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FASHION

金曜の夜はaggiiiiiii散歩:第4回「ミランダ・ジュライの小説プロモーション」

映画をつくったり、へんな踊りをおどったり、オリジナルバッグをつくったり、最近では「MIU MIU」のサイトと連動してメッセージアプリを発表するなどジャンルを超えて活躍するアーティスト、ミランダ・ジュライ。作家としても注目される彼女のあたらしい小説『THE FIRST BAD MAN』が来年2015年1月13日(火)にアメリカ国内で発売されます! YAAAY!

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あらすじはざっとこんな感じ。几帳面でナイーブな独身女性のシェリルは時空を超えた運命の恋人の存在を信じていて、他人の赤ん坊を見て「前世の彼氏の生まれ変わりかも…」と思ったり、モテモテの同僚フィリップをこれまで幾度もの人生で愛し合ってきたパートナーだけど今回はまだ関係が始まっていないだけ、と思いこんだりしている。

と、軽いさわりの部分だけでも、かなりイタくてへんてこなミランダ節が炸裂しているのですが、上司の21歳の問題娘クリーを預かったことでシェリルの生活が大きく変わってゆき…というのが物語の大筋のよう。しかし変わりもののミランダのこと、これがわかりやすくポジティブな展開になるわけがないのはたしかです。ああ、読むのがたのしみ。

ミランダ・ジュライはアーティストであると同時に、とてもユニークな発想を持ったビジネスパーソンでもあります。この本のプロモーションサイトを普通のものにしたくないと考えた彼女は、小説の中にでてくるモノをじっさいのオークションに出品する「THE FIRST BAD MAN STORE」を思いつきました。「Real objects from fictional book(架空の本から生まれたリアルなモノたち)」と呼ばれる計40個の品々は、たとえばこんなふうに小説からの引用で紹介されます。

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「ヘアピン」

彼女はまっすぐな髪を飾りのついたヘアピンで止めていた。わたしはなにかわからないままその飾りを見ていた。「それって…」ピンを指差した。「ラインストーンつき?」それはぜんぜんいつもの彼女のテイストじゃなかった。まるで偶然髪に小枝がささってしまったかのような感じだ。「それがどうかした?」「いや、そんなのがついてるって知ってるのかなって」「知らないわけないでしょ? あたしがつけたんだから」 (※拙訳です)

——The First Bad Man, 99ページ
で、こういった商品が本の発売日までの間、少しずつebayに出品されていくという仕組みになっているのです。売上はワシントンにある女性の支援団体に寄付されるとのこと。小説の主人公、シェリルの勤務先もまた女性のための施設です。フェイクとリアルの境目がミランダの指先でつつっとこすられるようにしてぼかされていきます。

でもほんとは、なにが売れたかとかいくらの値がついたかということは、そんなに重要ではないの。モノをフックに、わたしたちはこのサイトで40個分のストーリーの断片を読むことができる。つまりポップでおかしなアイデアのように見せながら、じつは映画のトレーラーのようなティザー広告的役割をしっかり果たしているというわけ。

ミランダ、やっぱりおそろしい子!

■「THE FIRST BAD MAN STORE」
http://www.thefirstbadman.com/

■Miu Miu Women’s Tales NO.8「Somebody」
http://www.miumiu.com/en/women_tales/8/film 

■わたしがミランダの足跡をたどってバークレーを訪れたときの話はこちらのZINEで!
http://kazakmagazine.blogspot.jp/2013_10_01_archive.html

Illustration : aggiiiiiii

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aggiiiiiii(アギー)
兵庫県生まれ、東京在住。2007年よりオルタナティブカルチャージン『KAZAK』をはじめ、2013年にはソフィア・コッポラ監督『ブリングリング』のオフィシャルファンジンも手がけた。とりあえずなんでもDIYでやろうとする。旅行が好き。www.kazakmagazine.blogspot.jp

>>金曜の夜はaggiiiiiii散歩のバックナンバーを見る

 

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