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佐久間由衣の、本と花と。VOL.10

 

俳優の佐久間由衣がVOGUE GIRL+メンバーのために選ぶ本と花の連載。ページをめくる度に湧き上がる思いや本を読み終えた後に感じる余韻を等身大の感性で綴ります。普段、言葉にするにはちょっと恥ずかしい感情も、誰かに話したくて堪らないあのシーンの描写もメンバーにシェア。佐久間由衣の本棚からピックアップされた今月の1冊をどうぞ。


はじめに

今回紹介する本は、ページの至るところに小さな折り目がついた私物を持参して撮影。「この本の中には、素敵だなと思ったり考えさせられたりする言葉がたくさんあるんです。印象的だった言葉や文章のあるページにはこうやって折り目をつけていて…」と、印が折られた本と彼女の丁寧な性格が重なる。19歳で出合い、コロナによる自粛期間中にもう一度読み直したという今月の1冊。「今を生きる私たちにも重なる部分がある気がします」と紹介するのは、伊藤計劃のSF小説『ハーモニー』。

 

今月の本。

『ハーモニー』伊藤計劃(著)(早川書房)

あらすじ

21世紀後半、世界は大災禍と呼ばれる混乱を経て究極の福祉厚生社会が築きあげられていた。病気や健康リスクを未然に防ぐことができるようになり、健康であること、幸福であることが人々の義務であり常識になっていた。そんな社会を厭わしく思う高校生の御冷ミァハに共感し、友人の霧慧トァンと零下堂キアンは一緒に自殺を図るが、ミァハだけが死んでしまう。13年後、死ねなかったトァンは、世界を襲う大混乱の陰に死んだはずの友人の影を見て……。

今月の花。

白菊

故人を偲び、弔うために供える白い菊の花。「私たちは弔いの思いを込め白い菊の花を飾りますが、物語の世界にはその概念がないので、あえて供えたいと思って…」と、今回は登場人物に捧げる白い菊の花を選んだ。

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今月の文。

おわりに

人に会うことができず、健康への向き合い方が変化したコロナの自粛期間で改めて読み返し、今の世の中と重なる部分があると佐久間由衣が選んだ今月の1冊。「小説での世界や感想、私の中で芽生えた思い、そして共有したい気持ちが浮かんでは消え、また浮かんで…、今月の文はそういう風に生まれた感情を詰めこみました。自分自身の感情がこんなにも揺さぶられたこの本は、きっと現代を生きる人たちにもに強く刺さるのではと思い選書。物語の中には、体と健康がテクノロジーやAIに管理されている世界が存在します。健康が管理されているので自分で命を落とすことも禁止され、病気になることもできず、長く生きることが当たり前の世の中…。その世界では、紙でできた本は“デッドメディア”と呼ばれているんです。主人公が惹かれるミァハは、ネット上にデータ化されているテキストがいつでもどこでもダウンロードできる世界で、製本された“本”を大切に持っている女の子。“本を持つ”という私にとっては当たり前のことも、決して当たり前ではないのかもしれない、そのことはこの連載をしているからこそ届けたいメッセージ」と、本を選んだ理由を教えてくれた。

影響を受ける言葉とたくさん出合えたことも、この1冊からもらったギフトだという。

『善ってなんだと思う。困っている人を助ける、とか仲良くする、とか、誰かを傷つけないようにする、とかそういうことじゃないよ。確かにそれもあるんだけど、そういうのはあくまで「善」の細かいディテール。良いこと、善、っていうのは、突き詰めれば「ある何かの価値観を持続させる」ための意思なんだよ』

「心に残っている小説の中の一節です。善という概念は当然のように存在するものでなく、意識してつくるからこそその価値観が生まれ、言葉が生まれるという意味だと思うんですよね。読んでいて「なるほど!」と腑に落ちたところがあって、そのページに折り目をつけています。相手を思いやることも労わることも意識しないと続けられないし、意識するから持続するってとこですよね」(佐久間由衣)

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  • 佐久間由衣

    1995年、神奈川県生まれ。2014年に映画デビューを果たす。現在、主演映画『君は永遠にそいつらより若い』が上映中、放送中のTBS金曜ドラマ『最愛』では初の刑事役に挑戦している。写真集『佐久間由衣写真集 SONNET 奥山由之撮影』(マガジンハウス)が好評発売中。

    Instagram:@yui_sakuma_official

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