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フレッシュな才能とルックスで注目を集める、旬な男の子の素顔にせまる連載。レトロポップなインテリアで国内外のファッショニスタが足繁く通う新宿の「Café & Bar CHAOS」を舞台に、VOGUE GIRL副編集長とゲストが本音のボーイズトーク。第52回には、独自の存在感で着実にキャリアを切り拓く俳優の寛一郎くんが登場。

2017年のデビューから5年経ちますが、振り返ってみてどうですか?
どうだろうなぁ……時間的な感覚みたいなものはあまりないかもしれないです。謙虚な気持ちで言えば、新人を卒業しなきゃなっていう感じの心構えではあります。

年齢も26歳になると、デビューの頃と何か変わってきている感覚はありますか?
相対的に見たら何かの作品の現場に入っても、自分が一番年下じゃなくなるっていう。今まで自分より年下の人がいる作品にあまり出ていないっていうこともあるんですけど。とはいえ、僕はあまり年齢って関係ないと思うところもあるんですよね。人と比べて26歳とかではなく、現時点の自分が26歳であるだけだから……。

年齢不詳ですよね。すごく落ち着いても見えるし、少年っぽくも見えるし。
僕も思います(笑)。それも見たまんまかもしれないですね。

お父さんは佐藤浩市さん、お祖父さんは三國連太郎さん。俳優という存在が常に身近にあったと思いますが、寛一郎くんが役者を目指したのは自然な成り行きでしたか?
自然と言われれば自然なんですけど。ただ自然の流れから逆らって、結果的にそうなってしまったんです。そうするすると俳優の道にいったわけじゃなく、逆らって逆らって、逆らってそうなってしまったっていう。否定的な意味じゃなくて。

面白いですね。自然の流れに逆らって、結果自然な成り行きと同じ状態になった。
だから受動でもないし、能動でもない……中道的っていう言葉が割と近いかなとは思うんですけど。

実際に俳優業を始めてみて、どうですか。自分に合っているなと思います?
合っているなって1回も思ったことないですよ!いや、もちろん好きだし、自分と合っている部分もあるんですよ。すみません、さっきからこういう言い訳ばっかりして(笑)。多分僕は、裏方とかの方が向いてるかなと思うんですよ。簡単に言ってしまうと裏方の人に失礼ですけど。表に立つということ自体は僕は得意じゃない。

では表に立つとき、どう自分を奮い立たせているんですか。
役者って、ある種、バラエティとかはまた別ですけど、「役」なんですよね。僕ではあるんですけど、完全な僕自身ではない。そういう気持ちでなんとかやれているっていう。合っていると思ったことはないけれど、役者以外は多分無理なんじゃないかなっていう。

俳優の一番の面白さってどこだと思います?
カタルシスがあまりないところじゃないかと。内省と反省を繰り返していく孤独との戦いだなとは思うんですけど、そこ面白いなって思いますね。

孤独との戦い?
戦いでもないですね。孤独を求めに、ってとこもありますし。

どんな幼少期を過ごしたんですか?
すごい大人と関わることが多かった。その時からどこか背伸びし続けているというか、その背伸びに現実が追いついて、今やっと等身大になれているという感覚はあります。

どんな大人たちに囲まれていたんですか?
ユニークな大人たちもいれば、ユニークじゃない大人たちもいて(笑)。ユニークって言っても酔っ払ってみんな喧嘩しているぐらい。色んな人が来てそういうのが毎日家で繰り広げられていたんです。良き時代、昭和の俳優たちの名残を感じられた。それはすごく良い経験でした。酔っ払っていたかと思ったら次の日はみんなでスーツを着てどっか行くみたいな。

こう話していて感じたのですが、寛一郎くんは物ごとを色んな角度から見るんですね。
そうですね。役のことを考える時もそうですけど、主観的なものと三人称から見た視点のギャップが好きなんですよね。

そういう感覚というのは、役作りにも繋がっているんですかね。
何か物ごとについて考えるというのは、すごく小さい頃から癖が付いてたんで、それはありがたいですね。考えることが好きなんです。考え過ぎちゃうのが悪いところでもあるんですけど。

考えるための、寛一郎くんにとっての栄養は?
本ですね。一番は本です。やっぱり活字を読むということが一番の栄養かなと思いますね。あとは映画もありますね、どちらかっていうと感覚的な部分ですが。

