脚本やシナリオがないからこそ、心を大きく動かされるドキュメンタリー作品。エディターが「これは観てほしい!」と思った、映画&ドラマをピックアップ!
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Photo:Collection Christophel/Aflo『In Bed With Madonna』
今観ても刺激的な、絶頂期のマドンナ。
多くの女性アーティストが影響を受け、知らない人はいないというくらい有名なミュージシャン、マドンナ。ガール世代にとってはかなり歳上な存在(今年62歳!)だし、今の彼女だけを知るとピークを過ぎた(失礼!)印象かもしれませんが、80年代から90年代の彼女の人気は、本当に、本当に凄かった! この映画は、そんなマドンナが絶頂期のときに開催された『ブロンド・アンビジョン・ツアー』を追ったドキュメンタリーです。
『Like a Virgin』や『VOGUE』など、数々のヒット曲にのせた繰り広げられる挑発的なパフォーマンスとともに、ステージを降りた彼女の言動もとっても刺激的で、観ていて本当に面白い! ツアーを成功させるために戦い続けるプロ意識や、当時からタブロイド誌を賑わせていた華やかなプライベート、まさにディーバなわがままな振る舞いに、時折見せる人間らしい繊細さ…。世界のスーパースターへと上り詰めた一人の女性の様々な面が赤裸々に記録されていて、これこそドキュメンタリーの面白さ!といった内容です。最近はミュージシャンを追ったドキュメンタリー映画もそう珍しくないけれど、ここまで面白いのもなかなかないかも。ぜひ観てほしいです。(VOGUE GIRL副編集長 荒井 現) -
『America Wild: National Parks Adventure』非日常に連れて行ってくれる、45分の絶景体験。
自分が知らない世界を見たり、大自然に身を置くのが醍醐味で休みに旅行に行くのが好きでしたが、アフターコロナは旅行も控えざるを得ず、都内の超絶狭い行動範囲で消化不良気味…。そんなとき、久々にアドベンチャー気分を楽しめたのが、Netflixでたまたま見つけたドキュメンタリー『アメリカ・ワイルド(America Wild: National Parks Adventure)』。アメリカの国立公園制度100周年を記念して2016年に作成されたもので、ヨセミテバレーやイエローストーンなど、数々のアメリカ国立公園の絶景をレンズを通して体験できる内容。レンズ越しとは思えない迫力のある映像は一瞬にして非日常に連れて行ってくれ、まるで自分が氷の世界を訪れたり、ロッククライミングをしているかのように心臓もドキドキ。コロナで感じられないワクワクするアドベンチャーを久々に擬似体験して、心も洗われスッキリしました。そしてコロナが落ち着いたら、現実にこのドキドキを体験したい!絶対に冒険に出たい!と心に誓いました。(VOGUE GIRL エディター 蔵澄 千賀子)
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Netflixオリジナルドキュメンタリー『BLACKPINK ~ライトアップ・ザ・スカイ~』独占配信中『BLACKPINK ~ライトアップ・ザ・スカイ~』
世界を席巻するK-POPの本質に迫る!
ジムでNETFLIXを観ながらトレッドミルをこなすのが仕事終わりの定番コースなのですが、ここ最近でもっとも胸が熱くなったのが『BLACKPINK ~ライトアップ・ザ・スカイ~』。急な傾斜を歩くトレーニングは、息がかなり上がり、思わず立ち止まりたくなるのですが、本作を鑑賞中は、そんな弱音が頭に一切よぎらないくらい、メンバーたちのひたむきに努力する姿に背中を押される感じです。メンバーそれぞれの生い立ちから、ストイックな練習生時代、そしてデビューから世界進出までの快進撃をスタイリッシュな映像で振り返る本作。ソロアーティストとは違い、全員の呼吸と細部に至る振り付け揃うまでに費やす膨大な練習量。さらに一緒に過ごす時間とそこから生まれる揺るぎない絆こそが、ほかが真似できないK-POPの本質にあるのだと腑に落ちました。仕事でつまずいたり、夢半ばで壁を感じているようなガール達には、絶対に見てもらいたい作品です。(VOGUE GIRL エディター 諸岡 由紀子)
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Photo:BALLET BOYS, (aka BALLETTGUTTENE), poster, 2014. © / Everett Collection『バレエボーイズ』
3人の少年が教えてくれる、人生との向き合い方。
