池田エライザが久しぶりにVOGUE GIRLにカムバック。昨年、好評だったVOGUE GIRL+連載【池田エライザのWISH LIST】のスペシャルスピンオフとして今、気になるテーマを一緒に撮影。今回のテーマは「サステナブルなギャル」。一見、相反するような2つのキーワードをテーマに選んだ理由は? エライザ流ギャルスタイルを、前向きで力強いメッセージとともにお届けします。
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ギャルとは、自信を与えくれるマインドとスタイル。自分にとっての心地いいを追求して。
エライザさんとの撮影は、昨年2021年12月以来。久しぶりのVOGUE GIRLでの撮影で、ギャルをテーマに選んだ理由は?
ELAIZA:ギャルと一言でいっても、日本と海外では意味が変わってくるし、定義もさまざま。今は、既存の概念が取り払われて、価値観も多様化している中で、ギャルの明確な定義はないと思うんです。私の場合のギャルスタイルは、自分に自信を与えてくれる服。”コンフィデンス(CONFIDENCE)”を纏うことがギャルなんだと思います。90年代の不景気の中で、日本を明るく照らしたコギャルたちの存在。荒々しいし、間違ってることもあったけど、根底にあったのは自分の心と体が楽しいと思える気持ちだと思うんです。見る人によってそれは攻めにも見えるけど、自分が心地いいエネルギーを纏うというその心意気が今こそ大切な気がします。だから今回は、ギャルを環境に優しいものづくりを行うブランドやアイテムを使って表現したいなと思いました。
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トップ¥27,500、サングラス¥107,800/ともにDOUBLET(エンケル) 中に着たタンクトップ¥3,300/GINA TRICOT(サスティナブル ケイスリー) パンツ¥90,200/ACNE STUDIOS(アクネ ストゥディオズ アオヤマ) スカーフ¥16,000(参考価格)/GANNI(ガニー) シューズ¥82,500/YUEQI QI(エムエイティティ)
ポップな感性が宿るクールな柄×柄。
余剰在庫をアップサイクルするなど、環境に優しいものづくりをする話題の東京ブランド「ダブレット」から、ユニークな蝶のキャミソールや煌めくラメが印象的なサングラスをセレクト。ポップな感性が宿るストライプのストールは、デンマーク発「ガニー」のもの。異なるパターンを組み合わせて“好き”を貫くクールなギャルを完成させて。
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環境への配慮も好きなスタイルもどちらも諦めない!
サステナブルやエシカルなアプローチとギャル、一見相反するものにも感じるけど、エライザさんはこの2つをどう取り入れたらいいと思いますか?
ELAIZA:サステナブルな服も環境に優しいということがまず表立って出てくることが多いけど、その前にこんなに可愛い服があるよ、着ていて楽しいよ、って気持ちのほうが先。「サステナブルやエシカル」か「ギャル」も、どちらかを選ばなきゃいけないと思いがちだけど、私はずっとどっちもでいいじゃんって思ってきました。環境への意識が高いものはナチュラルで、デザインが派手なものは大量生産、そういった固定概念をなくして、どちらも手に入れられる選択肢があるということも伝わればと思って……。サステナブルとかSDGsという言葉やアプローチも増えてきて、私たちの選択肢も増えた一方で、安価な大量生産の服を扱うECサイトの需要があるのも感じています。けれど、その生産の背景には、賃金や健康が十分に保障されない環境で働かなければならない人々がいる。私の母国のひとつ、フィリピンでもそういったことが起きている現状は見過ごせないと思いました。私自身もミニマリストではないし、いろいろな服を着たいけど、生産の背景を知って安易な気持ちで買い物はできないと苦しい思いをすることがあります。それぞれがいろいろな事情を抱えているけれど、知って選択するのと知らないで選択するのでは違うと思うから、私はその知るきっかけを作れたらいいなと思いました。
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ビスチェ¥70,400/MARINE SERRE(エムエイティティ) スカート¥41,800/DOUBLET(エンケル) ハット¥17,000/JAKKE(ジャック・オール・トレーズ プレスルーム) ネックレス¥39,600、トレンカ¥14,850/ともにCHOPAVA LOWENA(グレープヴァイン バイ ケイスリー) シューズ¥35,200/UGG®(デッカーズジャパン)
90年代ギャルスピリットを今の時代にアレンジ。
サステナビリティを掲げるブランドは、考え方に共感はできてもデザインがほっこりしていてナチュラル。そんなイメージを先駆けて覆した「マリーン セル」は、アップサイクルの技術を刷新しながら今のムードを捉えた服作りを行う。今回は「マリーン セル」のビスチェにマイクロミニのスカートを合わせて、90年代の日本を席巻したギャルスタイルに。動物保護のためにエコファーを取り入れる「ジャッキー」のハットを合わせて、愛らしいアクセントを。
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ドレス¥154,000/MARINE SERRE(エムエイティティ) 三角巾¥8,000、グローブ¥11,000/ともにJAKKE(ジャック・オール・トレーズ プレスルーム) シューズ¥17,600/YELLO(イエロ)
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伝えたい人に伝えるために、自分の言動には責任を持つ。
今年も演技や歌、監督など、表現や活躍の幅がさらに広がっていると同時に、エライザさんが発信する言葉にも注目が集まっています。次の時代をリードする存在として、気をつけていることはありますか。
ELAIZA:今の環境に自分自身を置く努力はもちろんしたけど、私は自分が比較的強い自信があるんです。家族やマネージャーなど、甘えられる人もたくさんいます。けど、自分のなりたい像があっても、そういう環境に居たくてもいられない人もいる。私はありがたいことに自分の好きなことを仕事にして、思ったことを言える環境があるから言うし、やれるからやる。みんな私について来てということではなくて、言ったら駄目っていう制約がないだけです。表に立って発言や発信することにためらうことはないですか?
ELAIZA:私の場合、ライブでMCをするときは文字に起こしてみんなに送って、許可を取って段取りを踏みます。そして当日は、書いた言葉通りに喋ります(笑)。いろいろなアプローチの仕方があると思うけど、私は移り気なところがあるからこそ自分が置かれてる環境や頼ることができる人たちの中で、塩梅を見ながらいることが大切だと思っているんです。言葉だけが走りはじめてしまうことがないように、プロセスを経て、自分が責任を持てる範囲でやると決めています。自分の言葉や行動に責任を持つ、シンプルですが大切ですね。
ELAIZA:20代前半は、思ったこと全部言葉にして、世の中に物申す!みたいな気持ちでした(笑)。今は、自分が守りたいと思う人やものを大切にしよう、そのために行動しはじめたらスムーズに物事がまわっていくように。自分は少数派だと信じてしまってる人に対して「みんな違うのは当たり前だから大丈夫だよ」とか、選挙のときに「投票してる人ってイケてるから行こう!」とか……。感情の言葉合戦にならないために、いつも冷静でいること、自分の発言が偏っていないか一度立ち止まって考えることを忘れないようにしています。 -
好きな自分を貫くためのサステナブルなチョイス。
「マリーン セル」のパッチワークドレスを纏ってエライザはこう話してくれた。「ライブをしてると、お客さんたちはライブに行く無難な格好を選ぼうとするけど、ほかで着られないような服でとびきりおしゃれして来てほしいし、これどこで着るんだろうみたいな服は私のライブに着てきなよって思うんです」。自分の心と体がワクワクしないとファッションは楽しくない。好きな自分を貫くために今、選びたいことは何か。責任と自信をまとったエライザのギャルマインドが、新しい明日の作り方を教えてくれる。