※この記事は2021年8月にVOGUE GIRL+の記事として公開されたものです。掲載商品、ブランドへのお問い合わせはお控えください。
ガール世代の憧れ、小池栄子をゲストに迎えた今月の「GIRL OF MONTH」。ごまかしの効かない「黒」の着こなしを引き立てるのは、抜け感のあるアイシャドウと可憐なリップ、潤いに満ちたセミマット肌。歳を重ねたからこそ体現できるメイクの極意について、メイクアップアーティストのKOUTAさんに話を伺った。
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まぶたに纏ったヌーディーな煌めきで
ヘルシーな色気を引き出す。カラーのコントラストで魅せる黒、素材の甘辛バランスを楽しむ黒。黒をテーマにした5つのルック、その女性像ぴったりのメイクを考えてくれたのが、メイクアップアーティストのKOUTAさん。モードの第一線で活躍する傍ら、小池さんをはじめ国内外のセレブリティを手がける彼が考える、成熟した女性だからこそ映える小悪魔メイクとは? 「要となるのは色使い。スモーキーな囲み目ではなく、2色のシャンパンカラーを混ぜ合わせることで、眼差しにライトな陰影をプラスしました。一見濃く見えるけれど、印象は抜けている。それが今っぽさなのかなと」。手にとったのはピンクとブラウンのスパークルなラメシャドウ。2つを混ぜ合わせ、アイホールから下まぶたにかけてソフトな囲み目に。グラデーションはつけず、あくまで色の調和を楽しむのが目的。「ピンクって膨張色ですが、そこを和らげてくれるのがブラウン。ミックスするとゴールドになり、腫れぼったさがとれて絶妙な色味が楽しめるんです」
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眉は「女性像」を決定づける重要なパーツ。
ゆるやかなカーブを描いて、たおやかさを。2色のラメシャドウでまぶたに陰影と煌めきを纏わせたら、ブラウンのペンシルで目のキワを少し引き締め。ラインを指でぼかしたあと、仕上げにマスカラを足して柔らかな目力を。「まつげはボリュームよりも長さを出すイメージで。根元をビューラーで3回挟んであげると自然なカールに仕上がります」。眉はいつものストレートではなく、柔らかなラウンド眉に。2色のアイブロウパウダーで、たおやかさを引き出して。「顔のパーツのなかで、印象を大きく左右するのが眉。なりたい女性像にあわせて、形を変えるてみるのも1つの手。今回はガーリーな印象を引き出したかったので、あえてアーチ型の眉に。アイブロウパウダーは瞳の色に合わせて、アッシュとグレーの2色をミックス。瞳の色に合わせたほうが、髪に合わせるより違和感なく、自然になじんでくれます」
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明度と質感で遊んだヌーディリップは、
ときに赤で女性像をガラリと変えて。KOUTAさん曰く、アイブロウ同様に女性の顔の印象を左右するのがリップ。色気を醸し出す重要なパーツなので、ヌーディなピンクベージュをベースに、ルックによって濃度や質感を変えて遊びをプラスしたそう。「最初のプラダのルックは、艶やかなピンクベージュで健康的に。そこから明度を抑えたマットリップでニュートラルに戻していき、グッチのルックでは玉虫色の偏光リップを重ね付け。ディオールのルックではオレンジがかった赤のティントリップで、吸い込まれるような美しさを演出しました」。リップを塗るときは上唇を意識して、少し丸みをつけたり厚みをもたせると、女性らしさがより際立つ仕上がりに。美しい発色が楽しめるよう、普段からデトックス効果のあるセサミオイルで唇をケアしておくことも大事なんだそう。
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美しさをボトムアップさせるのは、
ベースに仕込んだバーム&Cゾーンの血色感。今回のメイクの決め手となるのが、丁寧につくりこんだセミマット肌。使ったのは2種のファンデーション。美容液成分の入ったクリームファンデで潤いをプラスし、マットなクッションファンデでツヤを抑えれば、内側はしっとり、外側はふわっとした理想の肌に。「事前にしっかり保湿を行った上でベースを行うのがマストですが、時間がないときはファンデの前に赤ちゃん用のバームを仕込んでおくのもおすすめ。バームのテクスチャーがしっかり膜を張ってくれるので、肌荒れすることなく短時間でクオリティの高い肌がつくれます」。そしてもう一つ重要なポイントが、目元のCゾーンの明るさをどううまくつくれるか、ということ。淡いローズ系のチークをブラシにり、頬骨の上からサイドにふんわりのせたら、残った粉で頬骨下、首、おでこをすっと撫でて。こうすることで、光の加減によってふわっとした健康的な凹凸か出てくるとのこと。
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内側から発光する、高貴なセミマット肌。
秘密はインナーケア法にあり。輝きをたたえつつ、表面はさらりと軽やか。そんなノーブルなベースメイクは、コンディションの整った肌があって初めて成り立つもの。こう聞くとついスキンケアに目がいきがちだけれど、食生活を見直すことが実は美肌への近道なんだとか。「腸の水分量が上がると、肌の水分量も必然的に上がる。結局、答えは“インナーケア”にあるんです。なので普段から水をたくさん飲んだり、ヨーグルトで腸内環境を整えておくことが大事。ただ好きなものを我慢しすぎるとストレスになるので、ときには揚げ物やジャンクフードを食べてもOK。目安は6~8割くらい、野菜を中心にした食生活をキープすること」。肌のメカニズムを正しく理解しながら、プロのアドバイスを取り入れて魅力を刷新していく。日々の積み重ねと学びを忘れない姿勢が、年齢にも負けない説得力のある「美」を築く。
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PROFILE
KOUTA
メイクアップアーティスト。2003年渡仏、メイクアップアーティストのアシスタントとして経験を積み、2008年からニューヨークでクリエイティブエージェント、ジェッド・ルートにて活動を開始。多くの雑誌や広告、セレブリティのメイクなどを担当。2017年拠点を東京に移し、東京ベースにグローバルにさらに活躍の場を広げている。Instagram @kouta_ny
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