よく本を読んでるんですか?
小さな頃からたくさん本を読んできたわけじゃないんですけど、ある時から読むようになりました。

最新の出演作は『鎌倉殿の13人』の公暁役。どうですか?
楽しかったですよ。三谷幸喜さんの脚本がすごいですからね。ドラマでも映画でも、史実だったり、文献に書いてあるものを最重視する人がいて、物語に対する必然性を読み取りにくいと思うんですよ、現代の世の中の風潮的にもそうですし。そんな中で「この史実の人たちにこういうドラマがあったら面白いよね」って、一回資料を捨ててやっているみたいな感覚で、全部のキャラクターにちゃんと思い入れを持って脚本が書かれていて、そこが本当に素晴らしいなと。もちろん、出演してる方々も素晴らしい。なので、公暁役、すっごい楽しかったんです。もうほとんと終わりなんですけど。

役作りってどうやってされているんですか。
基本的に脚本が一番大事なんですけど、資料を見て、考えて、脚本と資料とを擦り合わせる段階っていうのがめちゃくちゃ楽しくて、こういう解釈で三谷さん書いているんだっていう発見や驚きとか、一人で楽しんでいます。脚本を初めて読んだときにはもう、ピークで楽しいっていう。

研究家みたいですね。
でもそれもずっとでやってるわけじゃないですよ。1週間前とかにバッとやるっていう、持続力ないのが僕の欠点(笑)。短期的な集中力はあります。

自分で「ここは負けない」っていう俳優としての寛一郎くんの魅力ってなんだと思います?
なんでしょうね……表面的な部分ではなくて、ちょっと何かを感じる質量とか重さは負けたくないなと思いますね。

憧れの俳優はいますか。
僕の最近の好きな役者はですね、バリー・コーガンですね。

アイルランド出身の俳優ですね、どんなところに憧れますか?
顔と声と全部が。僕が真似できないところが好きなのかもしれないです。最近の若手だったらピカイチで良いと僕は思います。

どんな映画のどの役でも演じられるとしたら、どの作品の役を選びますか?
『ロンリーブラッド』(86)。ショーン・ペンとクリストファー・ウォーケンが共演している映画なんですけど、ショーン・ペンの役を演じたいです。このショーン・ペンがめちゃくちゃ好きかって言われたら別にそうでもないんですけど、ラストシーンの彼の最後のひと言がすごくいいんですよ。そのワンカットのためだけにやってきたっていう、最高のラストシーンを演じてみたいです。

寛一郎くんは、どんな俳優を「いい役者だな」と思いますか?
「いい」って範囲が広いですからね。すごい抽象的な言い方をすると、映画にとって価値のある人ですかね。作品にとってもそうですし、映画という文化に対してもそうですし、映画にとって価値があるってどういうことなのってなると、説明すると色々面倒くさくややこしくなってくるんで、細かい説明はあんまりしたくないですけど(笑)。それぞれに価値もありますんで。たまに邪魔になってもいいこともあるんですけど、そういう屁理屈ではなく、一つの作品としてでもなく、もっと大きく見たときに映画にとって価値のある人。

価値のある俳優になるために何が必要なんですかね。寛一郎くんは意識していることとかあります?
勉強はしています。それがどう繋がるかはわかんないけど、でも何か来たときに備えられるための勉強はしてます。

どんな職業でも学ぶ姿勢は大切ですよね。俳優の仕事をするために、心に留めていることはありますか?
フラットでいることですかね、純粋に役者としてどうとかではなく、一人の人間として。

怒られたりとかアドバイスとかは?意識が変わったきっかけになったような。
細かいことというよりも、俳優としての基礎みたいなものは父の背中を見て育って学んできたので、それは大事にしていますね。

俳優の仕事をしたからこそ「あの時こういうことだったんだ」みたいな、お父さんとの特別な結びつきを感じたりしますか。
あります、あります。この仕事をしていなきゃ多分、今でも父親とはそんな会話をしていないと思います。

寛一郎くん、自分の性格をどう分析していますか?
それを話すと日が暮れて、てっぺんを超えるぐらいになっちゃいますけど(笑)。面倒くさいです。ほんとに面倒くさいし、ひねくれてる。かといってものすごいピュアなとこともありますしね。自分でも「やめて!」って思います(笑)。

良い悪いではなく、よく考える人は面倒くさいですよね(笑)。自分以外でもそういう面倒くさい人が好きですか?
ちょっと癖がある人の方がやっぱり面白いって思います。みんな各々癖はあるでしょうけど、ちょっとなんかひと癖あるほうがいい。

プライベートはどう過ごしていますか?趣味はあったりしますか。
何も面白くないんですよ。趣味って言っていいのかわかんないですけど、映画を観る、本や漫画を読む、散歩をする、これぐらいしかないですね。最近はジムで体を鍛えたりもしていますけど、仕事の一環。趣味っていう趣味があんまりなくて、かといってアウトドアとかでもない。ほんとつまんない人間です(笑)。

