アイデアに行き詰まったときや、自分のベースに立ち返りたくなったとき。ヒントを求めて読み返したくなる本や雑誌を、エディターたちが選出。
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『CUTiE CHRONICLE 1989-1999』CUTiE編集部(著・編集)(宝島社)
「自分がハッピー」なのが最優先! 可愛いカルチャーが詰まった1冊。
他人の目を気にするのではなく、自分が可愛いと思うおしゃれの大切さを提案し、日本独自の可愛いカルチャーを牽引してきた女性ファッション誌『CUTiE』。こちらは、ストリートファッションの盛り上がりも最高潮だった90年代(89年〜99年)の『CUTiE』の誌面ビジュアルを年代別にギュッと詰め込んだ一冊です。それぞれの時代の空気感やファッショントレンドを取り込み、ときに先読みしながら作られたビジュアルは、どれも本当に、最高に可愛い! 市川実和子や吉川ひなのといったアイコニックなモデルたちがまとうキュートなコーディネイトも、才能豊かなクリエイターたちが生み出してきたアイデアいっぱいのハッピーな撮影シチュエーションも刺激がいっぱいで、今見ても色褪せないキラキラしたパワーにあふれています。1枚1枚のビジュアルから漂う濃度の高い世界観は、エディターとしてもたくさんの刺激をうける一冊。ちょっと撮影アイデアに行き詰まったときには、GO-BANG’S(こちらも懐かしい!)の曲を聴きなながらこの本をパラパラとめくっていると、はっとするイメージを思いついたりします。可愛いカルチャーの変遷を年代別にチェックできる資料としても貴重。ファッション業界で働きたい人、自分のセンスを活かした仕事を目指してる人にはぜひ手にとって見てもらいたいな、と思います。(VOGUE GIRL副編集長 荒井 現)
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『True Prep: It's a Whole New Old World』リサ・バーンバック(著)(Knopf)
心地よく毎日を楽しむ、プレッピースタイル。
一貫して好きなのはプレッピーなスタイル。ずっと愛用できるトレンチコートに紺ブレ、ボタンダウンシャツ、ローファー、L. L. ビーンのトートバッグ、イニシャルのモノグラムを入れた小物たち。こちらの『True Prep: It’s a Whole New Old World』は、そんなプレッピーな世界のウィットに富んだ考察本。1980年代に一斉を風靡した元祖プレッピー本『The Official Preppy Handbook』の著者リサ・バーンバックによるアップデート版です。ファッションはもちろんですが、いつも自分にも他人にも心地よくあることや、人生を楽しむこと、それに自分や家族が成長すること・知識を得ることに投資すること、そんなライフスタイルがプレッピースタイルの根元にあるなと思っています。いつもデスクにこの本を置いて、自分のベースを見失わないようにしたいです!(VOGUE GIRL エディター 蔵澄 千賀子)
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『THE FACE』(Nick Logan)
大好きなケイト・モスの表紙号を大人買い!
