴のデニムスカート。「20代半ばの頃に購入したリーバイス501のリメイクロングスカートを徐々に自分で切っていくうち、最終的にたどり着いた理想的なミニ丈があるんです。これはその丈を再現したアイテム。ラグジュアリーブランドやモードブランドで全身を包むと自分らしさがなくなってしまうので、どこかにデニムを入れるようにしています。ラグジュアリー&モードなジャケットやトップスを着た時にはデニムのボトムをチョイス。逆に、ボトムがブランド物の場合はデニムジャケットを。“デニムを合わせてラグジュアリーを自分らしく楽しむ”、“モードブランドを着ていてもカジュアル感をプラスする”、これが私の定番ルールです」
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「グッチ」のビットローファー
中山さんが絶賛するシューズは‘80sに出合った「グッチ」のローファー。「当時のレザーは肌に吸い付くような極上のクオリティで、素肌にローファーというスタイルが大好きでした。20代前半までは若さに任せて、アメリカやイギリス製のゴツゴツした縫い目が素足に当たると痛い靴を我慢して履いていました。かといって、縫い目がスムーズなイタリアブランドのローファーはおばさんっぽくて嫌いで……(笑)。ある時、“ローファーの定番ブランドといえば……”とグッチの靴を試着したところ、ぱっと見た時のカジュアルさと、履いたときのラグジュアリー感にノックアウト。当時ものすごく気に入って、色違いで3足購入しました。少しアメリカンなフォルムで、素足に吸い付くレザーの感じは’80s後半のグッチだけですね。今でも素肌×ローファーができるのはこの靴だけ。主にリーバイスの501を合わせています」
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「ジョー マローン」のフレグランス
中山さんの最愛フレグランスは、世界中から集めた7種類の高貴なバラをブレンドした「ジョー マローン」のレッド ローズ。「12、3年前から私の定番。自分の香りを探し続けて、30代後半で出合った香りです。強すぎず甘すぎず、自然と自分に馴染む感じが気に入っています。華やかで強い香りより、馴染むくらいの香りが好みです。“香水は目に見えず、記憶に刻まれる究極のファッションアクセサリー。あなたの到着を告げ、去った後も余韻をたなびかせる”とはココ・シャネルの言葉。自分の香りをもつことは大事です」
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お気に入りの本たち
内面から感性とマインドを磨いてくれるビジュアルブックや洋書も中山さんの“MY定番”。「『絵本アイビーギャル図鑑』、『TRUE PREP』、『TAKE IVY』、『SEVEN SISTERS STYLE』は数年に渡ってあちこちで購入したもの。私のファッションの原点であり、コアともいえるIVYについての本たち。『VOGUE ON ココ・シャネル』は5、6年前に購入。ココ・シャネルはデザイナーでありながら女性の社会的地位の向上や解放を目指して道なき道を歩んできた人物。彼女の言葉は心に響き、自分を奮い立たせてくれます。『Lee』は大好きなジャッキー(ジャクリーン・ケネディ・オナシス)&リー姉妹の本。彼女たちのカジュアルな着こなしや、品があるスタイルが好きなんです。ライフスタイルも魅力」
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「バカラ」のアンティークグラス
エレガントなカットが美しい「バカラ」のクリスタルグラスは昨年購入したものだとか。「いくつか持っているアンティークグラスのなかでもいちばんのお気に入りです。1955〜1973年の間に作られた、今はないデザインのシャンパングラス。当時の外国映画のなかで女優たちが使っていたのはこの平たいタイプ。もう生産されていないこの形の美しいバランスに魅了されています」
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時計と腕もとのジュエリー
シルバーと焼けた肌、赤いネイルが最高にクール! 「毎日つける時計や腕もとのジュエリーは10年ごとに見返しています。焼けた肌にシルバーが今の気分で、右手は50才になってから新しくチェンジしたもの。人差し指はクロムハーツ、中指はエルメス。時計は40歳〜50歳まではダイヤモンド入り&ホワイトのシャネルのJ12を愛用していましたが、50歳になったときにカルティエのメンズ用タンクを購入。女性が男性の時計をつけているバランスが素敵で、とても気に入っています。左手は40才の頃から11年つけているもの。中指はクロムハーツ、婚約指輪と結婚指輪はオーダーメイドで作ったもの、小指は、日本で初めてピンキーリングを扱ったというスタージュエリー元町本店で購入。ブレスレットはすべてエルメスです。今の時計とジュエリーはまさに50代の気分」