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佐久間由衣の、本と花と。VOL.11

 

佐久間由衣がVOGUE GIRL+メンバーのために選ぶ本と花の連載。ページをめくる度に湧き上がる思いや本を読み終えた後に感じる余韻を等身大の感性で綴ります。最終回の今回は「この方の本以外考えられない」というほど憧れてやまない著者の1冊。言葉にするにはちょっと恥ずかしい感情も、誰かに話したくて堪らないあのシーンも、インタビュー形式でたっぷりと語ります。佐久間由衣の本棚からピックアップされた今月の1冊をどうぞ。


 

今月の本。

『ふくわらい』西加奈子(著)(朝日新聞出版)

あらすじ

書籍編集者の鳴木戸定は、子供の頃から「ふくわらい」が好きだった。大人になってからも他人の顔を「ふくわらい」にして妄想をする毎日。幼い頃、紀行作家の父に連れられていった旅先で誰もが目を覆うような特異な体験をしてから、世間と自分を隔てる壁を強く意識するようになった彼女。 愛情も友情も知らず不器用に生きる定は、愛を語ってくる盲目の男性や必死に自分を表現するロートル・レスラーとの触れ合いの中で、自分を包み込む愛すべき世界に気づいていく。

西加奈子の『ふくわらい』と、
この連載で私が伝えたかったこと。

佐久間由衣が最終回のために選んだ至極の1冊。今回は、溢れる思いをインタビュー形式で聞いた。

『ふくわらい』を今月の本に選んだ理由を教えてください。

21歳くらいのときかな。文学を漁るように読んでいた時期があって、そのときに西加奈子さんの作品にも出合いました。この連載をはじめて、いつか西さんの作品を紹介したくて、常にタイミングを見計らっていたのですが、最終回であれば西さんの作品以外は考えられないと思って。たくさんある西さんの作品の中で、改めて読み返し、大好きな1冊だなと思い『ふくわらい』を選ぶことにしました。

連載で“本と花”というテーマを提案した理由にも繋がるのですが、普段本を読んでいて自分が素直に感じたことだとか、人と違っても自分はこう感じるってことだとか、そんなことを取り戻していきたいという気持ちがありました。作者が伝えたいことではないかもしれないし、国語の授業だったら正解にはならないことだとしても、自分の心が感じたものを自由に表現していきたいということが、連載をやる理由のひとつでした。

他人から見えているものではなくて、自分の体や心で感じること、見えてるものを大切にすることを『ふくわらい』は丁寧に表現してるお話だと思ったので、今までの紹介してきた本を含め、私がこの連載を通して伝えたかったこととつながると思い、この一冊を選ぶことに。

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佐久間さんが選ぶ本にはいつも、チャーミングな人物が登場するのが印象的でした。『ふくわらい』もその例に漏れず、ユニークな人物が次々と登場する物語ですよね。VO.5のインタビューのときにも同じ質問をしましたが、『ふくわらい』に出てくる登場人物のなかで1番を選ぶとしたら?

守口は本当に愛おしいですね。全力で肯定したいと思うし、応援したいと思う。主人公の定ほど私は素直に生きていけてないけれど、守口のような人に出会ったら人として惹きつけられる気がします。

佐久間さんの推しは、ロートルプロレスラーで定がエッセイを担当することになった守口ですね。

この本には、顔や体といった目に見えてるものと自分で感じる目に見えないものについてのメッセージが込められていると感じています。「キレイ」とか「かっこいい」という言葉も当然嬉しいんですけど、私は「人として面白い」とか「つい見てしまう」みたいな、人の生きざまが覗くような言葉をかけられるとドキッと嬉しい気持ちになるんです。小さい頃から、人の内側からにじみ出ているものに興味があったので、ピュアな部分やプロレスラーとしての歴史や強さが守口の持っている顔にはあるんだろうなと想像して、好きですね。

主演映画や話題のドラマ出演が続く佐久間さんにとって、今年は役者としても躍進の年だったと思います。役で演じるとしたら?

やっぱり主人公の定。定は25歳で、私は26歳で…、このあたりの年齢って20代前半とはまた違う転換期だと思うんです。社会でいろんな人と会って、自分の将来のことも考えるタイミング。共感する部分もあったし、こんなに素直で一生懸命な定を役で理解してみたいなっていうのは思います。ラストのシーンも大好きなんですが、映像にするとしたら、ちょっと難しいかも(笑)。

印象に残っているのはどのシーンですか。

224ページ、守口と定のやりとりが丸々好きです。『自分の体が、自分のものだということ、それを感じるとき、体が震えること、その震えているものも、自分の体だということ。』このセリフは、読んでいてちょっと泣きそうになりました。今、私たちが生きている世界で、そういうことを感じられる機会って少なくなっているのではと思っているんです。いろいろ見えてしまう世の中だからこそ、自分の声が聞こえにくくなっている部分があるということを西さんが『VOGUE』のポッドキャストでおっしゃっていたのですが、私自身もそういうことが危険だなと思っていて。今回、連載を始めたのもその気持ちを取り戻していきたい部分があったし、みんなに上手に伝わらなかったとしても自分の思ってることを正直に伝えられたら、そっちの方が届くかなと思えました。物語の登場人物には、盲目的に愛を伝えてくる目が見えない人がいたり、守口のようなちょっと変わり者のレスラーだったりがいる。目に見えてるものだけが本当に全てではないし、間違っていたとしても、その間違いから学ぶこともたくさんあるんだと自信を持たせてくれる1冊でした。