古雑誌のポップアップショップで出会った、ケイト・モス“3点セット”は、90年代にカルト的な人気を誇った「ザ・フェイス」というイギリスのカルチャー雑誌です。1990年、1996年、1999年とそれぞれケイトの変遷を見比べられるのが、なんとも贅沢。手前はコリン・デイズが撮影をしたまだ15歳だった頃、カメラに向かってはにかんだ笑顔を見せる彼女。キメキメに着飾ったグラマー系のスーパーモデルが一世を風靡していた当時、そばかすを隠さずにセカンドハンドショップで揃えたようなリアルなスタイルを映し出したこの作品が、その後ファッション誌に与えた影響は言うまでもありません。続く2冊からも、ケイト・モスが徐々に成熟していく遍歴を覗けます。1999年の号では、モデルとしてピークを迎え、ドラッグやアルコールからクリーンになろうと思った理由を赤裸々に語るインタビューも。誰にも媚びられない不器用な性格。いつだって自分にとってのリアルを探しているような、彼女の魅力を再発見できます。そして、この当時に流行ったベネトンやゴルチエなど、個性が光るブランドの広告ビジュアルを振り返るのも、楽しみの一つだったりします。(VOGUE GIRL エディター 諸岡 由紀子)
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『The Wes Anderson Collection』マット・ゾラー・サイツ(著)(Harry N. Abrams)
計算されたリアルとファンタジーの世界から手に入れるおしゃれのヒント。
映画のシーンで描かれる緻密に計算されたリアルとファンタジーの世界から、おしゃれのヒントを探すことがあります。ウェス・アンダーソンの作品は何度も一時停止をして、気になるシーンのスタイリングやセットをチェックするほど。そのウェス・アンダーソンの作品をまとめたヴィジュアルブック『ウェス・アンダーソン コレクション』は、衣装や小道具、アートワークが掲載されている300ページ超の読み応えのある一冊。眺めているだけでいつも新しい発見とスタイルのヒントを得られることがあって、7~8年ほど前に購入してから定期的にページをめくっています。中身は『ファンタスティック Mr.FOX』の撮影で使用された小物が一覧で並んでいたり、『ロイヤル・テネンバウムズ』の撮影中のシーンをポラで写していたり……。映画のシーンでは映っていなかった部分が確認できることもあり「このスタイリングにはローファーを合わせていたんだ!」なんていうのをこの本で知ることも。ファッションからインテリアまで、困った時に頼りになる一冊です。(VOGUE GIRL ジュニア・エディター 米倉 沙矢)
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『Parisian Chic Encore: A Style Guide』イネス・ド・ラ・フレサンジュ、ソフィ・ガシェ(著)(Flammarion)
パリジェンヌのスタイルを徹底解剖。
『Parisian Chic Encore: A Style Guide』は、パリジェンヌに憧れを抱くガールたちに、バイブルとしておすすめしたい一冊。モデルやデザイナーとして活躍するイネスと、ジャーナリストのソフィの共著で、2010年に出版しベストセラーとなった『Parisian Chic: A Style Guide』のアンコール版となっています。パリジェンヌのファッションやメイク、ライフスタイルをフィーチャーしたスタイルブックは山のようにありますが、パリっ子ふたりが手がける本はリアリティがあるし情報量もすごい! ファッションひとつとってもルックの紹介だけに留まらず、クリスマスディナーや雨の日に着る服のアドバイス、旅行に持って行く洋服のリスト、買い物時の心得など、細かいところまで切り込んでいて読み応えたっぷり。ファッション業界の最前線で活躍してきたイネスのセンスとソフィの知識力・取材力が、良い化学反応を生み出していて、パリジェンヌのA to Zを知れる名著だと思います。写真やイラストも多くパラパラと流し読みしているだけでも楽しいし、じっくり読み込んでもタメになる。年齢に応じて柔軟にスタイルを変えていくことの大切さに気づかされたり、気持ちを盛り上げるためのヒントをもらえたり。パリジェンヌのように肩ひじ張らず、おしゃれや人生を謳歌するための手がかりをもらえる本です。(VOGUE GIRL ジュニア・エディター 高山 莉沙)
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『I❤ALEXA CHUNG』(宝島社)
リアルに役立つ着まわし術がいっぱい!
私が海外カルチャーやセレブにハマり始めた高校生のころ、おしゃれアイコンとして雑誌のスナップ特集に頻繁に登場していたアレクサ・チャン。スパイシーさとロマンティックさが絶妙なバランスで配合されたカジュアルスタイルが私の好みのどストライクで、学生ながら手持ちのアイテムで真似コーデができないかと試行錯誤して楽しんでいました。そんな真似コーデをスタイリングするときに参考にしていたのがこちらのスタイルブック。シーン別のファッションスナップはもちろん、ビューティ、交友関係、恋愛、ライフスタイルなど彼女をあらゆる角度から深掘りしています。新しい洋服をゲットするときはこの本を見て何をプラスするべきかを見極めたり、コーデに迷った日のヒントをくれたりと、リアルに役立っている1冊です。(VOGUE GIRL アシスタント・エディター 田中 莉子)