都会っ子って匂いはすごく感じます(笑)。
超都会っ子ですよ。バリバリ東京の真ん中でずっと育ってきました。

俳優仲間とかでて仲良しとかっていたりしますか。
僕はですね、役者の友達がほんとにいなくて。少なくても1、2人くらい。友達自体が少ないんで。僕が思うのは、友達になった人でも、これはちょっと古い考え方だけど、ほんとに大事にするし、何かあったら全力尽くすし、裏切るんだったら覚悟しろよ!っていう考え方なんです。言い過ぎですが、でもなんかそれぐらいの覚悟があって、居てくれたら僕は楽なんですよね。信頼できる。そこでやっと信頼できるって感じ。それを友達というんだとしたら、すごい少ない。

人と簡単につながって離れられる時代だからこそ、そういう考え方って心に響きますね。
僕はそっちの方が好きだし、美しいと思うんですよね。

そんな寛一郎くんが自分から思わず声をかけたくなる人ってどんな人?
色気がある人とか、やっぱり気になりますしね。色気だけじゃなく、何かと何かが背反しているなっていう人、行動と表情が背反している人とかは何を考えているんだろうって気になりますね。でも今ね、ちょっと友達増やさなきゃなってすごく思いました(笑)。

ここから思いつくままに、ぱっと答えてください。まずは、自分の顔で好きなところ。
眉毛。眉毛はこだわりがあるんですよ。自分の中でのベストな状態があるんですけど、そこだけはこだわりはあるし、なんか、眉毛好きかもしれないです。

自分の体で好きなところ。
肩。なんか肩と3頭の筋肉が一番つきやすいんですよ。ジムで筋トレやってて楽しいし。

好きな食べ物。
ハンバーグです。

好きな色。
紫。赤と青が好きなんですよ。赤、青、黒とか好きで、結果的になんか混ぜたら紫っていう。

自分を動物に例えると、どんな生き物ですか。
動物の特性を知らないんで、なんとも言えないんですけど。うさぎ。

寂しがり屋なんですか。
いやぁ、寂しがり屋です(笑)。すんごい、寂しがり屋です。

寂しくなった時はどうするんですか。
友達に連絡しますね。か、なんか一人でいる時もあるんですけど。そこもなんか、天邪鬼なんで。寂しさを楽しむ、寂しさに酔うみたいなものはありますけどね(笑)。

好きな言葉。
「人間万事塞翁が馬」。一見良いと思っていたことが悪いことだったり、悪いと思っていたことが良いことだったりするっていう、結局やり切った人の結論ですね。それがどう作用するか分からないけどっていう。自分が一見良いって思っていても、結果的に悪いことかもしれないし、反転するかもね、という。自分の思考だけじゃないっていう部分も大事ですよね。

今、アルバイトをしてみるなら、どんな仕事をしてみたいですか。
アルバイトは結構やってきたんですよ。ある程度ひと通りはやって。今なら人と関わらずに作業するバイトをしたいですね。

長いお休みがあるとしたら、何をしたいですか。
海外行きたいですけどねぇ……何もしないかもしれないです。逆にもう何もしないかもしれない。でもどこか自分の行ったことのない、フィジカルで何か感じられるものを体験しに行きたいです。知識だけじゃ補えないもの。

よく考える人ってフィジカルな経験がプラスされていくと、さらに素敵になっていきますからね。
ある占い師の人に言われたんですけど、スペインのマヨルカ島に僕は呼ばれているらしくて。マヨルカ島の空港に着いた瞬間に、あなたは号泣するかもしれないっていうくらいと言われているので(笑)、それはちょっと楽しみで行ってみたいなっていう。何か開けるかもしれないっていう。

なんでマヨルカ島なんだろう。
それは分からないですよ。

占いは信じるんですか?
信じはしないから、それによって左右はされないですけど。でも聞くのは楽しいです。ある程度、何かの答え合わせになったりするし。

ぜひマヨルカ島に行った際はまた取材させてください。涙がでたか(笑)。
お願いします!

最後に、10年後の俳優・寛一郎は、どんな寛一郎になっていたいですか。
もっと愛情深い役者でいられたらな、とは思います。いろいろ包括というか、もっと包み込めるような。10年後と言ってもまだ36歳なんですけどね。ある種、もっと愛を知った役者になっていたい。

愛情深い役者、きっと映画やファンとの絆を大切にする存在ですね。楽しみに応援しています。今日はありがとうございました!
ありがとうございました!

ニット ¥600,000、シャツ ¥520,000、パンツ ¥240,000、ソックス ¥89,000-(参考価格)、シューズ ¥730,000/以上全てディオール

INFO
クリスチャン ディオール
0120-02-1947
MODEL: KANICHIRO @ humanite
PHOTO: MASAMI SANO @KiKi inc.
STYLING: Babymix
HAIR & MAKE-UP: TOSHIHIKO SHINGU @VRAI
EDIT: GEN ARAI、LISA
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