ノルウェー・オスロでプロのバレエダンサーを目指す少年のドキュメンタリー『バレエボーイズ』は、つい自分の経験と重ねながら何度も観てしまう映画。学校の授業が終わるとまっすぐレッスンへと向かい、休日も公演のリハーサルへ。バレエ経験者なら「ある!ある!」となる日常が、少年たちの繊細に揺れ動く感情とともに描かれています。メインとなるのは、彼らが中学卒業前の大切な進路を決めるタイミング。学校の面談で「もっと安定した職業を選んでみては?」と先生から言われて悩んだり、「自分にはバレエ以外の道はない」と1度は諦めようとした夢への覚悟を決めたり……。夢、挫折、希望、絶望……、押し寄せてくるさまざまな感情を受け止めながら前に進む少年たちは本当に輝いて見えます。人生の中で挫折なんて、できることなら味わいたくない。抱いた夢を叶えられなかったという経験もできることならしたくない。けれど、そういった経験こそ人を強くするし、その経験があるからこそ新しい夢が見つかるんだと思います。ひたむきに、真摯に自分と向き合う……、シンプルだけど大切なことを自らの人生を切り開いていく彼らが教えてくれます。(VOGUE GIRL ジュニア・エディター 米倉 沙矢)
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Netflixオリジナルシリーズ『タコスのすべて』シーズン1~2独占配信中『タコスのすべて』
タコス愛が伝染。
友人から面白いと聞いて観始めた、Netflixの料理系ドキュメンタリー。そのなかでも中毒性があって、ついつい観てしまうのが『タコスのすべて』。内容は1話ごとに1種類のタコス料理を紹介するという、それだけ聞いたらちょっと地味な内容なのですが(笑)、タコスをいろんな角度から切り取って紹介するのが新鮮! タコスを作る人、食べる人、そして食べられる視点(ナレーターがタコスという斬新な設定)からタコスを深掘りしていて、ついつい見入ってしまいます。番組の作り手のパッションとタコス愛は伝染するようで、友人の友人はこの番組に影響されてタコス屋をオープンしたのだとか。どのお店も自分の提供しているタコスにこだわりと誇りを持っていて、それぞれにドラマがあるのが素敵。仕事にプライドを持つことや、熱を持って好きなものを語る姿ってこんなにキラキラしていて眩しいものなのだなと改めて実感させられます。「冷めたタコスは雨の日と同じ」「“タコスを食べよう”は遊びの誘い」など、時折出てくるタコス名言も秀逸なので、ぜひ注目を! この秋からシーズン2の配信となった『タコスのすべて』。30分で気軽に観ることができるので、ちょっとした空き時間に観てほしいです。(VOGUE GIRL ジュニア・エディター 高山 莉沙)
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Netflixオリジナルシリーズ『ミス・アメリカーナ』独占配信中『ミス・アメリカーナ』
“good girl”から世界のオピニオンリーダーへ。
今年初めにNetflixで公開された『ミス・アメリカーナ』は、歌手のテイラー・スウィフトを追ったドキュメンタリー映画。これまでコンサートの舞台裏などのドキュメンタリーは作られていましたが、彼女の私生活や曲作り、さらには内面的な葛藤がここまでさらけ出された映像は初めてとあって、とても貴重な1本になっています。両親からアコースティック・ギターをプレゼントされて大興奮する幼少期の様子からスタジオでブリトーを食べながら曲作りをするシーンまで、プライベートな映像が盛りだくさん。個人的には、ここ数年は公の場で恋愛について語ってこなかった彼女が「大切な人ができたの」と恋人のジョー・アルウィンを紹介するシーンにうっとり。該当シーンを20回は観ました(笑)テイラーといえば”good girl(いい子)”なイメージがあって、私自身も彼女のそんな一面に憧れていたころがありました。「いい子でいなきゃ」という強迫概念じみた思いの裏でテイラーがどれほど自分の意見や気持ちを押し殺していたのか、彼女が弱音を吐いたり涙を流しながら自分の主張を貫き通したりする様子を見て、私はこれまで彼女の何を見ていたのだろうと思わずにはいられませんでした。同時にそんな”good girl”からオピニオンリーダーへと脱皮を遂げる過程の逞しさを目の当たりにして、やっぱりテイラーは私の永遠のディーバだと実感。テイラーファンではない友人たちからも「良い意味でテイラーへの見方が変わった」という感想をもらうことが多いので、これまでテイラーをあまり知らないという方にこそ観ていただきたい作品です。 (VOGUE GIRL アシスタント・エディター 田中 莉子)