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佐久間由衣の、本と花と。VOL.6

佐久間由衣がVOGUE GIRL+メンバーのために選ぶ本と花の連載。ページをめくる度に湧き上がる高揚感や思いを、佐久間由衣自身が手書きの文字で丁寧に綴ります。連載第6回は、向田邦子の『あ・うん』をセレクト。

はじめに

今回、佐久間由衣が選んだ本は、小説家としてだけではなく、脚本家、エッセイスト、放送作家として活躍した向田邦子が唯一残した長篇小説。女性の社会進出がまだまだこれからという時代に、編集者として活動を始め、多岐にわたる分野で活躍した向田邦子。小説の中で描かれる女性像に共鳴する美意識を感じたという佐久間由衣が、その理由を教えてくれた。


 

今月の本。

『あ・うん』向田邦子(著)(文春文庫)

あらすじ
時代は、太平洋戦争をひかえた昭和初期。製薬会社に勤める水田仙吉には、まるで神社の鳥居にならぶ狛犬、阿(あ)と吽(うん)のように親密な門倉修造という親友がいた。軍需景気のおかげで羽振りのいい金属会社の社長、門倉は、水田一家に献身的な世話を焼くが、そこには水田仙吉への友情と仙吉の妻・たみに対するひそかな恋情が絡んでいた。複雑に入り混じる登場人物の心情を、昭和のごく平凡な家族の情景のなかで鮮やかに描いた1冊。

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今月の花。

白の芍薬

まっすぐに伸びる茎に小さな蕾をつける芍薬は、蕾がほころび始めると一転して、幾重にも重なる花びらとともに大きく開花する。小さな蕾の中に秘められたたくさんの花びらはまるで、たみが心の中で抱き、重なり合う思いや感情のよう。最後は花びらが散るのではなく、花の頭ごと落ちていく儚さも、たみにリンクする部分がある気がすると、白の芍薬を蕾の段階から順を追って、大きく花開くまで撮影した。

今月の文。

おわりに

夫である仙吉がたみに抱く言葉にできない感情の視点を入り口にしながら、佐久間由衣が受け取った気持ちを思うままに綴った今月の文。「親友が自分の妻のことを慕っていて、妻も彼に惹かれている。この小説のなかでの3人の関係は、外からみたら泥沼ですよね。けれど、お互いを立てる気持ちや振る舞いによって、決して修羅場にならない。そこに、現代にも通じる色褪せない美学があるような気がして……」と、今回の選書の経緯を話してくれた。特に印象に残っているのが、たみの女性としての慎ましくも逞しい佇まい。「自分自身が大切にしたい美意識とも共鳴する部分がありました。今、発信すること、思ったことを声に出すことを必要以上に求められていると感じることがあって、そこに違和感を覚えることがあるんです。言葉で思いを伝えることも素敵なことですが、ときに一歩引いて相手の気持ちを想像してみる。感情のすべてをさらけ出すのはなく、隠すことで醸し出される人としての色気。タイトルの通り、阿吽の呼吸みたいなものを大切にできたら、人としてもっと優しくなれると思います」。向田邦子が描く凛とした女性には、今の時代を優しく、強く生きるヒントがあるのかもしれない。


 

ドレス¥81,400/CO(イーストランド 03-6231-2970) ソックス¥660/靴下屋(タビオ 0120‐315‐924) その他/スタイリスト私物

  • 佐久間由衣

    1995年、神奈川県生まれ。2014年に映画デビューを果たす。現在、ドラマ『彼女はキレイだった』(毎週火曜よる9時、カンテレ・フジテレビ系)に、桐山梨沙役で出演中。2021年9月17日からは、主演映画『君は永遠にそいつらより若い』の公開が控えている。

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