主人公の定は、いろんな人と関わるうちに、世界との接点や世の中の自分というものを認識できるようになっていきました。佐久間さん自身が、世の中との接点をより意識する瞬間はありますか。

この仕事を始めてから、自分の中の世界と人から見られている世界にあまりにもギャップがありすぎて、すごく戸惑っていた時期がありました。ですが、だからこそ言葉をすごく探すようになりました。発言しないこともメッセージになるし、伝えるって言葉だけじゃない。この仕事をして、たくさんの人に見られている、見てもらっていることで気づかされたことでしたね。

西さんの作品で他に好きなものは?

『サラバ!』、『舞台』、『漁港の肉子ちゃん』、あとはエッセイも好きです。世の中で起きてることをポジティブに考えていて、クスッと笑ってしまうような描き方をされてるのが読んでいても面白いし、パワーをもらえます。起きたハプニングも笑いに全部を変えてしまうようなポジティブなエネルギーが本当に素敵だなと思いますね。

たとえ上手に書けなかくても、自分の言葉で伝えたい。
連載で取り戻した自分自身の心と体。

最終回ということで連載のことについてもお話しさせてください。“本と花”っていうのをキーワードに連載をしてもらいました。

めちゃくちゃ楽しかったなあっていうのがまず第1の感想。今、振り返っても紹介してきた本が愛おしくて、我ながら素敵な本を紹介してきたなとニヤニヤしちゃうぐらい(笑)。読書感想文を書くから本を読むということではなく、上手に書けなかったとしても自分の言葉で思いを伝えようってところからはじまった連載でした。回を重ねるごとに本当の自分の心と体を取り戻している感覚と新しい発見がありました。

手書きの文章で表現してもらうということが連載のもう1つのテーマでした。デジタル時代だからこそ感じられるアナログの温かさを体現してくれていましたがどういうステップで毎回、形にしていましたか。

携帯のメモでテキストを作ることもありましたが、できるだけ手帳やノートに書いた言葉からまとめるという作業をしていました。携帯で打ってしまうと言葉というよりも文字の印象が強くて、できるだけ手書きにして頭の中を整理したりとか、一度書いてみたりとかはするようにしていました。

どんな時間に今月の文章を考えることが多かったですか。

まず選書して、その後にもう一度読み直すんですけど読み終わる瞬間です。時間があるときに読み終わるようにして、ノートとペンを置いて…。

連載をスタートした頃は、自分の本棚を覗かれてるような気持ちで恥ずかしいと言っていましたよね。

初めの頃は、本をお勧めすることはこういう本が好きということも含めて、自分の中身を見せてるような気がして照れ臭い気持ちがありました。でも、後半は恥ずかしいという気持ちより1冊でも素敵な本をみんなに紹介したいという気持ちの方が強かったですね。「本当に素敵だからこの本を読んで!」っていう純粋な気持ちの方が大きくなっていきました。

この1年は、お芝居にモデルに本当に忙しかったと思います。そんなときに佐久間さんの支えになってた言葉や本はありますか。

メンバーのみなさんに素敵な本を紹介したいという気持ちと、自分の中で今この1冊が必要だというところを並行して選んでいたような気がしています。私にとって、言葉は生理現象に近いもの。言葉や本は、お腹がすくからご飯を食べる、眠いから寝ることと同じで、書きたいから書くもの、読みたいから読むもの。変だなと思われるかもしれないのですが、自分の本棚には心の支えになる友達がたくさんいる感覚なんです。今日こんなことがあったから、この本を読んで眠ろうとか、あの本のあの子に会ってちょっと勇気をもらおうとか、そういった存在。1人の時間の中で自分と向き合う時間でもあるし、新しい出会いもある。この連載が終わっても、本との向き合い方は変わらないし、きっと生理現象のように読み終わった後に何かを考えているんだろうな、書いているだろうなって思います。

『ふくわらい』の物語では、主人公の定とレスラーの守口とのやりとりのなかで「連載」と「恋愛」と聞き間違えるシーンがあります。VOGUE GIRL+という場所での連載は、嬉しくなったり悩んだり…、恋愛をしているような気持ちでした。また、ラブレターを送りますねと佐久間由衣は話してくれた。

<佐久間由衣着用>トップ¥53,900/NAYA REA(ジジナ 1996.gigina@gmail.com) パンツ¥18,800、サスペンダー¥3,980、シューズ¥14,800/すべてOLGOU(オルゴー 03-3463-0509)
  • 佐久間由衣

    1995年、神奈川県生まれ。2014年に映画デビューを果たす。現在、主演映画『君は永遠にそいつらより若い』が上映中、放送中のTBS金曜ドラマ『最愛』では初の刑事役に挑戦している。写真集『佐久間由衣写真集 SONNET 奥山由之撮影』(マガジンハウス)が好評発売中。2022年1月8日スタートの『おいハンサム!!』(東海テレビ・フジテレビ系)、3月より放送のWOWOWオリジナルドラマ『ヒル』に出演が決定している。

    Instagram:@yui_sakuma_official

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